慶大生がグリッドマンを考察してみた:なぜグリッドマンは裕太に憑依したのか?

執筆:仮屋

 はじめまして、仮屋です。先月僕の大好きなアニメ『SSSS.GRIDMAN』及び『SSSS.DYNAZENON』の続編映画『グリッドマン ユニバース』の公開が決定されました。イィヤッターッッッ!ちょうど当サークルの読書会で僕がグリッドマンを紹介したすぐ後の時期に発表があり、この偶然に驚きを隠せないのとともに、あの名作の続編、それも映画という情報に胸が高まりました。
 今回のnoteでは、僕が読書会で発表したグリッドマンについての考察を文章にまとめたものを共有させていただきたいと思います。それでは。アクセス、フラーッシュ!

(※アニメ『SSSS.GRIDMAN』本編のネタバレを含みます)


主題:なぜグリッドマンは裕太に憑依したのか?

 アニメ『SSSS.GRIDMAN』では主人公・響裕太がエネルギー体のハイパーエージェント・グリッドマンと一つになって変身しますが、グリッドマンはなぜ裕太を憑依する相手に選んだのでしょうか。アニメ最終話「覚醒」にて内海と六花にグリッドマンが餞別にその理由を語るシーンでは、グリッドマンの答えは「裕太が……」と途中でカットされています。この答えについて考えていきましょう。


裕太が特別な理由

 グリッドマンのセリフからして、新条アカネが作った世界の中で響裕太だけが持つ特徴が一つあったと考えられます。新条アカネを救う役として裕太が他の人物とは異なる点、それはずばり、響裕太だけが宝田六花を好いていた、という点でしょう。一見ただの恋慕ですが、これに限っては異常事態です。なぜなら裕太たちが暮らす世界は”新条アカネが作った世界”であり、本来例外なくこの世界全ての人間は新条アカネのことを好きになるように作られているからです。
 アニメ第9話「夢・想」ではアカネが怪獣を使って裕太たち三人を眠りにつかせ、彼女にとって都合がいいように夢を見せましたが、そこでは六花を”親友”、内海を”趣味の合う友人”、そして裕太を”彼氏”の役割としてアカネが作ったことが暗示されました。にも関わらず裕太だけは終始六花にゾッコンで、第5話「挑・発」でアカネが自慢のスタイルに水着姿で迫るなどしてもまるで見向きもしませんでした。アカネがトマトジュースのストローを噛み潰したくなるのも納得ですね。


六花を愛した彼がアカネを救える理由

 それではなぜ”宝田六花を好きである”という差異が新条アカネを救う人間に選ぶ決め手となったのでしょうか。それは宝田六花には新条アカネに通ずる要素があることが関わってきます。最終話「覚醒」の最後のシーンでは、アカネが自身の世界で目覚める様子を描いた実写カットが有名ですが、あの実写シーンに映っていた人物こそが新条アカネの真の姿ということになります。髪色や髪型などその容姿は六花に瓜二つ。そう、宝田六花の外見は現実のアカネの姿をモデルに作られていたのです。
 新条アカネというキャラクターは可愛らしい顔と愛想のある表情に抜群のスタイルと、とにかく万人に好かれるような”理想の姿”になっています。(どちらが良いかという話は置いておいて)ある種の人を寄せ付けない雰囲気をまとった宝田六花の外見とは対象的であり、新条アカネは現実の自分に対してコンプレックスを抱いていたことが伺えます。さらに、その現実の彼女の姿をした宝田六花が住んでいるのがリサイクルショップ、つまり”人が不要になったものが行き着く場所”であることもその事実を裏付けています。
 そんな新条アカネにとって”不要”である姿、本来のアカネに裕太は唯一好意を抱いていた、ということになります。


まとめ

 響裕太がグリッドマンの憑依する相手として選ばれたのは、全ての人が新条アカネを好きになるように作られた世界で宝田六花を、つまり新条アカネの本来の姿を唯一愛していた人物だったからでした。
 裕太がなぜ六花を好きになったのか、などこれ以上の内容については判断材料が少なく断定するには至れないため、今回は根拠を示して断言できる範囲で僕なりの考察を語ってみました。いかかだったでしょうか。「六花を愛してるという点で六花ママは?」とかは勘弁してください。六花ママがアクセスフラッシュするグリッドマンなんて見たく……ボイスドラマぐらいで手打ちにしますか。グリッドマンユニバースのシリーズはただアニメとして面白いだけでなく、メタファー演出が多くアニメシーンの芸術点も高いのと同時に考察にも幅が出るとても楽しい作品です。
 ちなみに当サークルのグリッドマンに関する考察に関する議論で一番盛り上がったのは、『ぶっちゃけ第1話で目覚める前に裕太は既に六花と付き合っていたかどうか問題』です。ボイスドラマ最終回の六花の反応や彼女の普段からの考え方を考慮してもやはり僕は『彼女の言った通りあそこがほぼ初対面』派なんですが、意外と『六花と既に付き合っていて、記憶喪失に拗ねて冷たく当たっている』派とかいう最近の小説投稿サイトで量産されてるラブコメみたいな説を支持する人が多く、世界の広さを目の当たりにしているところでございます。
 あと決して欠かせない内容なのですが僕は六花派です。クールで優しい、ちょっと距離のあるクラスメイトっていいよなと小学生のとき思ってました。何分中学からは男子校育ちでして。はぁーあ。ちゃんとコミックアンソロジー買ったんですよ。ええ、いいものです。
 ここまで読んでいただきありがとうございました!いいねしてもらえると跳ねて喜びます。それでは。アクセース、フラァッシュ!

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