新学期・新年度にテンションをぶち上げていけッ! 独断と偏見で選ぶ、偏差値が低くなるSF(すごく吹っ飛べる)映画3選

【執筆者】
 朝霞 敦(前年度学生代表)

【前置き】

 最近は暖かくなり、虫も花粉も変質者も活発な季節になりました。皆さんはいかにお過ごしでしょうか? 私? 私は就活や教育実習の準備から目を逸らしてエルデンリングをやってますよ。
 やらなければならないタスクを全て見えないふりをするゲームというのは、何とまぁ粋で乙なモノですが、やっぱり知らぬ間にストレスが溜まってくるもんです。迫りくる応募締め切り、新学期・新年度に対する漠然とした不安……。夜を明かしていく度に、この時この瞬間を過ごしている度に、重く積もりのしかかってきます。どうすればよいのやら。解決方法は単純明快、頭の悪い映画を観て何も考えなければ良いのです。タスクを消化すれば良い、なんていう正論を口走る脳内天使は犬にでも食わせておきましょう。
 今回は、私が現実逃避に愛用しているSF(すごく吹っ飛べる)映画を3つ用意してきました。少しの間、お付き合いください。

【目次】

①バトルシップ
②パシフィックリム
③ファイナルデスティネーション

【本文】
①バトルシップ

公開:2012年
監督:ピーター・バーグ
出演者:A・スカルスガルド、リアーナ、浅野忠信など
鑑賞に必要なモノ:チキンブリトー、氷風呂、ビール

 本作のあらすじを一言で表すと、『ハワイの海を舞台に日米の海兵が協力して、宇宙人の超テク戦艦をWW2時代の巨大戦艦でぶっ潰す話』。何を言っているのか分からねぇと思うが、本当にそうなんだから仕方ない。
 とんでもないテクノロジーを持った宇宙人が襲来して地球侵略を目論む、なんて使い古されたストーリープロットですが、小手先だけ難解な物語より真っすぐでとても分かりやすい。それに立ち向かうのがアメリカと日本の駆逐艦3隻、圧倒的な敵、犬猿の仲の二人が協力してもあと一歩及ばない。そこにハワイの海に眠る退役した巨大戦艦ミズーリとそのクルーが助太刀にやってくる……。おかしいな、とんでもないB級映画感がぬぐえないぞ。
 でも面白いのは確か。地球最後の希望となった戦艦ミズーリに乗り込んだ主人公たちのテンションは上りに上がり、名言やオサレポエムをBLEACHのように生産し続ける。駆逐艦を数発で撃沈できる宇宙人の砲弾を受けても戦艦はどこ吹く風。容赦なくクソデカ主砲をぶっ放し続ける。今まではレーダーやミサイルを駆使した手練手管での戦いとはうって変わって、撃たれたら撃ち返す、後退せず前進し続け、火力と根性と意地で宇宙人をねじ伏せていく。
 この映画を観れば、細かいことは何も気にならなくなるのは間違いない。ブリトーは持ったか? 氷風呂には浸かったか? ビールはちゃんと冷えているか? さぁ、バトルシップ愛好家(バトルシッパー)と一緒に脳みそを溶かそうじゃないか。

②パシフィックリム

 公開:2013年
 監督:ギレルモ・デル・トロ
 出演者:チャーリー・ハナム、菊地凛子、イドリス・エルバ、芦田愛菜など
 鑑賞に必要なモノ:ビール、ピザ、怪獣のソフビ

 本作のあらすじを一言で表すと『突如現れるようになった巨大怪獣を、巨大ロボットでぶっ潰す話』。
 本作の魅力は何といっても(菊地凛子の幼少期を芦田愛菜が演じているというところ)、巨大ロボットのロマンをこれでもかと組み込んで、それを日本のロボットアニメに踏襲しているところ。コックピットは頭にあって、マジンガーZのパイルダーオンの要領でロボットに接続する冒頭を観た瞬間、『なるほど、お前はそういう映画なのね』と分からされてしまった。
 とは言っても、ブラストファイアーやおっぱいミサイルなどのとんでも必殺技が出ていないので現実的な映画(怪獣と巨大ロボットが戦ってるのに現実的はねぇだろ、というツッコミは禁止)でもある。なんてったって攻撃手段は主に『殴る』『蹴る』『蛇腹剣を使う』『近距離でプラズマキャノンでとどめを刺す』なんだから。後半はかなりファンタジーに寄っているのはご愛敬。私の一番推している技はロケットパンチ……と言っても、上腕部分をかっ飛ばすのではなくて肘部分のロケットを点火させて、その勢いでぶん殴る必殺技だ。炸裂させるときに「ロケットパーーーァァァンチッッッ‼‼‼」と叫ぶと威力が3倍になる。嘘だ。
 日本男児なら絶対に突き刺さる本作。そう、全員子供に戻って応援上映しよう。


③ファイナルデスティネーション

 公開:2000年
 監督:ジェームズ・ウォン
 出演者:デヴォン・サワなど
 鑑賞に必要なモノ:トマトジュース

 本作を一言で表すと、『死神という名の運命が提供する、死亡フラグの見本市と死のピタゴラスイッチ』。そう、宇宙人のウの字もないスプラッター映画だ。これは5本もシリーズ化され、悲惨な事故を予知して回避した若者たちが逃れられないしの運命に次々と晒されるという共通のストーリープロットを持っている。
 魅力は何といっても『多様な殺しのレパートリー』、これに尽きる。この作品は6人程度のキャラクターが次々に死の運命によって殺されるが、死亡フラグの見本市と表したように一人当たりの死亡フラグが複数、そして被りなく配置されている。例えば、

 「こんなところにいられるかよッ、俺は一人にさせてもらうぜッ! 俺は来週結婚するんだッ! 高校の頃はアメフトで活躍していて、『不死身のジョニー』って呼ばれてたんだぜッ! そんな俺が絶対に死ぬものかッ!」と言いながら浴槽につかってドライヤーを使い、コードが浴槽に使っているし、コンセントには埃が積もっているし、浴室の床には石鹸が転がっていて頭をぶつけたら決して助からない段差があり、換気扇のプロペラは老朽化でいつ落ちてきてもおかしくないし、ガス漏れしているし、そのキャラはヘビースモーカーだ。

 この密度で死亡フラグが乱立し、それが6人分ある。そして死の瞬間、そのフラグが一斉に成立する。一本たりとも折れたりはしない。続編が重なるごとに死亡フラグが折れることも多くなるが、それはゾンビ映画でいう「なんだ、猫か。驚かせやがって……うわぁぁぁ(YOU DIED)‼」という一種の死亡フラグだ。
 観ていると、やっぱり生きているだけで丸儲けなんやなって気づける本作。一緒に現実逃避を正当化しようじゃあないか。


【あとがき】

 さて、いかがだったでしょうか。かなり有名どころをまとめましたが、観たことのない作品はありましたか? 
 私は何回もリピートしていますので、これらの後継となる作品を探しています。これを読まれている方で、「俺はこんな作品で現実逃避してるぜ!」という方がいらっしゃいましたら、SF研公式TwitterのDMにて教えていただけると泣いて喜びます。

 弊サークル・慶應SF研究会はこんな感じで堅苦しくない、広義のSF作品をみんなで楽しむサークルです。ぜひいらしてくださいね。いつでも大歓迎です。そういえば、今年度から新歓は対面でできるのでしたね。お会いできるのを楽しみにしています。

(日吉キャンパスで、僕と握手ッ‼)

それでは。

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