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『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』 #6

みなさん、こんにちは!いかがお過ごしでしょうか?

緊急事態宣言が発出されてから2週間が経過しました。
不要不急の外出を控えて、感染者減に協力しましょう!

6回目となる今回は、
ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランドの
『FACTFULNESS』をご紹介いたします。

言わずと知れた名著であるため、
すでに多くの方が読破されているかもしれません。

しかし、コロナが蔓延している今の時代に、
本の内容を思い返すのは、非常に意味があることだと思いました!

本書の趣旨は、
「勘違いを正し、事実に基づく世界の見方をすること」です。

私たちは、世界は実際よりも怖く暴力的で残酷だと考えています。

でも、これが「勘違い」なのです。

なぜこのような勘違いをしてしまうのか、詳しく解説していきます。


今の世界は本当に良くなっているの?


世界が実際よりも怖く、暴力的で残酷だと考える。

これが「勘違い」ということは、
世界は良い方へ進化しているということになりますよね?

では本当に良くなっているのでしょうか?

ここで、2つの質問に答えていただきたきます。

質問1
自然災害で毎年亡くなる人の数は、過去100年でどう変化したでしょう?
A. 2倍以上になった B. あまり変わっていない C. 半分以下になった
質問2
世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子供はどのくらいいるでしょう?
A. 20% B. 50% C. 80%

答えを選べたでしょうか?

質問1の回答は、Cです。

100年前と比べると、半分どころではなく、25%になったそうです。

さらに、同じ期間に人口が50億人増えているので、
一人当たりの死亡率は、6%になりました。

質問2の回答は、Cです。

なんと80%の子供が、予防接種を受けているのです。

実はこれらの質問は、
大学教授やノーベル賞受賞者、世界10大銀行を含めても、
正解率は、12%〜15%です。

私たちの想像とは異なり、世界は良い方向に進んでいるようです。

予防接種だけでなく、
安全な飲料水の利用率、電気の利用率、女子教育は年々伸びているし、

自然災害だけでなく、
飛行機事故死者数、乳幼児死亡率、飢餓は年々減り続けています。

これらだけで判断することは難しいですが、
世界は確実に良くなっているのです。


私たちが抱える勘違い


先にも述べたように私たちは、
「世界は実際よりも怖く、暴力的で、残酷」だと考えています。

実際は、世界は良い方向に進化しているのに、
なぜそのように考えてしまうのでしょうか?

その謎を解明するために、
今テレビで放送されているニュースを見てみてください。

世界で起きた悪いニュースばかりを放送していないでしょうか?

ニュースは、記憶に残りやすいと言われる悪いニュースで不安を煽る傾向が強く、
私たちは、世界は徐々に悪くなっていると考えてしまいます。

勘違いしているのは、一般人だけに止まりません。

もちろん政治家や政策立案者だって、間違った知識を持ってしまいます。

間違った知識は、間違った方向への解決を促してしまいます。

だから、間違った知識や勘違いは、とても危険なのです。


勘違いをする原因


世界は良くなっているのに、悪くなっていると勘違いしてしまうのは、
何が原因なのでしょうか?

それは、「ドラマチックすぎる世界の見方」をしてしまうからです。

私たちは以下のような先入観を持っていないでしょうか?

「世界では戦争、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている。金持ちはより一層金持ちになり、貧乏人はより一層貧乏になり、貧困は増えつける一方だ。何もしなければ天然資源ももうすぐ尽きてしまう。」

これが、「ドラマチックすぎる世界の見方」です。

しかし、これが真実ではないことは、
もうみなさんは知っていると思います。

実際は、女の子も学校に行きますし、子供はワクチンを接種します。
女性一人当たりの子供の数は2人ですし、休みは海外に行きます。

もちろん課題は山積みです。

しかし、これまでに人類が大いなる進歩を遂げたのは、
間違いのない事実です。

これが、「事実に基づく世界の見方」です。

私たちは、「ドラマチックすぎる世界の見方」を抑え、
「事実に基づく世界の見方」で世界を見つめる必要があります。

先ほどの質問の際に使われたデータが教えてくれるように、
世界は、あなたが思うほどドラマチックではありません。


ドラマチックを求めてしまう10の本能


私たちはなぜ、世界をドラマチックに見てしまうのでしょうか?

その答えは、私たちの脳には10の本能が備わっているからです。

・分断本能
「世界は分断されている」という思い込み

・ネガティブ本能
「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み

・直線本能
「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み

・恐怖本能
危険ではないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み

・過大視本能
「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み

・パターン化本能
「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み

・宿命本能
「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み

・単純化本能
「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み

・犯人捜し本能
「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み

・焦り本能
「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み

以上、10の本能です。

今回は上記の本能を5つに絞り、
ドラマチックすぎる話を認識する術と、
あなたのドラマチックな本能を抑える術を学んでいきます。


① 分断本能


分断本能とは、「物事や人々を2つのグループに分け、
その間には、決して埋まることのない溝があると思い込むこと」です。

私たちが持つ「ドラマチックな本能」のせいで、
「二項対立」を求めてしまうのです。

良いか悪いか、正義か悪か、自国か他国か。

このように世界を2つに分けるのは、
とてもシンプルで、直感的かもしれません。

しかし、実際には分断がないのに、分断があると思い込んでしまったり、
違いがないのに、違いがあると思い込んでしまったり、
対立がないのに、対立があると思い込んでしまうという負の側面があります。

これが、「分断本能」の仕業なのです。

ひとつの例を見ていきましょう!

私たちは、ニュースやドキュメンタリー番組を通して、
低所得国は、食べ物や飲み物、病気に苦しんでいると考えてしまいます。

しかし、実際はどうなのでしょう。

実際、低所得国では、
近代社会に必要なものにアクセスできるようになりました。

水道水から安全な水が出るし、食べ物に困ることはなく、
予防接種を打つことまでできるのです。

その証拠に、低所得国の平均寿命は62歳です。

では、「低所得国」で暮らす人は、
全人口の何%程でしょうか?

答えは、9%です。

ほとんどの人が想像するほど、低所得者の暮らしは苦しくないですし、
人口も多くないのです。

世界が分断され、大半の人が惨めで困窮した生活を送っている
というのは、幻想に過ぎないのです。

ちなみに「低所得国」という言葉は、
「二項対立」を生む言葉の例です。

私たちは、「高所得国」と「低所得国」があり、
その間には、溝があると勘違いしてしまいます。

でも、そのような分断は実際はありません。

本書では、世界の人口を所得別に分類し、
レベル1〜4として表現しています。

興味のある方は、本を手に取って見てみてください。

大切なのは、「話の中の「分断」を示す言葉に気付こう!」ということです。

多くの場合、実際には分断はなく、
誰も存在しないと思われていた溝部分に、大半の人が属しているのです。

「分断本能」を抑えるために、大半の人がどこにいるのかを探してみましょう!


② ネガティブ本能


ネガティブ本能とは、
物事のポジティブな面よりも、ネガティブな面に気付きやすいという本能です。

この本能の影響で、
「世界はどんどん悪くなっている」という勘違いが生まれてしまうのです。

本当は、急速に世界が良くなっているのに、それを勘違いしてしまえば、
「希望を失う」という悪影響が募っていくものです。

これは、メディアが私たちの本能を煽り立て、
不安に陥れることが影響していると言えます。

しかし、メディアも意図的に不安に陥れているわけではありません。

メディアも、同じような本能を持った人間だからです。

では、どうすれば、世界を正しく評価できるようになるのでしょうか?

そのひとつのヒントが、「過去と現在を比較する」ことです。

ここでもひとつ例をあげましょう。

ある調査によると、
アメリカ人は、「自国の犯罪が昨年より増えたか」という質問で、
70%〜80%の人が、増えていると回答しました。

確かに、ニュースを見れば、残虐な事件が取り立たされているため、
犯罪が増えていると考えるのは、理にかなった判断といえます。

しかし、アメリカの犯罪は、年々徐々に減り続けています。

このように、過去と現在を比較することで、
現状がどれほど好転しているのかを理解することができます。

「小さな進歩」があったという明るい話は、ニュースになりにくいのに、
暗い話は、ニュースになりやすいことも認識しておくべきです。

ネガティブなニュースは耳に残りやすく、
物事が良くなっても、そのことを知る機会が少ないことを知っておきましょう!

そして、過去と比較することで、世界が良くなっていることを感じ、
希望を持ち続けましょう!


③ 恐怖本能


恐怖本能とは、めったに起きないことや危険でないことを、
恐ろしいと思い込む本能です。

恐ろしいけれど、起きる可能性が低いことに注目しすぎると、
本当に危険なことを見逃してしまうというマイナス面があります。

例えば、自然災害について取り上げましょう。

テレビを見ると、毎年のように台風や地震、火災のニュースが
放送されていることに気付くと思います。

もしかしたら
「最近は、地球温暖化の影響で異常気象が多く、自然災害が多いな、、」
と思われるかもしれません。

しかし、過去50年間で発生した自然災害は、
その前の50年間に発生した数の約6割です。

自然災害による死者数も、大幅に減っており、
100年前と比べ、20分の1になりました。

自然災害がめったに起きず、危険でないわけではありません。

それよりももっと危険なことに目が向かなくなることが、危険なのです。

実際に、地震による一定期間の死者数と、汚染水による下痢の死者数が、
さほど変わらなかったという事例があります。

私たちは本能で、「地震=恐怖」と考えてしまいがちですが、
本当に危険なことに目を向ける判断力を持たなくてはなりません。

恐ろしいものに、自然と目がいってしまうことを自覚し、
「恐怖」と「危険」は違うことに気付きましょう!


④ 宿命本能


宿命本能とは、持って生まれた宿命によって、
人や国や宗教や文化の行方は決まると考える本能です。

実際、社会と文化は、常にゆっくり変わり続けています。

物事が変わらないと思い込み、新しい知識を取り入れることを拒めば、
社会の劇的な変化に、ついていけなくなってしまいます。

今回も、一つ例を挙げてみましょう!

イスラム教は、避妊を禁ずる宗教です。

そのため、信仰心の厚い女性は、子供の数が多いと考えられてきました。

それが真実であるか確かめるために、
宗教別で、女性一人当たりの子供の数を算出してみると、

イスラム教徒は平均で3.1人、キリスト教徒は2.7人でした。

二大宗教の出生率に大きな違いがないことがわかっただけでなく、
子供の数に最も影響を及ぼす要因は、「所得」であることまで分かったそうです。

イスラム教は、避妊を禁ずる宗教であることに変わりはありませんが、
イスラム教徒の女性は、必ず子供が多いという宿命など存在しないのです。

私たちは、社会が常に変化していることを肝に銘じ、
最新のデータを取り入れ、知識を新鮮に保つ必要があります。

変わらないように見えるのは、変化がゆっくり起きているからです。


⑤ 焦り本能


焦り本能とは、「今やらないともう次はない」と不安を煽り、
焦って拙速に判断してしまうという本能です。

恐れと焦りは愚かなもので、過激な判断に繋がり、
予想もしない副作用を生むことがあるのです。

現在、コロナウイルスが世界で広がっていますが、
そこでも、焦って判断してはいけません。

焦りが禁物なのは私たち個人だけではありません。

政府や政策立案者は、かなり慎重に判断することが要求されます。

日本では、コロナの第一波が過ぎ去った後、
GO TOトラベルによって、観光が奨励されました。

観光業で生計を立てる地方の人々への救済や、日本の経済を回すことが、
GO TOトラベルの目的であることはよくわかります。

しかし、この政策は結果的に、
コロナの第二波を助長する形になってしまいました。

もちろん、感染者が地方に増えただけではなく、
観光地の飲食店の食材が無駄になるといった副作用も生んでしまいました。

私たちは、「今決めなければならない!」と感じたら、
自分が焦っていることに気付くべきです。

焦っているときの判断は、周り回った副作用を生む可能性がとても高いです。


本能を抑えるための2つのポイントと達成後の世界


これら5つの本能を抑えることができたら、(本書では10の本能ですが、)
世界のニュースが、ファクトフルネスの視点で見えるようになります。

さらに、メディアや活動家が、過激な話題で、
ドラマチックな本能を引き出そうとしていることもわかるようになります。

本能を抑えるために、2つの重要な考え方があります。
「謙虚さ」「好奇心」です。

「謙虚」であれば、
本能を抑えて事実を正しく見ることがどれだけ難しいか気付くことができます。

「謙虚」であれば、知らないことを認め、
新しい事実を発見したら、喜んで意見を変えることができます。

「好奇心」があれば、
新しい情報を積極的に探し、受け入れることができるようになります。

「好奇心」があれば、答えが間違っていても恥とは思わず、
間違いをきっかけに興味を持つことができるようになります。

「謙虚さ」「好奇心」を持って、本能を抑えた先にあるのは、
「事実に基づいた世界」です。

事実に基づいて世界を見ると、
人生の役に立つのはもちろんのこと、心が穏やかになるはずです!

考えていたほど、世界は悪くないわけですから、心の癒しになりますよね!

「ドラマチックすぎる世界の見方」を捨てて、「事実に基づく世界の見方」をし、
それほど悪くない世界を、皆で一緒に感じましょう!!


ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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本書には、残りの5つの本能や裏付けとなるデータが数々掲載されていますので、
興味が湧いた方は是非、ご一読してみてはいかがでしょうか。





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