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メガバンクから投資銀行への裏ルート 第2話 ~名古屋モード~

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「久しぶりだな、豪(ゴウ)。随分と遅かったな。」

中華料理屋「味仙」でトヨタに勤める三崎(ミサキ)との会話が長くなり、メガバンク同期が在住する寮への到着は、22時を超えていた。

豪(ゴウ)を待っていたのは、同期の間でも優秀と評価される早稲田大学卒のモテ男。
その男の名前は、大谷(オオタニ)。

彼は、社会人1年目にして、名古屋配属が決まっていた。
英語が堪能で国際部署への配属を希望している。

また、同じタイミングで名古屋への転勤が決まった東京大学卒のエリート、鷲尾(ワシオ)の姿も見られた。
彼は、同期に会いにこの寮に来ているものの、もう1つある別の寮に住むことになったらしい。

社内の試験ではいつもトップ10に入る成績を収め、180㎝を超える高身長、おまけに誰もが認めるイケメンで、銀行では社長に値する頭取コースまっしぐらと噂されるやつだった。

彼は、自分とは違い、名古屋の中で最も各高い、トヨタ等の超大手企業を担当する花形支店に配属が決まっていた。

「頭取候補の鷲尾(ワシオ)も2年目にして名古屋か。配属された支店は違うが、親父の言っていたとおり、この年齢で左遷というのはなさそうだ。自分が名古屋に配属されたのも、きっと何か理由があるはずだ。」

ポジティブに思考を切り替え、新天地である名古屋での生活に期待を寄せた。

メガバンクから投資銀行への裏ルート 第2話 ~名古屋モード~

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豪(ゴウ)が名古屋で配属されたのは、中小企業を担当する名古屋駅付近の某支店。

東大卒の鷲尾(ワシオ)に比べると格下の支店かもしれないが、同期の大谷(オオタニ)がいるのは心強い。

東海地方では、トヨタを中心としたデンソー、アイシン等の自動車系企業、それに関連してティア1~3までと言われるような下請け企業、豊田通商、ブラザー工業、ヤマザキマザック、西濃運輸、貝印等、東京ではあまり馴染みがないものの、聞いたことがある名前の会社が多く存在しており、どの企業も実に堅実な経営をしていた。

豪(ゴウ)は、その中でも中堅企業を担当することとなった。

早々と初日が終わり、豪(ゴウ)の歓迎会が実施された。
場所は、中華料理屋の味仙。

「味仙?この前、三崎(ミサキ)と行った店じゃないか。また、あの中華料理屋かよ・・・」

味仙に足を運ぶと、4月ということもあり、自分と同じように転職者、もしくは新人を祝う歓迎会が、複数実施されていた。

どうやらこの街のビジネスマンは、味仙が大好きなようだ。

歓迎会を終え、同期の大谷(オオタニ)を含めたメンバーで、同期のみでの歓迎会が行われた。

名古屋配属の男ばかり、むさ苦しい飲み会であったが、上司から離れて仕事モードをオフにし、同期との会話を楽しむことができた。

「豪(ゴウ)!今度、合コンがあるんだ!可愛い子呼ぶから、おまえも来いよ!」

同期の大谷(オオタニ)から合コンの提案があった。
思い返せば、トヨタの三崎(ミサキ)もこの街では、女が魅力と言っていた。

いったいどんな出会いがあるのか。

名古屋での法人営業スタート、顧客の反応は・・・

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東京では大手顧客を担当していた。

一方、新天地の名古屋では、中堅企業の担当だ。
法人営業には変わりないが、営業スタイルは異なる。

大手顧客の際は、訪問に向けてしっかりと資料を準備し、少ない顧客に対して深く入り込んでいくといったスタイルだったが、中堅の場合は担当顧客数が多く、準備よりも訪問回数でリレーションを強化する、そのような営業活動が求められた。

とりあえずは、いつものように朝のうちに日経新聞には目を通し、顧客と会話できる情報をつかんで、訪問回数を重ねていこう。

豪(ゴウ)の営業活動は始まった。しかし、顧客の反応は冷たいものであった。

「メガバンクさん、地銀に比べて、金利が高いからなー。借りるのは、同じお金でしょ。お金に変わりがないなら、金利の安い地銀から借りちゃうよね。一生懸命、営業してくれてるのは、わかるんだけどさー。」

東京の時とは異なる反応。
名古屋を本拠地とする地銀の金利は、東京と比べても遥に低い水準となっていた。

また、堅実経営が多い土地ということもあり、細かな数値の差にもシビアだ。
良く言えば堅実、しかし、銀行マンの立場から悪く言ってしまえば、度が付くほどのケチだ。

「どうすりゃいいってんだ。」

豪(ゴウ)は、車を走らせながら考えた。

「地銀に比べて、うちはメガだから、金利が高いのは当然。そこで比較したら、顧客は融資を引き受けてくれない・・・」

解決策を見出せないまま、同期の大谷(オオタニ)に誘われた合コンの時が近づいていた。

名古屋での初合コン

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「おお。やっと来たか。待ちくたびれたぞ。とりあえず、豪(ゴウ)は乾杯ビールで良いよな?」

ここは、名古屋駅周辺で、合コンに適したお店が軒を連ねる繁華街。
通称、「合コン通り」だ。

同期の大谷(オオタニ)は、一足先にお店に到着していたようだ。


「待ちくたびれたって、まだ始まったばかりじゃないか。ビールでいいよ。あ、どうも、こんにちは。東京から名古屋に来たばかりの豪(ゴウ)です。」

女性陣
「宜しくお願いしまーす!東京から来たんですね!慶應ボーイ♡」

悔しかった。

「合コン通りとか呼ばれてるけど、ただハブがあるだけじゃないか…こんなの銀座コリドーにはとうてい及ばないだろ。しかも、この女の子たち、確かに可愛いかもしれないが、丸の内のOLに比べると、ファッションの気合いが足りなすぎ。」

口には出さまいが、内心そう思ってしまった。
慶應ボーイってだけで喜んでくれたことが唯一の華か。

そんな豪(ゴウ)は、なんとか場の雰囲気に合わせるものの、内心で感じていたことが、女性陣に読み取られてしまったらしい。

女性陣
「豪(ゴウ)くんてさー。慶應でメガバンクで超エリートなのに、なんだか名古屋のことバカにしてるよねー。すっごい魅力的だけど、見下してる感がムカつく―。。。」


「いやいや、そんなんじゃないって。まだ名古屋に来たばかりで、環境の変化に合わせられてないんだ。気を悪くしてしまったようなら、ごめん。」

俺がいけないのか。おまえらが東京に合わせろよって言いたいところだが、ここは名古屋だ。
嫌なら出ていけと。

出ていきたいのは山々だが、自分はサラリーマンだ。
会社に従うしかない身である。

名古屋に合わせなければいけない自分が空しい。
正直、早く東京に戻りたい。

豪(ゴウ)は、合コン相手との携帯を交換して、早々と店を出た。

すると、トヨタに勤める三崎(ミサキ)からLINEが届いていた。

「今からこっち来れるか?良いところに連れてってやるよ。」

名古屋モードへのスイッチ

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初合コンは、思いもよらない結果だった。

俺がいけなかったのはわかるが、誰かにこのやるせなさを共有したい気持ちはある。
東京にいた友人しか、この気持ちはわからないであろう。

今日は金曜か・・・
23時を過ぎているが、三崎(ミサキ)と一杯やるか。

豪(ゴウ)はタクシーに乗り、三崎(ミサキ)のいる栄のバーに向かった。

三崎
「おお、来たか。この街は、名古屋、伏見、栄って、俺らみたいな大企業に属する人間はたいていこの辺で飲んでるから、すぐに集まれるのが良いよな。じゃあ、早速、行くか!」


「行くってどこに?ここで飲むんじゃないのか?俺はさっき合コンで散々な目にあったし、ヤル気ないわ・・・」

三崎
「なんだよ、散々って?まさか、合コンで東京大好き感出してしまったのか?」


「おお、なんでわかったんだよ。別に名古屋が嫌いなわけじゃないんだ。ただ、あまりにも格差がありすぎて・・・」

三崎
「その気持ちはわかる。俺だって最初はそうだったからな。むしろ、東京で遊んでたやつは、誰もがその気持ちになるさ。ただ、ここは名古屋だ。その気持ちをリセットしたほうが良い。なぜなら、豪(ゴウ)にとってマイナスにしかならないからな。名古屋の人って、びっくりするくらい名古屋が好きなんよ。」


「まあ、そうなんだけどさ・・・環境の変化が大きすぎる。東京なら三菱商事、投資銀行、電通みたいな会社がカッコいいって価値観で、激しく働いてたくさん稼ごうみたいな風潮があるけど、彼女たちはやたらトヨタだとか安定だとか、早く帰って家庭の時間作ってほしいとか。価値観は人それぞれ違うのは当然なんだけど、なんだか自分が頑張ってきた生き方とか人生とかが、まるで否定されちゃったみたいだよ。」

三崎
「いやー、もちろんわかる。ただ、こうしてみたらどうだ?今日だけでいい。今日だけ、おまえは役者になるんだ。そして、ここは劇場だ。今日は名古屋が大好きで、一生、名古屋にいたいくらい名古屋を愛してるキャラを演じてみないか?トヨタに興味がなくても、トヨタが最高って言うんだ。不安定でいいからもっと稼ぎたいと思っても、安定で家庭を大事にしたいって思うんだ。」


「気持ち悪いな。何がしたいんだよ。」

三崎
「今からクラブに行こう。その気持ちで女の子をナンパするんだ。」


「は?クラブ?ふざけるなよ!合コンで傷ついたのに、また傷つくようなことをするってか?そもそも俺はスポーツマンだし、あんなチャラチャラした場所、好きじゃないからな。」

三崎
「まあまあ、そう怒るなって。名古屋の魅力は女だって話をしただろう。驚くくらい楽しい時間を過ごせるかもしれないぜ。今日だけで良い!今夜は、名古屋モードのスイッチを入れるんだ!」

運命を変えた出会い ~クラブ~

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やたらと高まっている三崎(ミサキ)ではあったが、貯まったストレスを解消したいこともあった豪(ゴウ)は、半信半疑ながらもクラブに足を運んだ。


「ここってデパートで有名な松坂屋じゃないのか?」

三崎
「そうそう。この地下にクラブがある。」


「高級デパートの地下にクラブ?なんだか、めちゃくちゃだな。」

そこには、街中にいたら目立つであろう煌びやかな女性たちが、列をなして集まっていた。
ルックスのレベルは、確かに高い。

キャンギャルやレースクイーン、アナウンサーにさえいてもおかしくなさそうなレベルの子が、ちらほらいる気配だ。

だが、そんなにレベルが高い子がいたとしても、メガバンクの俺では相手にされないのでは?

その予想を遥かに覆される体験が、今ここから始まるとは、まだその時の豪(ゴウ)は知らなかった。

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