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夏休みの子供達へ*どこで笛吹く 小川未明

野原 圭
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夏休み。自分の子供時代はなんだかぼーっとしていたような気もするが、今は子供といえどもなかなかぼんやりできない時代だ。でも若者にはあえてテレビも見ずもスマホもゲームもしないで「暑いなー」とぼんやりしてほしい。
 完璧な人間もいない反面、すべてにおいてダメな人間もいない。人は皆、才能を持っている。残念なことに、洪水のように情報が氾濫する現在「そんなの流行らない・ダサい、トレンドはこれ」という時代の価値観に左右され、自分の内に息づく真の才能に目を向けることが難しくなっている。
 たとえば「音楽をやりたい」と思ったとする。他人に見向きもされなくても続けたいと思えば本物だが、「目立ちたい、売れたい」という虚栄心だけでの選択はおそらく好ましい結果を生まないだろう。音楽への愛があれば成功できなくても、生涯の友となるにちがいない。(良くないと思われる例が某国首相のご子息にみてとれる・・・)
 例外はあるものの、人はそれほど多くの才能に恵まれてはいないし、自分のことはみえないものだ。だから、他人に相談するのもいい。かつて「カウンセラー目指そうかな」と言ってみたら、居合わせた友人たちにそこまで言うかと真剣に猛反対された。正直少し気を悪くしたが、持つべきものは友達で、彼らの言うことは正しかった。
 もはや成長よりあの世の方が近くなった歳になってみると学校の成績など中途半端に良くてもあまり役に立たないように思う。それより、たとえ生計を立てることができなくても、時間を忘れて楽しめる、打ち込めることをみつけて欲しい。それはきっと困難にであったとき人生の支えになってくれる。いじめなどで学校に行くのがいやなら、自分の才能を伸ばせばいい。他人をいじめる人間は、心に広がる虚しさに苛まれ病んでいるのだから。やりたいことがあればそんな暇はない。
 内なる自分をみつめ、そこに眠る真の才能をみつける夏休みにして欲しい。
 そんな願いを込めて朗読した「どこで笛吹く」小川未明の童話。

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