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夜間ストーブで心に灯を

こんばんは、今日もご覧いただきありがとうございます。
また寒くなって(→寒いしか言わない)、もう気がめいりそうです。
春よ来いー(そんな強力粉でつくるパンはだからこそ愛着が凄くて)



今日の食日記

気づくと灯油製品は無くなってしまった。
少なくとも我が家からは(ガスストーブが懐かしい。幼いなりに凶器的な炎をビビっていた)。

昔は灯油を汲みに行き、非力な僕は勢いよくストーブに差し込んでいた。
簡単に火事になるのではないか?なんてビクビクしていた頃が懐かしい。

流石にやかんをストーブに置いてぐつぐつと沸かしていた記憶はないのだが、おばあちゃんの家に行けば今でもあって、ストーブの懐かしさとそこでしか味わえない和、みたいなものをすごく大切にしている自分がいる気がするのだ。

人々の和、冬のしんと鋭い空気の中に、光やホカホカのなにかが輪を作っているような気持ちになる。

カタカタとやかんが動き出し、もくもくとくれば、もうほっこりだ。
電気ストーブにはない臭さがまた味で。なんだか火という自然を相手にしている野性的な生き様にも落ち着く。

そんなガスだからこその解かれる心があると思う。アナログもやっぱり良い、
そしてとにかく暖かい。

寒い大阪。
とにかく。淀川が大都会大阪を真横に横断しているからか、海風のようないやらしい風がいつまでも吹いている気がして、心の奥まで凍ってしまいそうだ。

ぽっと心に灯る灯火を探すと、いつもホットコーヒーが頭に浮かんでくる。

とびきり温かい、マグカップを持とうにも持てないくらいの(自動販売機のコーンスープやミルクティが欲しくなるのは、両手にその温度を点火させたいからなのだろう。嘘じゃない)。

暖を求めたその記憶は、まさにストーブの灯を待っていた。



今日のお店

今日も探した。街ゆく人の間で出会った。平岡珈琲店(ずばり!百年珈琲のお店)。

くすんだ黄緑色のオーニングはピスタチオカラーで、耐え忍んできた強さをあっけらかんと見せつけられる。自然体の強さが当たり前にあって普通じゃない。なんといえばいいか。
いつもここにあるのだ。

焙煎の香りが香ってくる。
この香りを嗅ぐたびに、今日はもういいよ、と頭を撫でられたような気分になる。

珈琲の香りというのは難しい。多くは気合が入らずに、ボケーっと過ごしたくなるもの(なのかもしれない。あくまでカフェインが目を覚まさせるだけだ。と言いたい)。

珈琲の門構え。さすがの味わいにしっかりと一礼を繰り出してしまった(下調べによると100年珈琲なのだとか。道場にでも入るつもりで)。


THE珈琲な風合いに釘付け

のんびり飲み屋さんでも覗くような気分だ。

暖簾の奥の景色はいつだって愉快だ。
勝手な世界を作ってしまう。きっとカウンターがあるのだろうなと景色を作り、珈琲やグラスが間に会話が弾んでいてほしい、と思ってしまっている。
そこに交わりたいし、共にその場を作りたい。

そんな思いが駆け巡るから、ほかほかの店内で、脳内こそ抜群のコンディションで会話だって楽したいと願っているのだ。

一歩扉を開けた先、あたたかい空間だった。
いつもにはない、ガスの香りがふんわりと温もりになっているのがわかる。

身体を温めるように股に手を挟みながら着席する(寒い時、無意識にやってしまう、、止めたい)。

カウンターからマスターの朗らかな人柄が覗く。心がもう語りかけているのがわかる。

いつもそうだ。末っ子の僕はすぐに人に甘えてしまう。
喫茶店のマスターなんて特にそう(だってそんな顔してるんだもの。優しさの仏よ)。

ガスをつけるチチチチの音が、心に響いてくる。
懐かしい香りが記憶となってはっきりと思い出される。やかんから蒸気機関車のように溢れ続けるもくもくの湯気は、寒いからこそ余計に大胆で。
湿っていく潤いが、艶やかな思い出と重なっていくのだ。

そんなやかんから今入れてくれた珈琲と共に、甘い油の香りが鼻を刺す。
一般的な実家の匂いに、いくつかは分類されているであろう、ドーナツを揚げた甘い匂い。
サーターアンダーギーでも良い。


みんなの思い出の香り

懐かしい匂いに分類する癖に、改めてまた嗅ぎたい毎日でも嗅ぎたいと普通に思うのは、懐かしいというより、ただ好きな匂いなのだろう。

食べたくなるという感覚に結びつく匂いは、いつの時代も好きに決まっているのだ(なんせ100年)。

揚げドーナツがやってくると、まるでアイドルかのように景色が変わって見えた。すーっと甘い香りが抜けて、フォークを刺す。
ざっくりでしっとりで、プレーンな知っている変わらない味わいが一息つかせてくれる(みんな好きな味とはこのこと)。

やかんから入った、熱々入れたての平岡ブレンド。

一口飲めば、コーヒー豆の焙煎臭をなんとか見つけようと誘うような香りがする。
コクをつかめばラッキーな気持ち。ふんわりと香りじんわりと響く。

100年珈琲も愛されドーナツも、みんなが好きなストライクをきちんととらえた、豪速球だったに違いない。

そんな愛する(愛される)珈琲屋さんの記憶は、ドーナツも珈琲も。

でもそれ以上に思い出すのは、やっぱりやかんの音だった。


美味しいひと時に、ごちそうさまでした。
では、また次回。



今日のお店:平岡珈琲店(大阪市中央区御堂筋本町)



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