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たゆたう湯葉をしっかり噛み締めたい

こんばんは。
なんだか肌寒いではないですが。

9月から世の中秋モードすぎるのでは、、と思いつつも、なんだか秋を感じてきてうっとしてしまった今日この頃です。



今日の食日記

日本の滋味深き美味しさは出汁にある。
鰹出汁、椎茸の出汁、昆布だし、どれも手間暇がかかった黄金のに光透明のエキス。
お家で出汁を毎回取って作るその手間は、料理をしていると面倒くさいと痛感し、いつのまにか粒出汁に置き換わり(それならまだ良いのだが)気づけば和食から離脱さえしてしまう。

簡単で合理的な食事を覚えてしまった欧米化された今の日本は、和食の真髄なんてものを知らずに時が経ち、美味しいの基準もきっと味が濃くなってしまったのだろう。
椎茸出汁、昆布出汁だけではどこか物足りない感覚がその日本食離れを物語っていると思う。

欧米化を受け入れよう。そのフェーズに入ってくると、滋味深い日本の味はお店で体験しようと割り切るのはいかがだろうか(と実家の飯と)。
美味しい和食を味わいに行く。お店に。
それこそ令和のロマンなのではないか。若者が覚えておきたい和食を外に刻みに行こうではないか。
僕はそのフェーズに身を置き、しみじみと味わい”食の記憶”に一つ一つ積み重ねていこうと決めた。その日から和食を食べに行くことにこだわるようになった。


今日のお店

降り立った日光。
ここは湯葉の街。

高野豆腐にある、噛み締めた時のジュワーっと広がる出汁の旨みを吸い上げるあの幸せ一点投下。この日は吸い上げに来たのだ。

湯葉の街、微風もまた緩くて湯葉のよう(?)。
日光に行くのも一苦労したご一行は早速早めのお昼ご飯へ。

魚要という老舗のお蕎麦屋さん。
風情ある二文字の看板が正真正銘の魚要で、見つけてしまては後には引けず。

臼がどっしりと構え、今挽きたてと言わんばかりの蕎麦粉の良い香りが広がってくる。
そこは街の定食屋そのものだったが、店内はご新規観光客で溢れかえっている。
フーフーと冷ますように蕎麦そ啜る人がいれば、あぐらをかいてささっと啜り切ってしまう人もいる。ご新規客を地元のテーブル感でもてなせるこの名店は、それだけ懐が深いのだろう。

真夏の小旅行だったが、しっかりと熱々のかけ蕎麦を頼んだ。湯葉を食べるための蕎麦という位置付けに文句は言わせない。メニューの正式名称は「湯葉そば」なんだから。


贅沢に湯葉が4つも

大きな丼に並々に注がれた出汁から湯気が立ち上り、蕎麦が浮遊するは湯葉が顔を出すわで蕎麦なのに親子丼のような迫力さえある。
湯気を見ると鼻呼吸120%を繰り出したくなる僕は、出汁飲む勢いで出汁を嗅いだ。

鼻から温かくなるホッとする瞬間に、美味しいが漏れる(まだ一口も食べていないが)。

ずるずると啜った麺は自家製蕎麦打ちらしく縮れが早く、蕎麦の香りがふわっと大きくなる。
浮遊する蕎麦をかき集めるように箸でまとめては何度も啜った。

お楽しみの湯葉。
絶対に解きたくないミルフィーユ状の層には、渦に対して垂直に前歯を突き刺すスタイルで優しく歯を入れた(伝わる)。
鋭さ少しもない柔らかでとろりと解ける湯葉を舌でしっかりと確かめるように噛み締める。
ジュワーっと溢れる出汁をいっぱい吸った湯葉から、出汁の旨みがグッと押し寄せる。

はあ、幸せだぁ目を瞑って、大きな笑みが溢れていた。

何度食べても目一杯旨みを解き放つ湯葉に昇天しかける。
しかも4つも入っているではないか。

これを昇天グルメとでも呼ぼうか。

ゆっくりと味わうように啜っては、湯葉を吸い上げた。旨みを逃さぬように。

そうして、丼が空っぽになった頃には、すっかり観光にく気力などなくなっていた。
その後の日光散歩は相当きつかったとさ。

美味しいひとときに、ごちそうさまでした。
では、また次回。



今日のお店:手打ち生そば魚要(栃木県日光市御幸町593)



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