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日本の「ディーセントワーク」は発展途上!SDGsから考える働き方の未来

日本でも着実に認知度を上げている「SDGs(持続可能な開発目標)」の中に、働き方に関する目標があるのをご存じですか?

「8 働きがいも経済成長も」として、「すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する」ことが目標になっています。

日本で話題にならないディーセントワーク

ですが、日本国内でこの「ディーセントワーク」に当事者意識を持っている人は、あまり多くないのではないでしょうか。

「労働に関する世界的な目標」と言うと、「強制労働を根絶」「児童労働の禁止」「移住労働者の権利保護」「開発途上国に対する貿易のための援助」など、開発途上国の労働を思い浮かべがちではないかと思います。

「カカオ畑の児童労働をなくすため、フェアトレードのチョコレートを買う」みたいなアクションは、私にとっても連想しやすいです。

ですが、実は日本でもまだまだ「ディーセントワーク」は発展途上だと思うのです。

厚生労働省が発表した「ディーセントワークと企業経営に関する調査研究事業報告書」の中では、ディーセントワークは下記のように整理されています。

◆ディーセントワークの内容(我が国の整理)◆
(1)働く機会があり、持続可能な生計に足る収入が得られること
(2)労働三権などの働く上での権利が確保され、職場で発言が行いやすく、それが認められること
(3)家庭生活と職業生活が両立でき、安全な職場環境や雇用保険、医療・年金制度などのセーフティネットが確保され、自己の鍛錬もできること
(4)公正な扱い、男女平等な扱いを受けること

こちら、本当に達成できているでしょうか?

まず、労働組合がない会社も多いですよね。労働者には、労働組合をつくる・加入する権利があります。そして、労働組合を通じて、使用者とタイトな立場で労働条件について交渉することができます。

けれど、雇用者全体に対して労働組合に入っている人は17パーセント程度。

労組が活発な会社なら、会社と労働者は対等だという意識で交渉をしていると思いますが、ほとんどの労働者が「自分と会社は対等」という意識を持つことすらなく、交渉の場を持つという発想すらなく働いているのではないかと思います。

「家庭生活と職業生活が両立でき」も、ちょっと怪しいなと感じています。

できている人、できている会社はできています。一方で、まだまだサービス残業の横行や、過労死ラインすれすれ(もしくはそれ以上)の残業で、自分をすり減らしている会社員も多いはずです。

家には帰るけれど、「家庭の時間」「家族の時間」を十分にとれていると胸を張って言える日本人の方が少ないのではないでしょうか。

「馬車馬のように働く会社中心の生活」は、専業主婦の奥さんがいる前提でしか成り立たないと思います。共働きの子育て家庭で、仕事を一切セーブせず、家もきれいに整えて健康的に暮らすなんてほぼ不可能です。

「男女平等な扱い」も、日本は未発達だと思います。男性と女性で昇進のスピードが違う、産休を取ったら出世ルートから外れる、役員に女性がいない、なんて会社はまだ多いのが実情です。

政府は上場企業の女性役員の割合を2020年までに10%に引き上げるという目標を閣議決定したものの、実際は6%強。政府・経団連は2030年までに役員の女性比率を30%に引き上げる目標も、現状からするとかなり厳しい目標に感じます。

さらに、女性の社外取締役が増加しているようですが、社内昇格の女性役員は数字はわかりませんがかなり少ない様子です。女性役員の「数合わせ」に外部から人を引っ張ってきているようで、「社内の女性をそんなに昇進させたくないの?」と勘ぐってしまいます。

世間がすぐに変わらないなら、まず自分が変わる

このように、日本のディーセントワークの推進には課題が山積していると思います。

けれど、「環境に配慮したプラごみの削減」などに比べると、ディーセントワークへの関心は相当に低いと思います。

もっと自分たちが「働きがいのある人間らしい仕事をできているか」「自分の会社や案件で、誰かのディーセントワークを阻害していないか」と、真剣に考えた方がいいと思うのです。

社会を政策や制度で変えるのには時間がかかります。それでも、一人一人ができることはあると思います。

私は、「働き方改革」が叫ばれ始め、この「ディーセントワーク」というコンセプトを知ってから、まずは自分が実践するよう心がけています。

断れる残業は断る、理不尽な納期は押し返す、家庭に支障がある働き方はしない。

「サビ残が前提」の世の中だとこんな行為を続けていたら迫害されそうですが、少し世の中が変わってきて、「なるべく帰る」という方針は受け入れられやすくなってきたと感じています。

「残業を減らす」というのは世の中の流れができつつあると思うので、この流れが加速しつつ、「労使が対等であること」「労働者が意見を言えること」「男女平等な扱い」なども、少しずつでも実現していくといいなと思っています。

日本で「ディーセントワーク」が実現するのには、まだまだ時間がかかります。

それでも、「どうせ変わらない」と匙を投げるのではなく、一人一人ができることをやりつつ、社会の流れが変わるように意見を言い続けることは大切だと思っています。

パラレルキャリア研究所代表 慶野英里名

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