「人的資本」と「社会関係資本」も分散させた方がいい
これまで何度か、noteでパラレルキャリアによって「無形資産」を構築することのメリットについてお話してきました。
資産を経済資本だけに限定して貯蓄していると、価値が暴落することもありますし、使えばなくなります。
一方、スキルや経験などの「人的資本」や、人脈などの「社会関係資本」は、使ってもなくなりません。株価のように暴落するリスクも少なく、比較的安定してためていけるものだと思います。
「人的資本」と「社会関係資本」も減ることがある
とは言え、「人的資本」と「社会関係資本」が一度手に入れたらなくならないものだ、というのは誤解だと考えています。
たしかに、経験したことは失いません。
ただし、特定のスキルが時代遅れになってしまうことはあります。
時代に合わせてスキルや知見をアップデートしないと、気づけば相対的に自分の人的資本が目減りしているということもあります。
そして、人間関係もずっと変わらない保証はありません。
一度はいい仕事仲間になっても、会わなくなれば疎遠になります。
年を取るほど、在職中の知人、存命の知人も減ってしまいます。旧知の仲の知人が偉くなるというプラスのパターンもありますが、現場を離れて小回りが利かなくなり、気軽に仕事できる関係でなくなることもあります。
人的資本も、社会関係資本も、減り方はゆるやかですが、メンテナンスしないと減ってしまうものなのです。
時代遅れになった売れっ子
例えば、著作もあり売れっ子だったライターのAさんという方がいました。
Aさんは、緻密な取材や調査、深い掘り下げに定評があり、高単価ですが高品質な記事が書ける方でした。
紙の本や雑誌の全盛期には、引きも切らず執筆の仕事が来ていたようです。
ただ、出版不況が訪れ、紙の高単価な記事で食えるライターは減りました。
代わりにWEBメディアが増え、クオリティはそこそこでも、早くて安く書けるライターがもてはやされるようになりました。
Aさんは、安かろう悪かろうの仕事は相手にせず、相変わらず高品質の記事にこだわって執筆をつづけていましたが、やはり年々仕事は減ってしまったそうでした。
「安い」「早い」「SEOに対応できる」などのスキルを持つライターが活躍し始め、「高品質であること」の価値が相対的に目減りしていることに、Aさんは気づかなかったようです。
そして同時期に、懇意だった編集者が続々と定年を迎えたり、役員になって現場を離れ、発注する立場の若い編集者と面識がなく売り込みをかけられる相手も激減してしまったとのことでした。
もう少し早いタイミングで、執筆スキルをWEB寄りの記事に寄せたり、懇意の編集者の後輩や付き合いのない媒体の編集者とも接点を増やしたりすれば、「仕事が全然ない」という状況は避けられたのかもしれません。
順調な時も、リスク分散をする
今稼げるのスキルが、今の市場価値であり続ける保証はありません。今仕事をくれる人が、今後も発注し続けてくれるとも限りません。
仕事が順調な時でも、「人的資本」「社会関係資本」を少しでも広げておけば、何かの拍子にまるっきり仕事がなくなるリスクを避けやすくなります。
すぐに仕事にならないスキルや関係性が、将来何かの役に立つかもしれません。
そして、役に立ったかどうかは、ピンチになった時にしかわからないのです。
何が役に立つかわからない以上、「人的資本」「社会関係資本」などの無形資産を、少しずつ分散させておくのがリスクヘッジになると考えています。
自分の無形資産のポートフォリオが適切か、時代の流れの中で自分が持っているスキルや関係性の市場価値がどのように変化しているか、常に意識することも大切だと思います。
パラレルキャリア研究所代表 慶野英里名
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