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「自分らしく」をマジメに考える

私はパラレルキャリアを推進する講演や研修をしています。パラレルキャリアの魅力の一つは、「自分らしい働き方」を実現しやすくなることにあると思います。

会社員は、自分で仕事や働く仲間を選びにくい場合がほとんどです。会社以外に自分で選んだ軸足を持つことで、自分らしい働き方を実現したいと、パラレルキャリアをはじめる方は多くいらっしゃいます。

だから、質疑応答の時間などに「自分らしく働きたい」「自分らしく暮らしたい」「自分らしく在りたい」という言葉を頻繁に耳にします。

ただ、この「自分らしく」という言葉で、苦しんでいる方も多いんじゃないかなあ…と、実は思っていたりします。

「自分らしく」に窮屈さを感じず、前向きなエネルギーに変えるには、2つの軸が必要だと考えているので紹介します。

人と比べた「自分らしさ」ではない

「自分らしく」について考えて息苦しくなってしまうケースは、だいたい「人と比べてどこが特徴か」「世間の平均より優れている点は何か」のような、人と比べた自分らしさに縛られているのではないかと思います。

就職活動なら有効な視点かもしれませんが、それだと結局、「世間に言わされた自分らしさの枠」に閉じ込められたり、「市場から求められる基準に足りていない自分」に肯定感を持てなかったりして、かえって辛くなってしまうのではないでしょうか。

世間の評価よりも、自分自身の価値観や納得感を優先させた方が、幸福度は高いと思います。

他者を完全無視、は現実的ではない

一方で、「他者の視点をすべて切り捨てる」のは得策ではないと思います。

よく、「他人軸ではなく自分軸で生きよう」なんてフレーズも耳にしますが、他者からの評価を一切気にしないで、欲しいリターンを得るのは難しい場合が多いと思います。

自分の価値観や感性を大事にするためには、人との関わり合いの中で「自分を尊重してもらえる環境づくり」は必要なはずです。

有償の副業など経済的な活動を目指すなら、市場での評価、クライアントからの評価を勝ち得ないことには、望む報酬を手に入れられるはずがありません。

無償の活動でも、「感謝」「評判」などは他者からのフィードバックです。

人の輪の中で、「自分も相手も満足」という状態を作り出すのが、自分らしく働く・暮らすための必要条件だと思います。

理想と現実のギャップを「減らす」

そんなこと言ったら、「自分と他人、結局どっちが大事なの!?」と混乱してしまうかもしれません。

どちらが大事、という二者択一ではなく、理想と現実のギャップを減らして、「ちょうどいいバランス」を探すのがよいと思います。

「こんなふうになれたらいいな」という理想と、現実には、特に活動初期はギャップがあります。そして、そのギャップを生み出しているのは、仕事の場合は他者評価であることが多いと思います。

「スキルが低いので買い叩かれる」「実績が乏しいのでチャンスに恵まれない」という感じで。

自分が「心地よい」「幸福感がある」「満足度が高い」ことを目指しているのに、他者評価が低いことで理想のライフスタイル・報酬などを実現できていないならば、まずは他者評価を上げる必要があります。

他者評価を上げる時期は、「自分らしさ」「自分の求める働き方」を実現できない可能性もあります。ですが、修行中に一人前と同じリターンや自由度が手に入らないのは当たり前。自分らしくあるための道のりにいると信じて、努力を重ねる時間も必要です。

一方で、その道のりが辛すぎたり、未来にワクワクしないなら、「この他者評価は本当に必要?」「求めていた自分らしい働き方、本当に求めていたもの?」と自省してもいいかもしれません。

「世間に影響されていただけで、心から欲しいものではなかった」「他の○○の方が適性がありそうだ」と気づきを得たなら、最初に設定した「自分軸」にとらわれることはありません。自分が満足するなら、針路を変えてもいいし、目標を下げてもいいのです。

自分の理想と現実のギャップを冷静に見つめ、ギャップを埋めるためにどうやって他者評価を上げるかと、努力しながら「この方向性の理想、本当に欲しいかな?」と考え、適宜、軌道修正することが必要だと思います。

「理想=現実」に執着するより、ズレへの許容も大切

理想と現実が近づくほど、自己不一致感が減り、心地よさが増すはずです。途中に苦労はあっても、理想の実現のために努力して達成したときの喜びもひとしおでしょう。

ただし、いつでも理想と現実が完全に一致しているのが、最良の状態とも限りません。

目標を達成しきってしまったら、次に待っているのは停滞か衰退です。今がピークで下がるだけかもしれない、という不安にとらわれてしまうかもしれません。手に入れた最良の状態も、外的要因で崩れてしまうこともあります。

理想と現実の完全一致を求めると、少しのズレも許せなくなって息苦しくて仕方がないはずです。

だから、「理想と現実のギャップの許容範囲を広げる」ことも、幸福度を上げるために必要だと思います。

「理想に少し足りない」ときに単純にがっかりするか「張り合いがある」と思えるか。「理想的な状況だったのにズレてしまった」ときに「予想外のことがあるから面白い」と思えるか。

理想と現実のギャップをなくせるように前進しながら、そのギャップをいいスパイスと思える状態こそ、「自分らしく」「心地よく」生きていく土台なのではないかと思います。

パラレルキャリア研究所代表 慶野英里名


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