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個人で仕事をするなら、匿名はもったいない

「ライターのお仕事を紹介してくれませんか」と、知人に相談されました。

その人は数年前から副業でライターをしていて、細々とながらプロとしての受注経験もあるそう。

「いまいま、紹介できそうな編集部はないのですが、どんな文章が書けるか知りたいのでポートフォリオを送っていただけますか?」と連絡しました。

すると、「署名記事ではなく、名前を外に出せない記事ばかりなのでポートフォリオサイトはない」とのことでした。

たしかに、名前を出せない仕事もあります。私も、講演の実績はすべてサイトに載せていますが、企業研修は載せていないものがほとんどです。

ただ、「匿名の仕事」をこなしているだけだと、次の仕事はなかなか来ません。

仕事の報酬は仕事、などと言うように、今の仕事できっちり成果を出し、かつ、それが周囲に伝わるからこそ次の仕事がくるのだと思います。

自分の仕事ぶりや、得意なことを外に全く出せないと、新しいチャンスに恵まれにくいのです。

だから、もしも匿名の仕事ばかりだとしても、何らかのポートフォリオサイトは作るべきだと感じています。

ライターなら、「大手〇〇系サイトにて、年間15本の経営者インタビューの取材・執筆を担当」「30代女性向けサイトにて、〇〇年より月に2~4本の美容系記事を制作」などと書けるはず。

得意分野に関する資格やエピソードを書いてもいいでしょう。

旅行系記事が得意なら「世界遺産検定〇級(2022年1月取得)」「父親の転勤で京都、熊本、青森、志賀、神奈川に在住経験あり」とか。

グルメ系でやっていきたいなら「年間200杯のラーメンを食す」「週に1度、お取り寄せグルメを楽しむ」とかもアリ。

待っていても仕事は来ません。匿名の仕事しかなくても、「私はこれができる」「今、これをしている」という情報を、誰でもアクセスできる場所に置いて、その情報を発信した方がいいのです。

そして、できるなら、「自分の名前を出せる仕事」「仕事自体に自分の名前は出なくても、実績として外に出していい仕事」を増やした方がいいでしょう。

今時、仕事を依頼しようとする発注側は、相手に打診する前に名前を検索します。その時に、実績が豊富でポートフォリオサイトもある方が、ぐっと信頼性が増します。

逆に、検索しても何も出てこない状態だと、「本当に実績があるの?」と思われやすいし、「プロと自称しているだけなんじゃないの?」と疑われる可能性さえあるのではないでしょうか。

一方、名前を出したくない、と言う方もいるでしょう。

「ハンドルネームで活躍的できているなら、名前を出す必要なんてないんじゃないですか?」という声もあがったりします。

たしかに、ブログ、Youtube、SNSでハンドルネームで活躍されている方は多いし、マネタイズに成功している方もいらっしゃると思います。ハンドルネームに信頼と実績を貯めていけば、実名と同じように仕事の依頼はくるかもしれません。

「実名を出したくない」「ハンドルネームで仮想の人格の方が、イキイキできる」という方は、実名ではなくハンドルネームで活躍の場を探すのも一つの選択肢だと思います。

ただ、ハンドルネームで活躍を目指す方は、2つのリスクを自覚しておいた方がいいと思います。

1つは、「身バレ」です。どんなに本名・居住地・会社名を隠していても、ひょんなことから誰かに知られてしまう可能性はあります。

その時に、ネット上での言動や振る舞いが、実社会の自分の信頼を貶めるものにならないよう、日ごろから注意した方がよいと思います。

「ネットだけの人格」は、往々にして過激になりがちです。実社会でのしがらみや上下関係から解き放たれているので、普段の振る舞いより気が大きくなってしまう人は多いと思います。

ハンドルネームで活躍することを目指すにしても、ハンドルネームの人格と実社会の自分が結びついた時に、恥ずかしくない行動をしておく必要があると思います。

2つ目は、「アカウント価値の急落」です。

ブログにしても、Youtubeにしても、SNSにしても、そのプラットフォームの中で自分の価値が溜まっていきます。フォロワーの多さ、PVや視聴回数の多さ、プラットフォーム内の表彰などは、自分のアカウントの価値を上げてくれます。

その中で勝負することを決めたなら、プラットフォームの中での自分の価値の向上に努めるのはもちろんいいことだと思います。

ただ、どんなに頑張っても、そのプラットフォームが終了したり、アカウントをBAN(アカウント停止)されてしまったら、一瞬で積み上げてきた価値がなくなってしまいます。

また、プラットフォーム側のアルゴリズムの変更や、流行の変化によって、アカウントの人気がかげることもあります。

そして、価値を失ったアカウントを運用してきた実績が、全く評価されない可能性もあります。

「〇〇ブログで、ブロガーアワード主婦部門の2018年大賞を受賞しました(ブログサービスが終わってもう何もないですが)」
「Youtubeのチャンネル登録者数が20万人いたんですよ(BANされて1年前に再始動して今の登録者数は1万人ですが)」

なんて言っても、「で、今は?」となってしまいます。

ハンドルネームだけで活動することは、自分の命運をプラットフォームに預けることになります。

だから、もし、ハンドルネームで活動するなら、1つのプラットフォームだけでなく、他のSNSやサービスでもフォロワー獲得を目指すなど、リスクを分散させた方がいいと思います。

その点、「自分の本名」は絶対にどこにも逃げ出さないという点で、軸足を置くに値すると思うので、私は実名で活動をしています。

どんな名前で活動するかは人それぞれ。

ただ、「1つの名前に信頼と実績を蓄積する」「利用しているプラットフォームの1つがダメになった時にすべてを失わないように備える」という視点は、何を選ぶにしても必要なはずです。

パラレルキャリア研究所代表 慶野英里名(けいのえりな)

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