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取引先からワイロを渡された話


こんにちはーワイロもらってますか?

オリンピック誘致にジャボジャボとワイロが投入されていたことが発覚し続けてる今日のジャパンですが、それはエビルだとして「あ、ワイロって本当に効果あるんだ?」という感想もあるかと思います。

不思議ですよね。書面で契約したわけでもなく。
公に「これはワイロです」と口にするわけでもなく。

互いに察し。暗黙の了解。信頼関係。
ちゃんと効果を発揮してくれるワイロ。

言葉は不要。国境を越えた人と人との繋がり。
・・・これまさにオリンピックという感じもします。

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・・さて、そんな絆(ワイロ)の話をしましょう。

正月になると、『社員一同で神社へお参りに行く』 
そんなアットホームな会社も多いはずだ。

当然、お賽銭を投げるのだが。

5円。10円。100円。500円。
1000円。1万円を投げる者までいる。

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一体どうして金額に差異が出るのか?

初詣の行列に並んでいると、
人々の雑談が聞こえてくる。

「今年受験だから1000円投げとくわ」」

「今年は勝負の年だから1万円入れちゃったよ~」

まぁ・・・・そう、

たくさんお金を払った方が
『神様が優遇してくれるんじゃないか』
『自分の夢を叶えてくれるんじゃないか』

そんな期待してお金を多く投げるわけだが・・・

どうも腑に落ちない。
いや・・・めでたい話だ。

神様なんて姿かたちも知らない。
存在そのものがあやふや。

そんな相手に金を渡して、
まして見返りを期待するなんて・・

冷静に考えると何もかもおかしい。

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神「1万円くれたから君の夢叶えるよ~」

貧民「ヤッターーー!」

こんな神様イヤじゃないのかなぁ・・・

・・・そんなあやふやな相手にすら金を渡し、
期待や安心感を得たいと思うのが人間だ。

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正月、初詣から会社に戻ると、
取引先が挨拶をしてくるのが通例だ。

古い業界の習慣ですね。

当時、私はとある設備の販売などをしていたので
もちろん挨拶に来るのは『メーカーの営業』だ。

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我が社は特殊な事情があって、小さな会社にしてはたくさんの設備機器を販売していた。

昼頃になると50代の初老の男性二人が、
満面の笑みで会社にやってくる。

彼らは一流メーカーの中堅社員であるからして、
『ド』が付くほどのエリートだろう。

テカテカと輝く頭。
肥えた腹。焼けた肌。

オーダーメイドらしきスーツからは、
まだバブルの残り香が漂っている。

「いつも我が社の商品をたくさん販売して頂き、
 誠にありがとうございます!!」

二人は深々と頭を下げて、下げて、下げすぎて、
ホッチキスかトングのような形になった。

・・・・なかなか頭をあげようとしない。
そして頭をあげた瞬間も笑顔。笑顔。

満面の笑みを崩さない。

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こういう卑屈な態度の下に見え隠れする
自信や信念というのはホラーでしかない。

妙な圧がある。圧しかない。
笑ってるのに笑ってない。

これは腹の内が見えない・・というか・・たぶんアレは逆に我々のことを見下しているんだと思う。過剰なパフォーマンスをすることで、演技であることを強調して自尊心を守っているのだ。

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なるほど・・これが一流メーカーの営業マンか。

・・・・同じ営業とはいっても、
業界によって文化や習慣は大きく異なる。

それぞれが違う部族なのだ・・・
わかりあえるはずもないか。

すると営業マン二人はスッ・・と
カバンから大量の紙の板を取り出した。

「・・・こちらお年玉スクラッチクジです
 もし、当たれば景品を差し上げます・・」

そう言って我が社の営業ひとりひとりに、
数枚ずつスクラッチクジを配り始めた。

「さぁどうぞどうぞ!」

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・・・まぁ断るわけにもいかない。
なのでスクラッチをガリガリ削ってみた。

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すると・・・・・当たった。

ビール券5000円。

(おおっ・・ラッキー!!)

メーカーの営業は手をパチパチ叩き、
「おめでとうございます!!!」と
満面の笑みで当たりクジを讃えてくる。

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次のスクラッチを削る。
すると・・・・・・また当たった。


商品券5000円。

(・・ラッキー・・?)

またメーカーの営業は手をパチパチ叩き、
「おめでとうございます!!!」と
満面の笑みで当たりクジを讃えてくる。

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「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

ん?これはまさか・・・
という気持ちになる。

1枚。2枚。3枚。4枚。


削る・・・削る・・・削る。


当たり・・当たり・・・当たり。

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ぜっ・・・全部当たりじゃん!!

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まっ・・・・まさかこれは・・・・

その当たりクジの山を見て。
・・・背筋がゾッとした。

メーカーの営業は手をパチパチ叩き、
「おめでとうございます!!!」と
満面の笑みで当たりクジを讃えてくる。


「いやぁ~~新年早々、運が良い!!」

「すばらしい強運!!!ついてますねェ!!!」

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パチパチパチパチ・・・・・

「・・・・・・・・・・」


メーカー営業の臭いオベンチャラは無視して、
隣にいた先輩にそっと声をかける・・・・

「えっ・・これ・・・・?」

「うん・・・・」

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先輩である60近い営業マンは、
無言のままウンウンと頷いて答える。

言葉は発しない。説明もしない。

ただ、察せ。それだけだ。

いや・・・一言だけこう言った。

「・・・ほらっオレの分もやるよ」

「えっ・・・・・・・?」

スクラッチクジの束を渡してくる。
そして先輩は一瞬、私の顔をジッと見つめた。

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察せ。だ。

・・・ドキッとする。

黙って貰えってことか・・・そして
これはほんの一部ってことでもある・・

これが一流メーカーのワイロというものか。

だいたい合計〇万円。
それなりの額になった。

全員にこの額をポンッと配るとは・・・・
きっと社長や役職者には・・・もっと・・?

これは言う間でもなくこういうことだ。

「これはワイロです!!いろんなメーカーの製品がありますが、お客さんから依頼を受けた時は必ずウチのメーカーの製品を優先的に勧めるようにしてくださいね?だってこんなにお金を沢山あげたんですから!!」

・・もちろんこんなことは誰も言葉にもしない。
約束でもない。契約でもない。確約もしない。

あくまで水面下で心理戦の一つ。

これも当然だが・・・・
「お金をもらえたラッキー」などと、
安易にそう思う社会人などいない。

嫌な汗がドバドバ出て来る。
なんだこりゃ・・なんだこりゃ・・と。

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1枚・・・2枚・・・3枚・・と

スクラッチを削る最初は嬉しい。
スクラッチを削る違和感を感じる。
スクラッチを削るワイロだと気づく。

こうやって段階を経て
ジワジワと心を責めてくる。

「おお!」「・・え?」「・・あれ?」
「・・・・あっ・・・」(虚無)


すべて削った後で・・負い目を感じる。

これは実際にやられると・・・
想像以上にインパクトがある。

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メーカーの営業は我々が困惑する姿を、
楽しそうにニコニコ眺めている。

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・・・・この新年の始め。スクラッチクジ。
タイミングも良い。断りづらくもある。

・・・なかなか巧妙な圧のかけ方だ。

まぁそのせいかどうかわからないが・・・

その年も、そのメーカーの製品はよく売れた。
ワイロの効果があったかどうかはわからない。

・・・・口にする者は誰もいない。

おわり

投げ銭して頂けると。とても喜びます。