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一般動詞の三人称単数現在形の変化や、そもそもスペルを覚えることが苦手な人の覚え方

中学生でも、高校生でも、大人の方でもうっかりやってしまうのが、動詞変化のスペルミスですね!表題では三人称単数現在形、いわゆる三単現の変化と書いていますが、このページでは、単語全般の覚え方・学習方法についてご紹介していきます!スペルだけでなく意味を覚えるときにも使えます😊

同時に、これまでみなさんが取り組んできたであろう方法の効果についても検討していきます。

ベーシックなスペルの覚え方

高校で教えていて、よく見るパターンをご紹介します。でも高校生だと、スペリングの単語テストが無い限り、もしくは筆記の入試がある大学を受験する予定でないかぎり、スペルを正確に覚えようとはしてくれません。どちらかというと単語の意味を覚えるための方法としてスペルを書いている場合が多いです。

それはノートの端から端まで埋め尽くすくらいにぎっしり書く方法です。1行に1単語の場合もあれば、3行分くらい同じ単語を書いている場合もあります。このタイプの課題を長期休暇の宿題や、赤点補填の課題として出す先生も多いです。

時間と体力をかけて行われ、その努力の証が常に目に見え、書けば書くほど単純に増えるので達成感が生まれる気分のいい方法ですが、記憶の仕組みという観点から言うと、ひたすら書いて書いて書きまくる!はあまりオススメしていません。

すでに実感済みかとは思いますが、脳は無限に情報を記憶できるわけではないですよね。パソコンと同じで容量があり、さらに一時保存フォルダと永久保存フォルダの2種類があるんです。


記憶の仕組み:一時保存フォルダと永久保存フォルダ

情報はまず一時保存フォルダに保存されると思ってください。電話番号や、テスト直前のスペルなど、一時保存さえできればOKの場合、このフォルダが役立ちます。ひたすら声にだして暗唱したり、書いて書いて書きまくれば、とりあえず保存できます。だけど一時保存フォルダなので、そのままだと、それらの情報を永久に覚えておくことはできません。自然と消えていってしまいます。

情報を自動で永久保存フォルダに移行してくれることもありますが、基本的には手動で行う必要があります。

えー!ぜんぶ自動で移行してくれたほうが楽なんですけど!?と思いますよね。だけど脳は、全部を自動移行するわけにはいかないので(容量がパンクしちゃいます!)、自動移行するためのある選ぶ基準を持っているんです。


記憶の仕組み:自動保存の仕組み

自動で行われる基準は、自分にとって感覚的にインパクトのある経験であることが多いです。

昔好きだった人のことをいつまでも覚えてられるのは(過去は振り返らない!次へ!次へ!と前進する人でも、自分が好きだった場合は、少しは覚えていますよね?😂)、強い気持ちが自動保存のキッカケになるんです。悲しみや衝撃は度を越すと、逆に記憶喪失を引き起こすこともありますね。感覚は、このように記憶と強く結びついている存在なんです。

気持ち以外にも、目で見る情報、匂いの情報、音からの情報、味の情報など、五感に関するインパクトは、記憶を永久保存フォルダに自動移行してくれることが多いです。わたし、ロンドンで食べたクソマズ飯のこと、絶対に一生忘れない自信あります…。

このようにして永久保存フォルダに保存されはするものの、そのフォルダのなかにはたくさんのフォルダが存在します。情報は常に蓄積されていきます。年齢別だったり、季節別だったり、出来事別だったり、関わった人別だったり…。多数のフォルダと情報が複雑な階層を作って関連しあっています。だから1つを開くと自動的に他のフォルダも開かれたりします。

当然、数がたくさんあれば、下の方へ埋もれていくフォルダや情報もあります。でも一時保存フォルダのように削除されてしまうわけではないので、記憶のどこかには残っているんです。そういう存在感が薄くなっていった情報は「あー!そういえば!思い出した~!」というふうに、なにかをきっかけにして掘り起こされることがありますね。

ではこの仕組みをもとに「書いて書いて書きまくる!」を考えてみましょう。疲れや達成感という気持ちはたしかにありますが、同じ動作を繰り返し延々と行っていたら、インパクトは薄れてしまうものではありませんか?すごい豪華な食事(1食3万円)を、もし1日3食同じメニューで1週間食べ続けたら、その食事への興奮や満足感って薄れていきますよね。

書きまくる!方法は、目に見える記録と達成感が残る分、やってやった感がすごい強いんです。でもその達成感に、記憶の定着率は比例してくれないことのほうが多いんです。上で述べたように、記憶に付随するべき感覚的なインパクトがないからなんですね。

(これは整理されたノートづくり≠キレイなノートづくりの話と共通しています!めちゃくちゃカラフルにキレイな文字で時間をかけて作るノートが必ずしも効果的とは言えない、というお話です。)


記憶の仕組み:手動保存の仕組み

永久保存フォルダに情報を自動保存をしてもらうには、記憶に付随するべき感覚的なインパクトが必要だということがわかりました。ということは、手動で情報を保存したいときも、意図的に感覚的なインパクトを作り出せばいいということになります。

意図的に感覚的なインパクトを作るってなんやねん!わたしは自分の気持ちに素直だから嘘で驚いたり悲しんだりできないんですが!?まして単語のスペルを覚えるときなんて無感情以外のなにものでもないんですが!??苦痛なら感じてるけど…苦痛を感じすぎてるあまり脳が麻痺して、感覚的なインパクトは薄れてるみたいだし…。どうしたらええっちゅうねん!!!?

…という声が聞こえてきそうだったので、先に書いておきました。

手っ取り早い手段は、「一度、その情報を忘れること」です。「忘れる」って、感情のインパクトとは関係なさそうだし、逆に遠回りしているように聞こえますが、記憶のシステムに関しては、急がば回れ!ルールなんです。

シチュエーションで考えていきましょう。

たとえば4月1日の始業式に英語科から学年全体に単語の宿題が出て、あなたはしょっぱなから50個の単語のスペルを覚えなければならなくなりました。期限は初回の授業の日、4月8日です。1週間しかありません。友だちのAさん、Bさんは以下のように話し合っています。

Aさん「無茶振りすぎるワロタ。もういいや、めんどくさいし、テストの日の朝に一通り書きまくっておけばいいや」
(=一時保存フォルダに全力で頼るプラン)
Bさん「まじか。でもまぁわたしは根が真面目なので、やってやりますよ。毎日コツコツ書いて覚えるとします」
(=計画的に毎日紙に書いて、数をこなすことで永久保存フォルダへの移行を目指すプラン)

それを聞いているあなたは内心このように感じています。

「Aさんのやり方だとテストが終わり次第そっこう忘れちゃって、結果的にはやりがいがなくて虚しいんだよな…。どうせ中間試験でも同じ範囲が出るなら、もっと長い期間覚えてられるやり方がいい…。かといってBさんのやり方は面倒すぎるな。部活もあるし、塾もあるし、英語だけにかまけてらんねえよ!第一、書きまくるのは手が疲れるうえに、数をこなした分だけテストで成果をだせる自信はない!!」

「じゃあどうする?」という問いの答えが、先ほどの「忘れる」なんですね。具体的にどうやって「忘れる」のか、これから手順をご紹介します!


手動保存の仕組み:覚えるために忘れる

1.まずは「覚えよう」という意気込みが必要です。
覚えていないものを忘れることはできません。かといって覚えられているなら、忘れる必要はありません。ここで重要なのは、あくまでも「覚えてやろう!という意気込み」なんです。

意気込みを示すには、まず最初にするべきことがあります。早い段階で(例の場合は4月1日のうちに)、課題のすべてに目を通すということです。目に通しながら、以下の点をチェックしていきます。

・課題はいくつあるのか?
(50個!)
・そのなかにすでに書けるスペルはあるか?
(確実なのは10個!怪しいのが5個!あとは分からん…)
・期限まで何日あるのか?
(7日間!)

課題の分析ですね。「50個のスペル暗記」と聞いただけで、拒否反応を示し、現実を直視しないというクセはなくしていきたいものです。課題の全体像を明らかにすることで、実際に自分が取り組むべき本当の課題を理解し、心に余裕が生まれることもあります。(例では50個のうち確実に10個のスペルを知っているので、実際には40個の課題となりました)

2.課題に対し軽いジョブをうちます。
いきなり40個を同時に取り組むのは大変なので、10個のグループを適当に4つ作ります。(品詞の理解は重要なので、品詞ごとに分けてもいいですね)そしてそれぞれのグループごとにオリジナルのテストを作成します。

ポイントは「面倒な手間をかけない」ことです。紙は裏紙でいいんです。シャーペンでもボールペンでも、1色あればOKです。番号すら振る必要はありません。スペルの和訳をランダムに配置していきます。(リストの順番どおりに書くとうっかりその順番を基準にしてスペルを覚えてしまうので、ランダムをオススメします。)

例では、この作業を学校から帰ってきて、夕飯を食べ終わったあとに行ったとしましょう。この日行った「課題への軽いジョブ」は以上で終了です。(気力があれば、下の3番までいっきにやってもいいです😊)

3.1グループを選び、5割くらいの全力でインプットします。
インプットの方法は、5割の全力で行えることならなんでもいいです。5割の力でスペルを書く(1単語につき1回とか2回とか)というのでもいいです。スペルを声に出すだけでもいいです。時間としても50%の本気なので、そんなに長時間は取り組まなくてOKです。5分とか、疲れない・飽きない範囲で行いましょう。

「本気でインプットしてないから忘れているのも当然だ」という余地を残すのは、ポジティブに、気楽に学習する姿勢を意図的に作るためです。つらすぎると止めたくなりますよね。自分に負荷をかけすぎない、というのも大事な学習の手法なんです。

残りのグループも5分ずつ、順番に、ざっくりと取り組んでいきます。ここでは4グループのインプットに対し20分かけた、ということにしておきましょう!朝の通学の電車のなかで、これを行うことができました。

4.自分が作ったテストに対し真摯に向き合います。
1~3までは、ゆるゆるな気持ちでしたが、ここでは全力、100%の力を注いでください。全力を出せば出すほど、忘れていたときの悔しさが増量します。ここでようやく意図的に感情のインパクトを作り出せるんです。

4枚のテスト、もちろんステップ3の軽いインプットだけでは、100%の正答率を狙うことは難しいでしょう。でも真剣に取り組むんです。真剣に「思い出そうとする」こともまた、感情のインパクトと同じくらいに強い脳への刺激となります。

これを行うタイミングは、12時間以内がいいと思います。あまり時間があきすぎると、インパクトが生まれにくくなります。(時間が経てば忘れるのは当たり前ですから!)忘れているか、忘れていないか、スレスレのタイミングで行えるのがベストです!

夜にステップ3をしたなら、翌朝にステップ4をするとか。朝の通学中にステップ3をしたなら、学校について一息してからステップ4をするとか。あくまでも12時間は目安ですので、できるタイミングを作って行ってみましょう。

テストを丸付けしてみると、「あー!これあの時やったー!めっちゃ覚えようとしたのに覚えてなかったー!」とか「一番適当にやったつもりのものがなぜか覚えられてる…!?」とか「1文字スペルミスもったいない~!」という気持ちが湧いてくると思います。悔しいという気持ちのインパクトですね。

40個のうち、あなたは半数以上のものを忘れているかもしれません。だけど、これはただ忘れたわけではないんです。情報がインパクトと紐付いた状態を作り出せています。だからこの時から永久保存フォルダへの移行準備が始まった、と思ってください。

5.軽いインプット→真摯に向き合うことを繰り返します。
あとはもうタイミングをみて、ステップ3とステップ4の手順を繰り返していくだけです。もちろんその都度テストは適当に作り直す必要があります。面倒であればQuizletなどのテスト作成機能つき単語学習アプリを使用してください。

7日間の猶予がありました。すでに1日消化していますので、残りは6日間。この期間に、どれだけこの「覚えようとする→思い出そうとする→忘れる」のステップを繰り返せるかで、記憶の定着率は変わっていきます。1日1回テストを行えたら、試験の日には大半を覚えている可能性が高いです。仮に間違えが多かったとしても、それは空欄のままにしたり、まったく別の単語を書くのではなく、1文字スペルミスなどの「良い間違い」に変わっていくはずです。


手動保存の仕組み:他の気持ち・情報とリンクさせる

さきほどの方法では「悔しい気持ち」と「忘れて思い出す」ことを記憶の引き金にしましたが、「意図して感心する状況を作る」「意図して驚く状況を作る」ことでも、手動保存を行うことができます。

たとえば辞書を引いたら「へぇ~!この単語にはこんな意味や使い方があったのか」と思えますよね。感心や驚きです。英文を読んでいて、アフリカの難民について取り扱ったとします。英文の内容に興味を持っていれば、「貧困」(poverty)というキーワードは、比較的覚えやすいはずです。このようにプラスアルファの情報とリンクさせることで、定着をはかれます。

だけど書いて書いて書きまくる!のときと同じで、全部の単語を辞書で引いたり、英文読解に出てきた単語全部に対し一気に興味を持つのは、インパクトが減ってしまう原因になりますので注意が必要です。少しの数に絞りましょう。覚えたい単語の優先順位付け、取捨選択が大事です。


中学1年生が動詞の変化やスペルを効率よく覚える方法

このページの終わり間近ですが、ようやくここで表題に戻ります。表題を動詞の変化に限定したのは、それが日本における、英語の最初の壁だからです。小学校英語で楽しく遊んできたのに、中学校英語では正確性を求められて、しんどい思いをしている生徒がたくさんいます。

中1でつまずくと、その後立ち直るのはなかなか大変です。自力でどうしようもできない場合は特に、いい先生に巡り合うことがなければ、そのまま英語キライになってしまうんですよね。高校の授業ではもっと大変な思いをします。進路や将来を選択するうえで選択肢が狭まる原因にもなります。そして社会人になってから、英語もっとやっておけばよかった~!と後悔してしまうことも…。

中学1年生と書きましたが、英語に苦手意識のある方にも共通していることですので、年齢はあまり気にしないでください!

1.単語の優先順位付け:自分に関連する単語から覚える

一番とっつきやすい単語は「自分に関わりが深い」ものです。自分自身でも、自分の趣味に対してでもいいです。とにかく自分とのつながりが少しでも見える単語から覚えていきます。例えば名詞ですが「violin」って、ほとんどの一般家庭には存在しないですよね?これが書けなくて困るのはテストのときだけで、実生活との関連性は低そうです。こういうのは後回し!いっぽうで「restaurant」は長くて大変だけど実用性が高い単語なので優先順位は上げたいですね。動詞も同じように考えていきます。

2.動詞の変化は主語と一緒に覚える

haveの三単現変化はhas!と何度言っても忘れてしまうのは、三単現というキーワードがhe/she/itやそれにあたいするKen/Jenny/a dogなどとうまく結びついていないからです。

だったら最初から、主語と一緒に書けばいいんですね。代名詞(he/she/it)だけを使って文を作る練習すると、人名がふらっと出てきたときに間違えてしまう場合が多いです。不意打ちくらってしまうみたいなんです。これを防ぐためにも、身近な人の名前も使って練習するといいですね!

3.使用頻度の高い動詞の変化の優先順位を上げる

使用頻度の高い動詞は、たくさんの使い方を持っているものです。「get」は「手に入れる」以外にも「~になる」や、「get up」で「起き上がる」など使えますね。「make」は「作る」だけでなく、「make me happy」のように「~を…の状態にする」とも訳せます。こうやっていろんな使い方を持つ動詞ほど、現在形では単純な形をしているくせに、不規則変化動詞を持つ事が多いんです。「get」は「got」、「make」は「made」のように不規則に過去形を作りますよね。不規則変化動詞なんて、めんどくせえ!と感じがちですが、逆に考えれば、これを制するものは中学英語の動詞を制したことと同義なんです!

4.スペルを覚えたいときは、スペルそのものを声にだす

たとえば「drive」というスペルを覚えたければ、次のように声にだします。

①スペルを見ながら、単語・スペル・単語の順で読む。
「ドライブ。ディー・アール(巻き舌で)・アイ・ヴィー(下唇に上の歯を軽く当てつつ)・イー(口を横に延ばしつつ)。ドライブ。」

なるべく、英語らしい発音をこころがけます。特にLとRやBとV、GとJ、CとKは、スペルを書くときに間違えやすいですから、英語の発音のやり方を意識しましょう!

②スペルを見ないで、復唱する

「ドライブ。ディー…」くらいまでなら、すぐに簡単に言えると思います。残りのスペル、思い出そうと努力してください!小学生や中学1~2年生だったらご両親やご兄妹と一緒にクイズ形式で遊ぶのも楽しいと思います。

③ヒントを出すときは、元の単語の発音から推測してもらう。

わたしがヒントを出すときは最初に元の単語を英語らしく発音します。

「単語の発音は ドゥラァイヴ だよね。ドゥッ…はアルファベットと同じだから分かりそうかな?」

というと、ついアルファベット通りに「do」と書いてしまう子も多いです。そういう場合は、

「doって書くと、ドって読むんだよね。でも実は、driveはドじゃなくてドゥッ!ドライブじゃなくて、ドゥラァイヴなんだよ~」

と、英語のスペリングのルールをその都度伝えます。

「ドゥラァイヴ、だから、次は舌まきまきな音だね?そういうときはどのスペルだっけ?」

というふうに何度も発音を聞かせながら、1文字ずつ進めています。限られた時間だと全部の単語でこれをやるわけにはいきませんが、エクササイズのあいだの息抜きとしてはちょうどいいです!

これは最近思いついて、スペルを覚えるのが苦手な生徒さんに、かなりオススメしている方法です。記憶力ゲームのようなものなので、けっこう盛り上がります。何度もやっていくうちに自然と、永久保存フォルダに放り込まれますしね。

利点としては発音とスペルを声に出すので、リスニング・スピーキング対策にも繋がりますし、スペルの組み合わせを自然とおぼえていけるので、英語らしいスペリングのルールを覚えることができます。

大人の方もぜひ、セルフでやってみてくださいね😊

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