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タラちゃん英語はやめるです~!タラちゃんは専売特許を持ってるです!

英語ビギナーズラックの方々がおそらく99%無意識的に習得してしまう「タラちゃん英語」についての記事です。この記事は、学習者本人だけでなく、小学生・中学生に英語を教える機会がある方々にも向けて書いています。

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※タラちゃんことフグ田タラオくんは、長谷川町子先生著作・サザエさんの登場キャラクターです。英文法の説明をするためにお借りしています。※

タラちゃん英語ってなんやねーん!

「タラちゃん話す英語」という意味ではありません。(タラちゃんはたぶん英語を話していないと思います)わたしが使っている「タラちゃん英語」というのは、「タラちゃん文法にのっとって作られた英語」を指しています。


タラちゃん文法ってなんやねーん!

こちらは「タラちゃん 喋り方」でググった結果、出てきた記事です。この記事では、アニメのある回の概要を説明しているのですが、そのなかでタラちゃんのセリフが出てきます。

"ここからタラちゃんは壊れたレコードのように「ママが言ったです」を繰り返す。"

「ママが言ったです」

ふつう「ママが言った」で済むところを、「ママが言った + です」とするのがタラちゃん文法です。英文法的に考えると「一般動詞」と「be動詞」が一度に使われているんです!「Mom said so.」で済むところを、「Mom was say so.」のように表現しているということです。(もっと厳密に言うとMom is said soですが、うっかり受動態らしきものに見えるので、be動詞を現在形にしました)

このタラちゃん文法、実は英語ビギナーズラックの方のあいだでよく見られる文法なんですね。教育実習先の中学校でも、塾でも、高校でもたくさん見てきました。

例文を見てください。いつの間にかタラちゃん文法を習得した学習者の方が、「彼はママのことが好きです」という日本語に合わせて英文を書こうとしたものです。

He is love his mom. 

このように、反射的にどんな文章にもbe動詞を使ってしまうんです。理由はおそらく、「be動詞」は「です」の対訳、「love」は「好き」の対訳だと思っているからです。特に学校の教科書の和訳は丁寧語で書かれるのがふつうなので、どの文もだいたい「~です。」で終わっているんですよね。そうすると、「です=be動詞」と勘違いしている子たちは、ついつい「です」で終わる全部の文章にbe動詞を加えてしまうというわけです。


タラちゃん英語を避けるには!?

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※タラちゃんことフグ田タラオくんは、長谷川町子先生著作・サザエさんの登場キャラクターです。英文法の説明をするためにお借りしています。※

Be動詞と一般動詞のルールでつまづかなくする方法は、「be動詞に対する考え方」と「be動詞の訳し方」をアップデートすることです。塾にいた中学生(1年でも3年でも基本が習得できていない層)のほとんどは、アップデートをしてから、be動詞の扱いが上手になりました。be動詞は進行形や受動態でも使う大事な文章の幹ですから、一語一訳のように、「です」という訳だけでbe動詞を覚えることは絶対に避けたいんです。

Chapter 1 「品詞を理解する」の「動詞とは」で紹介したこちらの図を見てください。

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動詞には、主語の動作を表すものと、主語の状態を表すものの2種類にわけられるというお話をしました。この図では紫色の丸ですね。be動詞は「状態を表す動詞」の仲間です。

紫丸の下の緑の枠のなかには、基本的な訳し方を書いています。

状態を表す動詞の基本的な訳し方は「~という状態・存在である」です。「です」一言では済まされない意味が本当は込められているんです!ちなみに、どんな動詞だろうと、この基本的な訳にのっとって考えればだいたいは大丈夫!

その他の状態動詞
like「~を好きという状態である」
keep「~を保っている状態である」
have「~を持っている状態である」
seem「~という状態・存在のようである」

この訳し方でbe動詞を考えていけば、「彼はママが好きです」という文章を作るときに、「be動詞は存在や状態であると訳すのかぁ」と最初に考えられます。「です=is」と反射的に考えなくて済みますね。そして、その文章中にbe動詞は必要ないということに気づけるようになります!


余談:be動詞が活躍する文法

少し前に「be動詞は進行形や受動態でも使う大事な文章の幹」と書きました。こちらも簡単にここで紹介しておきますね。進行形とは、「主語がその時行っている様子」を表すための表現です。受動態は「主語がだれか・なにかによって、なにかされた様子」を表すための表現です。どちらの表現もbe動詞を使って作ります。

She is singing "Be our guest" from Beauty and the Beast.
彼女は『美女と野獣』の『Be our guest』を歌っています。

この場合、「is」は「現在の状態」を表し、「singing」(singが現在分詞形に変化した形)は「行っている動作内容」を表しています。合わせて「~を行っている状態」と考えることができますね!

"Be our guest" was written by Alan Menken and Howard Ashman.
『Be our guest』はアラン・メンケンとハワード・アッシュマンによって作曲されました。

この場合「was」が「過去の状態」を表し、「written」(writeが過去分詞形に変化した形)は「行われた動作内容」を表しています。合わせて「~が行われた状態」と考えられます!

これで中学2年生までの英語はバッチリ!1つ1つの表現を別個に学んでいくと、次々と新しいルールが追加されていくように感じられるのですが、実際には同じことを繰り返していたんですね。この内容は今後Chapter 2 の「なにかの説明を伝えたい動詞を網羅する!」という単元で、もう1度扱います。singingやwrittenといった動詞の変化は、「分詞」と言い、形容詞の役割を作っているからです。いまは形容詞への理解は後回し!ですね!

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