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お守りは100年経っても「返却」しよう


いよいよ、モノの片付けもラストスパートを迎えた。

本棚の奥にしまっていた箱の中身を捨てれば終了!と思っていたが、最後の最後に1枚のカードキーを発見してしまった。

これは、ボクがヒヨコ野菜家のときにアルバイトをしていた「会計事務所」のカギだ。

野菜家の仕事が軌道に乗りはじめて、アルバイトを辞めるときに先生が渡してくれたものだった。

「困ったことがあったら、いつでも戻ってきてくれていいからね!」

最終日、先生はこう言ってニッコリと笑った。嬉しかった。もう2度とアルバイトには戻らないぞ!と決めていたけど、先生の想いを素直に受け取ることにした。

このカギを「お守り」にして頑張ろう。

そして、いつの日か野心を叶えることができたら返却しよう!と、心に誓った。が、月日が流れるのは早いもので、現在、カギを預かった日から約10年が経過。お守りは「化石」となって発掘されたのだった。(ダダーン!)


というのは真っ黒なウソだ。


本当は、ずっとその存在を知っていた。忘れたことなんてない。免許書やパスポートと一緒に箱の中に入れて大切に保管していたから。

ただ、野心を叶えることに必死で、返却するのを「後回し」にしていただけだ。

1年、2年、3年と時間が経てば経つほど、返すタイミングを失っていた。

保険として持っておきたい。

そんな弱さもあったと思う。フリーランスは不安定だから。また、芸能界にいた頃のように仕事がなくなってしまうのが怖い。

そうなったときのために、いつでも帰ることのできる場所をキープしておこうという気持ちもあったのだ。

ああ、最悪だ…。

ボクは、カギを握りしめたままフリーズした。

返却するなら"今"しかない!捨てる実験をしている"今"返さないでいつ返すんだ!?という気持ちと、今更返しに行ったとこりで「だらしのない奴」って思われるんじゃないか?という恐れが交互に出てきて動けない。

ボクは、考えれば考えるほどネガティブになっていった。まだ、だらしがないって思われるならいいけど、最悪の場合、めちゃくちゃ怒られるかもしれないな…。それは、怖い。

あー、

もう、見なかったことにしよう。

大丈夫。カギ、沢山あったし。1枚くらいなくなったところで変わらない。

それに、この10年間なんの問題もなかったワケでしょ?先生だって、とっくの昔に忘れてるよ!

ボクは、悪魔の囁きに誘惑されながら、再び、カギを箱の中に戻そうとした。

だがしかし、そんなボクの顔を殴るかのように、1冊の運命本がパァン!と飛び込んできた。

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※本作品内では、私が過去に言えなかったことを"今"言い返しているため「毒舌」きわまりない表現が多々見受けられます。ですので、そのままオープンにしておくのはキケン!という判断でやむ終えず「有料マガジン」にすることに致しました。ヒリヒリ感のお好きな方は、どうぞお金を払ってご堪能ください♪

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