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Netflix「FYRE 夢に終わった史上最高のパーティー」はスタートアップのマーケター必見

うーん。衝撃の作品でした。Netflixで「FYRE」を見た感想。

芸能人のブッキングアプリ「FYRE」をローンチしようとするスタートアップ。そのマーケティングのために、バハマの孤島を購入してラグジュアリーなフェス「FYRE FESTIVAL」を開催しようとします。

スーパーモデルを動員したプロモーションビデオは最高の仕上がりで、インフルエンサーによるマーケティングも功を奏して、ラグジュアリーで特別な時間を手に入れたいという人が殺到。高額なフェスのチケットはあっという間に売り切れ。

ところが、下水も電気も物流も食料も、ほとんどインフラが存在していない孤島で、短期間でフェスを準備し開催することについて、誰も具体的な計画を描いている人がいなかったのです…。結果、宿泊場所がないまま数百人が会場に押し寄せて…。

今のスタートアップ界隈やそのマーケティングへの痛切な皮肉を感じずにはいられません。

ついでに私はイベントの仕事も経験しているので、あと数日という状況で全然準備ができていないという話が自分のなかのなにかのトラウマを刺激して本当にヒリヒリしました。スタートアップ創業者の狂気も垣間見られますし(この作品の創業者は生来のウソつきということですが…)、なにからなにまで表現がうまいぜ…。

プロモーションビデオを作成したディレクターが、映像を作った当時を振り返って言います。

「BMWの広告を任せられたのに、エンジンに欠陥がある。だが、それが改善されるのか、俺にわかるすべはない。音響担当にも、撮影担当にもわからないんだ」

本当にこれを推すことが正しいのか。誰もわからないんです。迷いながら、それでも前に進まなければならない。伝えることで、救われる人がいるかもしれないから。それがメディアや、スタートアップのマーケティング・広報の仕事であり、業なんでしょう。その業の重さがあとを引くような後味の作品でした。

余談ですが、私は台風が直撃して初日で中止になったフジロックフェスの第1回目(1997年)にTシャツ販売のアルバイトで参加しているのですが、この作品の中で、大雨に降られてテントがぐちゃぐちゃになった宿泊エリアの様子は、台風一過でゴミだらけのフジロック会場とシンクロして、そこも心がヒリヒリした一因でした。(フジロックは復活したけどね)

スタートアップでマーケティングに携わる人に是非ご覧いただきたい一本です。

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