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背伸びすることで成長する

昔ほんのすこしだけエンジニアの仕事に憧れていた時期があった。

結局その職を選ばなかったのは、「いくつになっても勉強し続けなきゃいけない」職業であると聞き、怠け者の自分には無理だなぁ…と感じたからだ。

(ちなみに運命の悪戯で一時期エンジニアの末端のような仕事をしたこともあるのですがあんまりにも適性が無くて自滅しました)

けれども、結局いくつになっても勉強は続けているし、新しい知識を取り込むのは楽しいことであると四十すぎて気づいた。むしろ最近関心があるのは、取り込んだ知識をどうやって定着させるか、使えるものにしていくかの方だ。

というのも、わたくしかなり多動な方で、いろいろなものに手をつけるのだけれども形にならないまま終わることが多い。「学習」と「定着」は長らく抱え続けている課題の一つである。

ところが、昨年購入した3Dプリンターは、想定外にスムーズに、取り入れた知識を実践につなげることができた。さらに、購入前には絶対自分では「やらない・できない」だろうと思っていたモデリングの技術もちょっとだけ身について、そこそこうまく自分の中でワークしている。

なお、3Dプリンター購入前のスキルは、Adobe illustratorが軽く使える程度(独学)。立体造形については全くの未経験者だ。だから3Dプリンターを買っても、Thingiverseという3Dデータの共有サイトからデータをダウンロードして、人が作ってくれたデータを打ち出して使うぐらいだろうなって思っていたんだよね。

ところがどっこい。Shapr3D:というiPad用のモデリングソフトで、なんとかぐりぐりと3Dモデルを作り、打ち出して遊ぶことができるようになっているのである。この1ヶ月で!

うまいことワークしている理由の一つはShapr3D:のUXが私にフィットしたことと、チュートリアルがよくできている点だ。

Shapr3D:によるApple Pencilを使った3Dモデルの製作は、かなり直感的に会得することができる。また段階を追って設計方法を身につけられるチュートリアルのおかげで、まだ薄ぼんやりとした理解ではあるが、なんらかの形を作って3Dプリントをするぐらいまではできるようになった。思い通りの形を作るまではいかないけど、目的を達するには十分だ。

ちなみにモデリング挑戦初期は無料のモデリングサービスであるTinkercadを試してみて、なんとなく3Dデータが自分でも作れるかもというところを探った。

簡単なものを作るのだったらTinkercadを使い込めば十分だろう。私は身につける時間のコストがもったいないので、もっと直感的に、いつでもどこでも製作ができそうなShapr3D:に課金した。

そしてもうひとつ、技術を身につける大きなモチベーションになっているのが娘の後押しである。なんの迷いもなく「ママあれ作って〜〜〜」って言ってくるのよ。忖度なしに難しそうなものをどんどん要請してくるのよ。でもそう言われたらママ頑張っちゃうじゃないですか。

それで何か作ると、娘に喜ばれてモチベーションがあがり、さらに難易度の高いものを要請されて、技術力が身につくという…。子供が産まれる前には全く想定していなかった学習スパイラルである。なんと単純なことか。子供にかっこつけたくて、私は勉強をしている。いわば「子供の欲望ドリブン学習法」である。しかしこれはそんなに悪いことではないように思う。

これは仕事に通じるところもあって、弊社は受託が中心なのだけれども、クライアントさんが、それまでにやったことがない仕事なのだけれども、「御社ならできますよ!」といって、チャレンジャブルな仕事を依頼してきてくれることがある。

未経験の分野でドキドキしながら引き受けて、最後は期待にこたえなければとかなり歯を食いしばって納品するなんてこともごくまれにあったりする。

これはとてもありがたい種類の仕事で、自社の事業ドメインを広げるために、積極的に請けていきたい仕事だ。ただ、あまり自分の関心や得意分野にそぐわない仕事だと破綻するので無理ない範囲で。(いわば「顧客の欲望ドリブン学習法」である)

相手に引きずられすぎるのはよくないが、一方で相手の期待で自分が成長するというのは、なかなか動機付けとしてはよいものだということを、3Dプリントのモデリングから学んだ次第。

と同時に、生活でも仕事でも、自分も周囲にちょっとだけ背伸びした依頼をしていくことで、お互いが成長していけるともっといいな、と思っている。(もちろん失敗したときの責任はこちらで負う覚悟でね)

(私に似た多動な方にお勧めな本。昨年読んだ本の中で3番目ぐらいによかった。)


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