今回の親子向けイベント主催者へのインタビュー

今回の親子向けイベント主催、一般社団法人オン.プロジェクトの代表、白川知子さんにお話を伺いました。

ひらめきと事業の土台作り

「私には絵が見えるんです」
と白川さんは語ります。絵が見えるとは、この場所で、こういうことをするといいな、というイメージが浮かぶということだそう。
・・・不思議なことを言っているように感じます。しかし、実際にその「絵」を現実のものとするためには、事業を企画し組み立てる必要があります。「事業の基礎的な土台作りは得意だからーー」、それがさも簡単なことのようにひょうひょうと話されますが、この「いま古心を伝える京都伝統文化おやこ教室」は、文化庁の「子供たちの伝統文化の体験事業」に採択されるなど、事業としてしっかりした基礎作りがされています。
※文化庁の「子供たちの伝統文化の体験事業」はこちら参照

事業を重ねて

一般社団法人オン.プロジェクトは、何年も前から事業をしています。その中で、鬼太鼓座(おんでこざ、太鼓集団)というグループと一緒に、竹を使って楽器をつくるという親子向け事業をしました。

「一番最初、鬼太鼓座というグループがあり、一緒に竹を使って楽器をつくるという自分たちの事業がありました。(また、縁のあった)この古心庵(ここあん、京都市右京区)でできることはあらへんかなと思ったときに、陶芸とか書道とか私たちの身の回りにいる(伝統文化を教える)先生に気がついて、これってすごく大事なことだわー--、地域のまちづくりと絡めて、一緒にやっていくことができる。ちょうどコロナで先生も時間ができた。こどもたちの体験も減っている。そういう時にちょうど始められました」

7年ほど前から、オン.プロジェクトは活動しています。
上賀茂神社での鬼太鼓座奉納演奏から始まり、鬼太鼓座との竹楽器ワークショップ、世界遺産仁和寺での鬼太鼓座奉納演奏、上賀茂神社での奉納舞踊などなど・・・。
これまで、大きな事業を継続して開催してきている中で、たくさんの人と関わり、いろいろな場所の縁ができてきたのでしょう。

古心庵という場所の求心力と縁作り

古心庵の場所というのも、オン.プロジェクトにとって大事な要素です。古心庵は、たくさんの文化に関わる方が集まる場所だそうです。

「嵯峨美術大学の卒業生が集まっている場所で、人が集まる場所がそもそもここにあったということも大きなこと。(例えば)壁に三味線の先生の写真が張ってあって、この人に会いたいです!ていうところから(始まりました)」

ー-藤原先生(今回の行燈づくりの講師)とはどのようなきっかけですか?

「そこで座ってはった(笑)。嵯峨美で竹造(たけぞう)というサークルに所属してはった。そういうクリエイティブな人で、大人向け、大学生向けのワークショップをすでにされていたのだけど、子供向けは挑戦でもあったのでぜひ一緒にやりましょと誘いました」

藤原先生は、京都嵯峨芸術大学(現:嵯峨美術大学)在学中に、行燈を作るノウハウとスキルを学ばれました。現在、ちーむあんどんの会で主に向日市のかぐやの夕べというイベントで行燈を発表する活動をしています。

作成した行燈の骨組み

伝統文化を確実に手渡ししたい

白川さんとお話していると、日本の伝統文化を今後も継承していけるのか。そこに多少なりとも危機感をお持ちのようにも感じます。確かに、今、伝統文化を体験したり学ぼうと思うと、ハードルが高いイメージがあります。伝統文化が根付いていると考えられている京都でさえも、いや、京都だからこそ、ハードルが高くなっている面があるとも言えます。

「(私たちなら)少人数でもできるし、たくさん人を集めなくていいので、確実に(伝統文化を)手渡しでできます。手作りとか手渡しとか、たくさんの人じゃなくてもいいので、手のひらサイズの伝承・承継をしたいなと」

伝統文化への入口のハードルを低くすることで、こどもたちが伝統文化を自分のものとして興味を持ってもらえるよう、丁寧に工夫しているとのこと。文化庁の後押しを得ていることも、そのひとつ。

以前、小さな行燈をつくったときの写真

伝統文化とこどもたちの親和性

伝統文化への体験には思わぬ効用もありました。伝統文化の体験は、皆が初めてで優劣がつきにくく、いろんな背景を持ったこどもたちが学年を超えて同じように体験でき、自分の表現ができるということです。

「こどもたちの感想を聞くと、(沢山は話してくれなくて、ひとことふたこと)たわいもないものだけど、実際、2回、3回と参加してもらうごとに、子どもたちが変化してきています。」

伝統文化に触れた子どもたちが、自分たちの手で何かを形作っていく様子を見ていると、その子どもたちの生き抜く力に気づいて、心を動かさられることも多いそうです。

「もしかしたら文化とか伝統文化は本当は厳しいものかもしれないけど、できるかぎり子どもたちの表現を抑え込まないようにしています」

安全面は絶対条件。安心な場づくり

「自由やけど、責任もあったりして。例えば、ちゃんとごみを拾ったりするとか。がっちりかかわる子もいれば、お掃除をする子もいる。そういういろんなことをできることを見つけるように見守っている大人からの促しもあるし、気づかせることもある」
今まで様々な親子向け事業をしてきた人たちだからこそ持てる視座の高さで、子どもたちの学び・体験が促されています。
「安全面はぜったいに確保していきたい。危ないことを取り上げることではなく、サポートするというのを今日は関わってもらってわかったと思います。」

確かに、今日は竹やはさみなど、けがをしてもおかしくない材料を使っている中で、危ない!と大人がやってしまうのではなく、サポートする声かけが見られました。また、強制的に参加させるのではなく、子どもたちが自発的に動くタイミングを見た声かけもありました。

「自分ひとりだけでなく、いろんな人が守ってもらっていいんやという安心を持ってもらいたいです。それがおやこで参加する意味だと思います」

親ひとりだけだと、どのくらいこどもに介入していいのかわからず、過干渉になったり、不干渉になったりしがちです。たくさんの目で見守ることで、ちょうどよいバランスをとれるようになるのかな、と思います。

いま古心を伝える京都伝統文化おやこ教室

これまで、書道おやこ教室・おくどさんでおやこ料理教室・水墨画おやこ教室・京料理おやこ教室が開催されました。
今後、三味線おやこ教室、書道おやこ教室、茶道おやこ教室が開催されます。
今後のイベントだけでなく、来年度のオン.プロジェクトの活動にも期待しましょう。

いま古心を伝える京都伝統文化おやこ教室のHPはこちら
(各種お申し込みもHPからリンクしています)


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