見出し画像

7.もう一度聞きたい言葉


家で食事をするときは、テーブルの角を挟んで
わたしの左側(左斜め隣っていうのかな?)が息子の定位置。

最近は、思春期もありつつの、
録画しておいたアニメを見ながら食べたいようで
あまり頻繁に会話はしてくれなくなったけれど、

それでも、美味しい?と聞けば「美味しいよ」と言って
がつがつと食べている彼の食事姿を眺めていると、
彼が小さいころ、よく言っていた言葉をときおり思い出す。



息子は幼い頃、ドリアが好きでした。
ご飯の上に、温野菜と小さなハンバーグ。
デミグラス(ぽい)ソースとチーズをかけてトースターで焼いたやつ。

少し冷まして混ぜたそのドリアを
スプーンを上から握って掘るようにして夢中で食べる彼が可愛くてね。


しばらくすると、彼が言う。
「ママ、あつまれして」


彼のスプーンさばき(笑)では捕らえられなかった
お皿の隅に残ったごはんたちを集めて
彼の口に運ぶのは、ときに面倒で、ときに幸せでした。



気がついたら、
彼は上手に自分のご飯をすくえるようになっていて

彼の「あつまれして」を
聞かなくなって、もうだいぶ年月がたちました。


最後の仕上げを仰せつかるあの幸せな役目は
もう彼からは与えてもらえないんだなあ。



誰もが、ふと思い出しては
甘く切なくなる言葉を持っていて、

だけど多くのひとは、
その瞬間、1人で噛み締めて
また心に仕舞い込むのだと思います。

わたしは噛み締めるだけでは我慢できずに、
こうして、人に晒してしまう。

伝えたい人の
どうしようもない性なんでしょうね。



いま、主宰している
ライティングライフプロジェクトに参加してくださった人もきっと
わたしと同じように伝えたい人で、

そうして、晒してしまうしかない人の
言葉たちから発せられる

独特な光や闇の部分だったり、
惹きつける魅力みたいな、
その人をその人たらしめている欠片みたいのを
感じるとき、ドキドキします。



「あつまれして」

このたった6語の言葉は
ときおり勝手に記憶の引き出しから飛び出してきては
わたしを幸せに、そして、ちょっぴり寂しくもさせるのです。

ふとしたときに、ふっと訪れては
あなたを揺り動かす
bitter&sweetな言葉はなんですか?



いただいたお気持ちは、私と誰かの幸せに繋がるような何かに使わせていただきます。サポートでなくても、フォローしてもらって、少しでもnoteを読んでもらえて、何かを感じていただけたら嬉しいです♡