「企画・編集・執筆」と名刺に書いた理由を考えてみた
出版社で働いていたとき、私の名刺に書かれていたのは、
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〇〇出版社 書籍編集部
中山圭子
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現在フリーランスで働いている私の名刺は、
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企画・編集・執筆
中山圭子
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となっています。
ちなみに、プライベートで知り合った人に仕事を聞訊かれて、端的に答えようと「書籍の編集です」というと、
「え?」
という感じで、一瞬の間ができるのを若い頃に経験したので、業界のヒト以外には、
「本をつくる仕事です」
とか、
「以前は出版社に勤めていて、本づくり周辺の仕事をいろいろしてます」
などと言うようになりました。
そうすると、一層アイマイになるのだけれど、「え?」という感じよりは、「ああ」となり、
「よくわからないけれどなんとなくこんな感じかな?」
というその人それぞれのイメージを浮かべて納得してくれる雰囲気があります。
興味のある人は、「本って小説?」「編集とか?」「ライターさん?」などと、さらに聞いてくるので、そうなってから具体的に説明します。
閑話休題。
さて、企画・編集・執筆、それぞれの仕事をざっくり説明すると、こんな感じでしょうか。
「企画」
どんなジャンルで、どんなテーマで、どんな読者に読んでもらう、誰(著者)が書いた本か、などを発案する仕事。
「編集」
企画意図にもとづいて読者が読みたくなる本の装い(タイトル・挿絵の有無ほか)や、読ませ方(章立て・図表の有無)などを考え、取材から出版(または校了)までの進行を手配管理する仕事。
……ここまでが出版社時代にやっていた、書籍編集者の仕事。
「執筆」
企画・編集の意図を理解して、対象とする読者が読み進めたくなる文体、構成を考えながら文章を書くライターの仕事。
3つとも書籍づくりに欠かせないものです。
フリーランスになった現在は、「編集」だけ、または「ライター」だけ依頼されることもありますし、自分で「企画」して「編集」「執筆」まで担当することもあります。
いずれの場合も、出版元の担当編集さんと一緒にお仕事します。
わざわざ、「企画・編集・執筆」と連ねて記しているのは、当然ながら、
「この3つともできますよ」
ということをアピールするためですが、同時に、
「どの仕事でも3つの視野をもってしますよ」
という表明でもあります。
企画だけじゃない、編集だけじゃない、執筆だけじゃない、
「それぞれの視野をもってそれぞれの仕事をしますよ」
ということ。
こう書くとご立派な感じになりますが、要は、
そうやってする仕事のほうがダンゼン面白い
んですね。
なので、ライターとして仕事をする際も、プロット(構成・もくじ)を考え、見出し(項目のタイトル)をつけ、「この辺にこんな図版やイラストが入るといいかも」といった編集的な提案をすることがもあります(お馴染みの編集者とはこのケースがほとんど)。
編集で関わる場合、改稿の提案で文例を添えることもあります。
本のタイトル案を(頼まれるときもありますが、頼まれなくても)出すときもあります。
もちろん、その提案を取捨選択するのは、本の責任を負う担当編集者。
華麗にスルーされることも……
まぁ、よくあります(・∀・)
でも、自分もその本のプロデュースにかかわるくらいの心意気でやったほうが楽しいし、本への情熱や愛情も増します。
そもそも、ノンフィクション系書籍の仕事は、自分の興味関心から企画が生まれる、
「楽しんでやってなんぼな仕事」
(と私は思ってます)。
自分の企画じゃなくても、「面白そう」「知りたい」「役に立ちそう」と思えるものを選ぶ傾向にある……というかそうじゃないと上手くできないものです(私の場合)。
特に、人生の折り返し地点を過ぎ、より強くそう感じる今日この頃。
そういえば、出版社勤務時代、上司(最初のボスの次に上についた人)に、
「中山さんも、たまには長い人の列の後ろに並んでみたら?」
と言われたことがあったなぁ、と思い出しました。
「自分の興味のあることばかりじゃなく、世間で人気があるものにも目を向けて企画出さんかい」
と言いたいところを、詩的な表現を使って諭してくれた男性でした。
とはいえ、人はなかなか変わらないものですね。
年月を経るごとに、より自分の嗜好に忠実になるようです(不器用になるともいう)。
……ちょっと話がそれましたが、
企画・編集・執筆は、独立した仕事でありつつ、切っても切れない関係の仕事。
それぞれの面白さについては、また次回に。
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