「旅上」萩原朔太郎ーー2021年に思う
萩原朔太郎の詩に「旅上」という詩があります。高校の教科書にも掲載されていますので、ご存じのかたもいらっしゃるのでは?
授業で何度か扱ったことがある詩ですが、先日から何故か心の中でリフレインしていました。
旅上
ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し
せめては新しき背広をきて
きままなる旅にいでてみん。
汽車が山道をゆくとき
みづいろの窓に寄りかかりて
われひとりうれしきことをおもはむ
五月の朝のしののめ
うら若草のもえいづる心まかせに。
*「しののめ」は「東雲」と書き、夜明け頃のことを指します。
季節はまさに5月、この詩が書かれたのは1913年、何と100年以上も昔のことです。
当時は確かにフランスに渡航するのは実現の難しい夢だったことでしょう。
さて、2021年の5月はどうでしょうか?
100年前とは違う意味で、海外に行くことが困難になっています。
思いもかけない状況に見舞われ、改めて閉塞感に襲われるばかり。
100年の時を逆戻りしてしまったのでしょうか?
今、私たちにできることは、「われひとりうれしきこと」を思うことでしょうか。
「きままなる旅」に出ること自体も実現が難しそうですが・・・
明るい「みずいろの空」のような自分なりの楽しみを見つけていきましょう!
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