先日、プロティアン・キャリア協会の「銀⾏のDXとプロティアン組織改⾰の最先端事例セミナー」 ~北國銀⾏の取組事例とキャリア⾃律型最新理論“プロティアン”による組織変⾰~に参加しました。

地⽅銀⾏の経営環境は厳しい状況が続いています。

そうした中、北國銀行では、2020年11⽉に、労働組合主体で「プロティアン組織変⾰サービス」を導⼊し、社員の主体的なキャリア開発を⽀援を始めました。

現在既に、⾏員に⾏動変容が起き始めているようです。

北國銀行がどのように変わったのかについて、杖村修司頭取から説明がありました。

私にはいくつかのキーワードが印象に残りました。

●ピラミッド型組織からフラットな組織

日本の多くの組織では、上司と部下との対話はありますが、それ以外の対話は余りなく、部署が違えば別の世界ということも珍しくありません。

一方、フラットな組織とは、個人がそれぞれの責任を持ち自立・自律しており、上下の境界が薄い組織です。

縦横の関係にとわられず、あらゆる人と意思疎通を行い、自分自身が仕事を調整し、他者と連携することが求められます。

自由度が高い分、責任も重くなります。

●銀行固有の人材から、社会一般に通用する人材

社内で通用する人材であるだけではなく、社外でも通用する人材を育成するという考え方です。

これまでは、社外で通用する人材は社外に流出するから、そのような技能は身に付けさせない方が良いという議論が真面目にされていましたし、今でもされている会社はあります。

鳥の羽を縛って、飛べない状態にして、死なない程度に餌を与えて飼っているようなものです。

それよりも、会社の魅力を高めて、社外に出る人がいなくなるようにしようという経営者の決意の表れでしょう。

●メンバーシップ型雇用から、キャリア型雇用

銀行が仕事を与える働き方から、キャリアを自分で選択する働き方です。

各社員が、得意な仕事を、好きなようになるのです。

意欲を持って働く社員が増えれば、生産性が高まることは容易に想像できます。

最近は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉が良く聞かれます。

経産省によると、DXとは『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること』です。

コロナ禍の下、ITが私達の仕事や生活の中に加速度的に入り込んで、私達の生活を急速に変化させつつあります。

プロティアン・キャリア協会の田中研之輔先生によると、DXに加えて、これからは、CX(プロティアン・キャリア・トランスフォーメーション)が重要になるとおっしゃっています。

CXとは、個人は自立・自律して働く、個人は一つの組織で昇進して行くだけではなく、自分が求めるものを組織から提供してもらいながら、組織にも貢献する、組織に所属しながら別の仕事もする、関心のあることは柔軟に何でもやってみる等です。

従来の日本の組織は、安心感がありましたが、社員と組織が依存し合うという弊害もありました。

現在はその安心感が段々薄れつつあります。

今後は、社員と組織との関係はもっと希薄になると思われますが、これまでのしがらみがなくなり、仕事をする上でこれまで感じにくかった喜びを感じ易くなることが期待できます。

従来と比べてどうなのかはまだまだ判断できない点もありますが、今仕事の仕方が大きく変わろうとしている時期であることは間違いありません。

岸辺から流れを眺めているか、自ら流れに飛び込んで、泳いでみるかは、皆さん次第です。

ただ一つ言えることは、今だから経験できること、経験できる場があるということです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?