ウィントンマルサリスライブを見に行ってぶっ飛んだのだった。2023/03/24
たぶん人類史上、もっともトランペットが上手に吹ける人だと思う。ウィントン・マルサリス。
前回の来日も見た。東京で1回だけの公演だった。調べてみたら2019だった。コロナ禍で世界が変わる直前だ。
【公式】ウィントン・マルサリス in Tokyo 2019
その時もあまりのすごさにぶっ飛んだ。
そして今回はさらにぶっ飛んだ。
トランペットが人類史上最強、というだけでなく、いわゆる「古典的なジャズ」の最高到達点であり、アンサンブルもソロも、とにかくものすごい完成度だ。
すごすぎて、感動とか、ノッたとか、泣けてきた、というより「恐れ入る」「畏まる」「畏怖」という表現が自分の感情に近い。
どこまでいってしまうのか。
ジャズという音楽をさらに進化させ、アメリカの伝統音楽として価値あるものとし、世界の文化資産にする、ということをウィントン・マルサリスを音楽監督に冠するリンカーンオーケストラではめざしているんだろうと思う。そしてウィントン・マルサリスセプステットも、おそらく同じコンセプトだ。そして、それは音楽的な文化遺産としては、最高峰にあることはまちがいない。
ただ、それだけがもちろん音楽ではない。
ジャズだけでいっても、グラスパーたちのように、ヒップホップを内包しながら、コンテンポラリーなジャズを志向する一群がある。ブラジルのミナス系のように、アメリカのジャズを母体にしながらグローバルで多様性をもったインプロビゼーション主体の音楽もある。またマリア・シュナイダーや挾間美帆さんのように、ジャズ出発のラージアンサンブルもある。
さらに言えば、Tye Tribbett: Tiny Desk Concertのようなゴスペルだってある。ここにあるのは「共感」「一体感」「幸福感の共有」「感情の共有」だと思う。
こうしたものは音楽でもかなり重要な部分だと俺は思うんだが、最先端の古典的ジャズでは、それはら高い次元で昇華されてしまっている。
ネオソウルが好きなうちの子ども、響も連れていった。耳が肥えているのでこのジャズがいかにとてつもないかは聴いて分かったようだ。
しかし「もうあれはやらなくていいよ」と言っていた。完成度が極まっているからだと思う。
人類至上最も高いトランペットのスキルをもち、リンカーンオーケストラのような史上最強のジャズビッグバンドを作り上げたウィントン・マルサリスだが、すでにtoo muchというかサチっているのではないか、というのが響と俺の感想だ。
すごい。もちろんものすごい。
ただ、もう十分完成度の高い音楽ができあがっている。(前回の来日公演もすごかった。これ以上完成度があがっても普通の人にはわからない)
もう次のことに向かってもいいのかもしれない。人類全体の音楽文化のために。
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