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1日一編は詩を読む「春と修羅」わたくしといふ現象は仮定された有機交流電燈のひとつの青い照明です

60歳、還暦にして初めて人間ドックをやってみた。
「はじめてやると、何か出るんだよね」と同い年の友人に言われたが、マジで出た。
腎臓がまぁまぁヤバイ。
それで内臓の働きなどをよく本で読むようになった。
腎臓はある程度悪くなると、もう回復は見込めない。進行を遅くする、抑えることが主眼となる。スマホのバッテリーがなくなってきたが、チャージはできない、という状況だ。

以前から宮沢賢治の春の修羅の冒頭の一言にはぐっときていた。

「わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です」

人間とは一つの現象である。
ひとつの青い照明である。
この言い方は、正鵠を得ているように思う。

『春と修羅』
宮沢賢治

     心象スケツチ
      春と修羅



わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといつしよに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
(ひかりはたもち その電燈は失はれ)

それと僕が今朝思ったのは、
「生命とは長く引き伸ばされた祝祭である」ということだ。
これ、なかなか名言じゃないかな。
だから終わる時には拍手をすべきなのかもしれない。

そう思っていたら高橋幸宏さんの訃報が届いた。
大変残念だが、これだけ大きなものを我々にくれた現象だったわけで、
その祝祭の終わりを僕たちは感謝を込めて祝福すべきだと思う。

めちゃくちゃ素敵な音楽、人生を変えてくれた音楽を、
ありがとうございました。

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