それ、デザインしていいんですか?
たまに言われるのが、「へー、電機製品てデザイナーがデザインしてるんですね」という言葉だ。
いやいやあなたが手にしてるiPhoneも自宅の電子レンジもデザイナーがデザインしてるから。WEBやアプリと違ってハードウェアはそのUIも含めてエンジニアがすべて手掛けていると思っている人はまだまだ多い。というかそれは今でも同じ割合でいる気がする。
とは言え、自分も新人の頃はそれデザインしていいんですか?という驚きがあったこともある。以下にその代表を上げてみたい。
その1 スピーカーデザイン
MIKI Yoshihito - Flickr: Outdoor Hi-Fi - YAMAHA NS-10MMT., CC 表示 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=25238179による
中学生のころから長岡鉄男の本を見ながら自作スピーカーを何度も作っていた。それゆえにスピーカーの配置バランス、バスレフポート位置など計算されつくしてデザイナーの余地はないものと思っていた新人デザイナーに音響エンジニアの一言「カッコいいものをデザインして。音作りはなんとでもするから」。まーじーかー。たしかにいつもデザインを先にしてそれをいい音に作り上げてくれるのだった。
その2 アナログプレーヤーデザイン
あれですよ。あの複雑なトーアーム回りやターンテーブルのベース部。絶妙なバランスは精緻なエンジニアリングの塊のようだけど、エンジニアは「まず美しくなきゃあ」とデザイナーにまかせてくれるのだった。アナログ末期のコストダウンでまったく同じにはならなかったけど、「ここまで実現してくれるのか」という仕上がりになったものだ。
社内最後のアナログプレーヤーを担当させてもらったのもこのころだ。
その3 セグメント素子
CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2550283
CDプレーヤーに使われていたLEDセグメント素子はトラックナンバーなどを表示するものだ。たまたま使用予定のデバイスが、数字がぽてっと見えてダサいと文句を言ったら開発サイドから「じゃあデザインしていいよ」と。ただし素子と素子の隙間は0.×ミリキープで、光ムラができない条件は○○で...など。すべての数字がきれいに見えるようにデザインするのは難易度が高かったけれど、とてもおもしろかった。
当時は売れていて次々と部品を起こすことができたから許されたオリジナルデザインだろう。今だったらぜったい標準部品からしか選べないと思う。
これらとは逆にデザインしたくてもさせてもらえないものもまたあったけど、それはまた別の回で。
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