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副業でクラフトビール醸造所を経営して感じた壁

この記事は壁 Advent Calendar 2021の5日目の記事です。

はじめに

私は現在、PFNという会社で研究開発をしながら、副業として新潟県十日町市でジョークンビールラボというクラフトビールの醸造所を経営している。創業の経緯としては2年前のAdvent Calendar 2019の1~8日目に書きましたので、ご参照はあまりしなくて大丈夫です。また、その後の2020年活動は年始にnoteにて書きました。


ざっくりといえば、大学院博士課程時代にアメリカで短期インターンしたのを機にクラフトビール(特にIPA)が好きになったけど、その後の大学教員時代にピッツバーグに1年間留学いかせていただき、そこでビール部というピッツバーグ市周辺に50くらいあるといわれるクラフトビール醸造所に行きまくるというヤバい部活に参加してクラフトビールに完全にはまってしまった。自分でも(研究の一環として!!!)醸造所を持ちたいと思い、地元の幼馴染に「クラフトビール造らん?」と聞いたら「作りたい」と言われたので、始めることとなった。その後、自分たちの貯金と銀行融資で醸造所の建物土地や醸造設備などをそろえて、発泡酒製造免許を取得し、昨年11月より自分たちがつくったクラフトビールを世にだすことができるようになった。

シアトルのビール屋

前置きが長くなったが、本記事では、醸造開始から1年経過して、醸燻を経営していて感じた壁を書きたいと思う。

クラフトビールおいしさの壁

やはりこれは書かなくてはいけないと思うのだが、どこのクラフトビール醸造所であっても、おそらく最初から本当においしいものを作るのは難しい。ジョークンも例にもれず、納得のいくものを作るのには時間がかかった。最初に作ったのは、Pale AleやHazy IPA、コーヒーポーターなどを作ったのだが、正直な話これはいける、という確信を得られたのはコーヒーポーターであった。そんな中でも、お客さんにはジョークンのお店に来ていただいたり、ボトルを買っていただいたりで本当に感謝しかない。ありがとうございます。

初仕込みの様子

これはいけるんじゃないか、そう思ったのは6回目と11回目の仕込みで作ったDouble IPA(ちなみにIPAとはIndian Pale Aleのことだ)だった。基本的には、英語のクラフトビール雑誌やWebなどを見て、作りたいスタイルのビールのレシピを収集し、その中から使えそうな要素を取り出すという方法でレシピをくんでいる。しかし、機材などの特性によっては、モルトの使い方だったり、ホップの香りと苦みの付け方に工夫が必要なことが多い。最初の仕込みでぶつかった壁は、ピルスナーモルトやエールモルトなどの基本となるモルトの比率が高すぎて、ビールにボディを出せずホップの苦みが全面にでてくるというものだった。この反省から次のダブルIPAでは、ボディを高められるモルトを使うようにすることで、感じる苦みを抑えつつ、ホップを沢山使い良い香り出していくという道すじがわかってきたのだった。

DDHペール、これで自信がついた


現在ジョークンは、醸造開始から40回ほどの醸造をしているが、味という面では今後も戦っていけるという確信を得ている。最初のジョークンを飲んで「もういいかな」と思った方もぜひ最新のものを飲んでいただきたい。よろしくお願いします。

(なんかいまジョークンボトルセットのウィンターセールやってるみたいですよ!!! #pr)

副業の壁

タイトルにもある通り私は普段AIベンチャーにてフルタイムで働きながら、ジョークンの経営をしている。創業記にも書いたのだが、基本的な経営方針の決定などは私がしている。それ以外にも、樽を買っていただけるビアバーさんとのやり取りや、ボトルを買っていただいたお客様のやりとり、ラベルなど各種作成などもしている。さらに別の大事な仕事としては、私は普段東京メインで在住しているので、東京方面のビアバーさんお客さんに顔を覚えてもらうのも重要な仕事だ(という名目で飲んでいる)。ありがたいことに、皆様本当にやさしくて助けられています。

今年は感染症の流行もあり1~9月は大きなビールイベントが中止となったが、そんな中でも醸造所近辺にキッチンカー様を呼んで開催する工場開放デーをしており、この取り組みは続けていきたいと思う(みんな来てね)。

さて10月後半からは色々なイベントを実施することができ、ほぼ毎週イベントには顔を出してきた。11月半ばに新潟市で開催されたオール新潟クラフトビールランドでは、これまでジョークンのことを知らなかったお客様とも沢山お話できてとても楽しかった。

一方で、副業としてこれ以上のエフォートを出すことは厳しいと思っており、就業前終業後の作業をしつつ毎週末イベントに顔を出したりビールを売り続けるのには限界がある気がしているため、この壁の解決が必要である。

醸造担当一人の壁

ジョークンは、本業として醸造を担当しているのは代表取締役でもある岩田であり、彼は醸造だけでなく併設店舗の店主も兼ねている。実はそれだけでなく、作ったものを樽やボトルに詰めたり発送するのも彼の仕事である。それだけでなく、各種イベントにも出店にいっているため、彼のエフォートもまた限界に達しつつあると感じる。

昨年の12月から先月末までの仕込みの回数は27回であり、これは約二週に一回という仕込みペースであり、ジョークン工場のもっている醸造能力の半分以下しか使っていないことになる。感染症の流行もあり仕方のなかった側面もあるが、ようやくクラフトビール需要が高まってきているにも関わらず、来年以降なにもしなければ劇的な仕込みペースの改善は見込めないだろう。それも、醸造・店舗・発送・会計担当をすべて岩田が一人でやらなければならないという壁に起因している。

壁を超えるために

このような壁を超えるために、11月とても大きな決断をした。

4月からフルタイムで1人雇用します

ジョークンのような先の見えない零細醸造所だが、働いていただける方を見つけることができた。また、ジョークンを作るときの一つの目標だった地元十日町に雇用を生むということを一部達成できてとてもうれしい。

来年度は年醸造回数50回以上を目指し、工場の醸造能力の80%を発揮できるようにしたい。そのためにも、おいしいクラフトビールを作り、お客様から信頼をいただけるようにならねばならない。今後もよろしくお願いいたします。

つまり

クラフトビール需要は高まっているといったが、ジョークンはまだまだ厳しいのでウィンターセールをよろしくお願いいたします。

(この記事はPRです)

(あとtwitterとかでめっちゃ「ジョークン」「醸燻」でエゴサしているので飲んだらあげてもらえるととてもうれしいです!)


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