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VIRUS / HAKEN

 以前noteにも記事を書いたHAKENのニューアルバム。実は6月にはリリースされていたが、ようやくサブスクリプションのストリーミングサービスにもお目見えしたので、アルバム通しで聞いている。

 何もこの時期にこんなタイトルでアルバム出さなくても、という意見もあるやもしれぬが、それはサウンドの本質ではないので置いておくとしよう。相変わらずのHAKEN節というか、プログレとしか形容しようがない複雑な音空間と、浮遊感たっぷりな優しいメロディが絡み合ういつものサウンド。より磨きがかかったテクニックと、変幻自在の音色で迫るギターサウンドはもはや安心感さえ覚える。

 音的には比較的聞きやすく、攻撃的な楽曲ではない。しかし、それでいてヘヴィネスを失わず、相変わらずプログレメタルの体裁をしっかりと保っている。同時に、これまでの彼らに比べてさらに完成度の高い音作りを実現しているのはさすがとしか言いようがない。

 これまで日本盤がリリースされていなかったHAKEN。今回のアルバムが初の日本盤リリースとなる。今さらのように感じるが、日本でHAKENが今ひとつブレイクしないのは、こうした国内のメタル事情もあるだろう。90年代のなんでもリリースされていた時代が懐かしくも恨めしい。どうしてこれだけクォリティの高いバンドが日本のメタルファンの間に広く認知されないのか。もっと言えば、来日して生のパフォーマンスを見せてほしい。まあ、それはしばらく無理かもしれないが。

 アルバム全編を通して、冷静に無機質に正確無比なフレーズを刻むようなプレイが楽しめるが、その一方で楽曲そのものはドラマティックでリリカルな部分を決して失わない。この不思議な温度感。テクニックと叙情性が渾然一体となって音楽が彼らHAKENの最大の魅力だ。今後日本でのブレイクも期待したいところ。そして繰り返しになるが、個人的には彼らの演奏が見てみたい。


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