最近読んだ本の感想を書いていく
新装版 8の殺人 (講談社文庫) / 我孫子 武丸
軽いノリで進む物語ながら、不思議な形をした館、訳ありの登場人物、作られた密室と、新本格の条件を満たしているのが今読んでも心地よい。作者の仕掛けた罠をあれこれ想像しながら読み進めるのがとても楽しく、今回の自分の推理は80点……なんて悦に入るのも一興だ。
白光 (光文社文庫) / 連城 三紀彦
登場人物それぞれの視点から物語を語ることにより、ひとつの事件を多角的に見せることに成功している。なおかつ、一人ひとりの心の動きを描写することにより、物語は徐々に重々しさを増していく。
鑑賞のための西洋美術史入門 (リトルキュレーターシリーズ) / 早坂 優子
イラスト多めで楽しげに書かれていて読みやすいが、一方で美術史の知識は活字でがっつりと記述されている。しっかりと情報を読み取れるところが嬉しい一冊。
水族館の殺人 (創元推理文庫) / 青崎 有吾
水族館で起きたショッキングな殺人事件を、作者特有の軽快かつテンポのいい文体でつづったミステリー。ふんだんにギャグを交えた文章に好みは分かれるが、殺人のギミックを解き明かしていく手順に丁寧さを感じる。
あさとほ / 新名 智
『虚魚』でデビューした作家の第二作。今作では失われた古典を探し求めて怪異に出会う物語。デビュー作と同様、謎を追求していく過程が魅力的で、そこに触れてはいけないものの存在を感じる。静かに語られる恐怖がいい作品だ。
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