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もたざるモノの物語はいつだってうつくしい

いまだに少年ジャンプを読んでいる。
少年から青年を経て、中年になっても読んでいる。ほとんど空気のような存在だ。とにもかくにも毎週月曜日はユーウツな日ではなくて、ジャンプの発売日である。


歴代の名著を読んできて、好きなキャラクターが3人いる。
スラムダンクのメガネくん
ワールドトリガーのメガネくん
ダイの大冒険のポップ。ちなみにメガネはかけていない。



共通点がある。
主人公のようなパワーやステータスをもっていない。
スラダンのメガネくんは、パワーやスピードは平均的で補欠。
ワールドトリガーのメガネくんは戦闘力(マンガでいうトリガー)が低い。
ポップは、炎系の魔法は得意。けれど、とにかく逃げ腰である。
彼らはマンガのルールで、「よわい、もっていない存在」と位置づけられている。


でも、なぜ好きなのか。
それは「もっていない」人が成長していったり、見せ場があることに共感を覚えるから。現実世界で「もっていない人」でも輝ける、救いがあるっていうことを願っているからかもしれない。根底には、もってる側だけで描かれて、世界は全てがツヨツヨ!もってる人がルール!ってなったらあんまりじゃないか、という願いもある。


世界の不公平さに、もってる人は気づきにくい話



マンガでは、もってない人たちのプロセスを描くことができる。現実ではどうだろう。「ふたりの人生は、何がちがったの?」を紹介したい。もってる、もってないでどれくらい影響があるかを端的に表した話だ。


登場人物は、リチャードとポール。
もってるのはリチャード。もってないのはポールだ。
リソースをたくさんもってるリチャードは成功しやすい状況が整っていて、対してポールは逆境が整っている。リソースとして、家、両親、就職、学校などが要素として紹介されて、あらゆる場面で影響がでてくることがわかる。
(※もってる、もってないはレベル感や相対をどこに置くかでも一瞬で入れ替わったりもする。ここではそこに言及しない。)


話は、もっているリチャードの一言で締めくるられる。

「成功する秘訣は、泣き言を言わずに一生懸命努力することですね。与えられることを待ってばかりいる人にはうんざりです。僕は何も特別なものは与えられませんでしたよ」

リチャードはきっと「自己責任」といってしまうタイプだろう。この無自覚な傲慢さを見ると怖くなる。しかし、自身の中では「当たり前」、OSとして駆動しているのだ。本当は与えられてきたこと、もっていない不公平さに気づきにくい状況があることを忘れてはいけない。


ここからは現実の話


では、現実でリチャード的な人が牛耳ったらどうなるのか。武田信子さんの記事を紹介したい。(※自分の文脈が入ってるので、本来伝えたいことと違うかもしれないことは言及しておきます。)

優れたビジネスパーソンを育てるために、プログラミングを取り入れる教育について問題提起をしている武田さん。この構造こそがもってる側が勝手に決めている「もってるルール勝手に発動状態」だ。もってる側がもってる側様式に都合が良いように決める。これってもってる側の世界がどんどん強化されていくシステムだ。


こうなるともっていない側の様式は、価値として判断されない状態が出来あがってしまう。武田さんの言葉を借りれば「日々の取るに足りないこと」は、優れたビジネスパーソンを目指す教育のなかでは排除されるだろう。



マンガでいえば、メガネくん(✖️2)やポップの成長の物語も排除されるってことだ。湘南戦で3ポイントを決めたメガネくん。トリガーがないことを受け入れ、どこまでいけるかをもがくメガネくん。自分の弱さを受け入れ、賢者になるポップ。。。そんな世界線がない物語はおもしろいだろうか。

もっていない側の物語があること。そしてそこにもちゃんと価値があることを、もってる側が理解して、寄り添う。そうしないと、本当によりよくなっていかない、と私は考えている。もたざるモノの声をちゃんときけば、アンサーはだいぶ変わってくるはずなのだ。


不公平さが変わるのぞみはない。でも、ひかりはある。

残念ながら、世の中は不公平だ。
こんなことを書いても、もってるツヨツヨの人がメタ認知して、気づいた!ってことにはほとんどならない。もってる側が聞かずに決めることはこれからも起こるだろうし、もたざるモノは不利である。



けれど、もっていなから幸せになれない、というわけではない。もたないからこそ、大切なことが見えてきたり、配られるカードもあったりする。もってないからこそ、もがいていくプロセスに人間的な成長がある。その過程は美しい。そして、豊かだ。きっとドブネズミみたいな美しさなのだろう。


私自身も含めて、人のそんな過程に触れていたい。
リンダリンダ。


さて、現実世界において、私のヒーローは「徳谷柿次郎」氏である。
もたざるモノの美しさに触れたい人は、ぜひ「おまえの俺を教えてくれ」を読んでほしい。もってる人にも、もっていない人にも「ひかり」になるだろう。

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