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『完全教祖マニュアル』~読書感想文#33

宗教、カルト、というと気が重くなる話題でも、これだと楽しく学べます。

もともと宗教にどれだけ造詣が深かったのか、この本を書くために宗教を勉強したのか分かりませんが、なかなかにマニアックな内容も含まれており、宗教学を学ぶとっかかりとしてもいいんじゃないでしょうか。

例えば以下の箇所など、真理を突いているなと感じたのですがいかがでしょう。

義務があったほうが安心

「宗教ってやつはとにかく義務が多いから嫌だ。~中略~ああいう面倒くさくて訳分かんない義務がなければ、もっと信者が増えるだろうになあ」
 と思う方もいることでしょう。しかし、人はそんな簡単なものではありません。義務が無ければ無いで不安になってくるのが人間というものなのです。
~中略~
「無条件で救われる」というのは不安なのですね。逆に「これこれやっておけば救われる」という義務があったほうがむしろ心安いのです。ですから、あなたもみんなをハッピーにするためにあえて義務を与えましょう。その方が教祖としても色々と便利ですし。

p.101

例えば、今まで全財産投げうって、国民年金に入れるお金があったらお布施していた人に、「みんなの信仰のおかげで今はは何も問題がないからお布施は要らないよ。今まで大変だったね。しばらくは自分の好きなことにお金を使いなさい」と教祖が言ったら、きっと信者は困ってしまいますよね。現世の楽しみは地獄への切符と思い、天に貯金していたのに貯金できないんですから。

権威が好き

権威に従うというのは楽ちんなことなのです。~中略~
イスラム教徒とおばさんたちの違いは、ムハンマドの預言に従うか、みのもんたの御託宣に従うかの違いでしかないのです。

p.111

なお、親や教師には反抗するのに、みのもんたには従順に従うのは、そこに本人の意志があるからです。
~中略~
「何かに迷っていても、自分には宗教という指標があるからそこに立ち戻れる」~中略~これは、言ってしまえば、「自分で考えることが減ったのですごく楽だ」ということです。楽というのはハッピーなのです。

p.112

たしかに、みのもんたも宗教も、人が何かしら頼らざるを得ない権威であることに変わりはないと言われると、無宗教と言われる日本人も、信仰心は十分に持っているのかもしれません。

実践編

この本には、布教しやすい人や、恐れずに金持ちを狙うメリットも説明されていますので、教祖初心者にもお勧めです。
また他教をこきおろし異端追放を行うメリットデメリットも分かりやすく解説されているので、教祖を目指す人にとっては必読の書ですね!

そして、最後は教祖になったなら「国教化を企てよう(p.209)」と大きな目標を掲げています。

いやぁ、私はそういうタイプではありませんが、この本を読んで教祖になろうと思った人には、ぜひ目指してほしいですよね。

とても楽しい本でした。


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世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。