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聞き取りやすさのための工夫

先日ながた氏はんが、日本語には「ディ」の音は存在しなかったという記事を書いていました。

そこで「ディ」が無いなら「デュ」も無かったのではとコメントしたところ、こんなコメントを返してくださいました。

さすが、私の専門分野へ話を投げ返すとは、
ありがたくネタにさせていただきます。

最近は、かなり機器が進化し聞き取りやすくなったとはいえ、視覚情報を奪われ、機械を通しての音に全面的に頼るコミュニケーションでは、聞き間違いは避けねばなりません。

というわけで、今回は電話応対における聞き取りやすさのための工夫を取り上げます。

その1~言い換える

そのひとつ目が、ながた氏はんが挙げてくださった、「ディー」をあえて「デー」と言うような言い換えです。
私は以下のような言い換えをよく使っていましたが、メールアドレスやURLなどアルファベットを沢山聞いたり伝えたりする場合には、フォネティックコードと呼ばれるものを使います。「アメリカのエー」から「ゼブラのゼット」まで、すべて予め言い換えを決めておくものです。
ネットを検索すると何種類か出てきますが、聞き間違えを防げればいいので、どれが正しいというわけではありません。
ジャイアンツのGなどと好みが分かれそうな言葉を避けることと、誰もが知っていそうな言葉を選ぶことがポイントです。

私がよく言い換えていた言葉

  1. 「7」 → シチではイチと聞き間違える恐れがあるため、ナナ

  2. 「4日」→ ヨッカではヨウカと聞き間違える恐れがあるため、ヨンニチ

  3. 「9」 → Qと聞きわけが不可能なので、数字のキュー

  4. 「m」「n」 → 二つ山のエム、一つ山のエヌ

  5. 「q」「p」 → キューピーさんのキュー、キューピーさんのピー
    etc.

その2~間を開ける

庵忠名人が覚王山についての謂れを教えてくださいましたが、この覚王山もなかなか知らないと聞き取れない地名の一つです。

自分が聞き取るためには業務に必要な知識をあらかじめ頭に入れておくことが大切ですが、言うは易しでなかなかできることではありません。そこで、「恐れ入りますが、漢字ではどのように書きますか?」と質問することで、大体の聞き間違いは防げます。

一方で、お客さまはなかなかそのように質問してくださることはありません。こちらが伝える際に、聞き間違いを防ぐ言い方をしなければならないのです。

そのための工夫が、母音の前に間を開けるというものです。

間はほんの一瞬で構いません。完全に無音の状態を作ります。

間を開けないと

覚王山と字で見れば難しい地名でもなんでもありませんが、この地名を知らない人が普通の速度でこの音を聞くと「kakouzann」と聞こえます。
「覚(kaku)」の「u」が聞き取れないのです。

そうするとどんな言葉で認識されるでしょうか。

「加工残」? 「花崗岩」?   ???

電話を聞いている人の頭の中は、👆こんな感じになってしまいます。
それで、聞きなおしてくれればいいのですが、質問するのは勇気がいるものなので、そのままにしてしまわれることもよくあります。
さらには、「???」と考えている間は人の話を聞いていませんから、その間に話したことも伝わっていません。

間を開けると

母音の前に間を開けるとは「kakuouzann」ではなく「kaku_ouzann」と発音するということです。こうすれば、ともすれば「こ」に聞こえがちな部分が、明確に「く」「お」と聞こえます。
もちろん、「あ」「え」「い」「お」「う」が明確に言い分けられるよう、口の形をしっかり作らなければいけません。

これ、ニュースなどを見ているとアナウンサーもやっていますので、たまに気にしてみてください。

それでは、また。


世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。