クレームを生まない質問の仕方
何かしら情報提供をするためには、条件を絞らなければなりません。
そのための方法が質問ですが、この質問は使い方を誤るとクレームを生みます。
「は?なんでそんなことに答えなきゃいけないの?」
「そんなことそっちで調べれば分かるでしょう!?自分で調べなさいよ!」
などと言われたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はクレームを生まない質問の仕方についてご説明します。
質問する側と質問される側のギャップ
先週、このマガジンで、「電話では、なんでも聞いてよい」とお伝えしました。
しかし、必要な質問に答えてもらえず大変な思いをした方や、突然相手が怒りだして上司に対応を代わってもらうことになってしまったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこには、前提として、電話をかける側と受ける側のギャップがあることを認識しましょう。
<<電話をかける側>>
電話をかければ、相手はプロなのだから何でも答えてもらえると思っている。これをお客さまの事前期待といいます。
<<電話を受ける側>>
特定の情報に絞るためには前提となる条件がそろわなければ絞れないことや、案内していい情報は相手によって異なるためそれを確認しなければならないので、不足している条件や情報を質問によって得る必要があるということを当然の事実として知っている。
ギャップを埋める言葉
電話を受ける側は、必要な質問を研修で教わり、実際にその情報がなければ特定の回答に辿り着くことはできないことを経験からも知っています。
(「近くの店を教えて」と訊かれても、どこを探せばよいのかは分かりません)
何度も何度も同じ経験を繰り返すことで、必要な質問をすることはなんの疑問もない当然の行為になっていきます。
一方お客さまは違います。
質問に質問で返すのは失礼という一般常識にもとづき、質問すれば回答が返ってくると思っています。電話を受ける側の当然はお客さまにとっての当然ではありません。
そのギャップを埋めるのが、クッション言葉と理由です。
クッション言葉
クッション言葉とは、後に続く言葉によって受けるショックを想定し、そのショックを和らげるために予め前に添える言葉のことです。
代表的なクッション言葉としては、「恐れ入りますが」「お手数ですが」などがあります。
しかし、取って付けたようなクッション言葉は、かえって相手の神経を逆なですることもあります。
なんでもかんでも「たいっへん申し訳ございませんがぁ」と言っていたら、お客さまは「なんでもかんでも『たいっへん申し訳ございませんがぁ』と言えばいいと思ってるんだ。そんなの時間の無駄だからいらないよ……。」と思っているかもしれません。
クッション言葉の使い方を分解すると、下記の2段階になります。
①後に続く言葉によって受けるショックを想定
これから私が言う言葉によって、この方はどんな風に感じるだろう
ということを自分なりに想像しなければなりません。
ここで必要なのは、共感能力です。
②そのショックを和らげるために予め前に添える
自分なりに、そんな風に感じるときでも、こう言ってもらえたら気持ちいいんじゃないかな、と思える言葉を添えるということです。
理由
全国どこからかけようと、一カ所のコールセンターにつながっていることなど、お客さまは知りません。
資料がどのように整理されているか、個人情報を扱うためのルールをどのように設定しているかなど、すべてお客さまにとっては関係ないことです。
そこで、質問をする際には、必ず理由を添えるようにします。
「なんでそんなこと聞かれなきゃいけないの?」「そっちで調べられるでしょう!?」と相手を怒らせてから説明しても聞いてはもらえません。
お客さまに気持ちよく協力していただくためには、先に理由を説明するのが必要なことです。
クッション言葉と理由の例
これまでの説明を踏まえたトーク例をお示ししますが、お客さまは十人十色です。状況も同じものはありません。
似たような状況であったとしても、このような質問の仕方でお客さまに受け入れてもらえるだろうか、と常に自分の中で確かめながら言葉を選んでください。
では、また。
世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。