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なぜサポート窓口ではあんなに待たされるのか

先週に続いて、Ma-hi-roさまがくださったコメントが今回のテーマです。
それがこちら。

また、使わせていただきますm(__)m

きっと、多くの人が同じことを感じているのではないでしょうか。
この記事を読んでスッキリしていただけるよう、なぜこんなに電話がつながらず待たされることになってしまうのかをご説明しましょう。

待たされるのは購入後

だいたいにおいて待たされるセンターは購入者が利用するサポート窓口です。注文窓口が待たされることはほぼありません。
つまり、利益を生み出さない「コストセンター」には必要最低限の人数しか割けないので、効率化のためにIVR(自動音声案内)が流れ、その先でも待たされるということが発生します。

これは、サービスにどれだけの費用を掛けるか、その企業の考え方と言える部分です。委託を受けているベンダー側が赤字を出して勝手に人数を増やすわけにもいきません。契約上の人数を配置するしかないのです。一方で、クライアント企業からは「入電者が電話を待たされた時間の月間平均が長すぎる!」と叱られるので、別のお客さまに対応中のオペレーターに向かって早く電話を取れとハッパを掛けることしかできません。

※その管理者が電話を取ればいいのに、と思う人もいるかもしれないので補足します。電話が鳴りまくっている状態で管理者が電話を取ってしまうと、質問やトラブルに対応する人がいなくなり、何人もの手が止まることになってしまいます。一本でも多くと思って電話に出てしまうのは、慣れない管理者がよくやってしまう失敗です。私も管理者になりたての頃にこれをやってしまい、「こんな忙しいときに電話に出ないでください!!」とオペレーターさんから怒られました。

サービスが厚ければ価格も上がる

コールセンターは電話を取るのが仕事です。何か他の仕事をして、その間にかかってきた電話をさばくわけではありません。ずーっと電話を取るかログ(入電内容の記録)を入力しているか(なるべく通話中にログを入力するようにしています)なので、全員が電話に出れば、それ以上は電話を取ることができません。
なるべくスムーズに対応するよう工夫はしていても、相手のあることなので、急げば急ぐほど早く終わるというものでもありません。

ちなみに大きなコールセンターであれば、通話録音だけでなくオペレーターの状態もすべて記録されています。ログの入力時間が長すぎればもちろんですが、通話時間が一人だけ人よりも長ければそれも指導の対象になります。休憩時間を10秒余計に取ってもそれは把握されていますし、トイレに行っている時間が先月トータルで何十分何秒だったかも出せます。

もちろん、電話の回線数を一番入電数が多いときに合わせ、人員もその分増やせばお客さまをお待たせすることなく電話は取れます。
しかし、当然のことながらそれには人件費も経費もかかります。委託であれば、契約料の見直しということになり、それはサービスや製品の代金に上乗せされます。
それが許されると考え、値上げをする企業なら、お待たせすることは少ないでしょう。(例えば一つ1000万円の商品を販売している会社のコールセンターであれば、それほど長く待たされることはないでしょう)

同じ費用をサポートにかけるか?CMにかけるか?

一方で、すべてのお客さまがサポートを利用するわけではないのだから、できるだけ安い値段で製品を買ってもらい、その分サービスにかかる費用も抑えようと考える企業もあります。
アフターサービスに経費をかけるぐらいなら、コマーシャルにお金を掛けようと考えても不思議ではありません。

実際とある企業では、経費削減のため、なんとサポート窓口を廃止してしまいました。

そこまで極端でなくとも、電話番号をなくしてメールでの問い合わせしか受け付けないという動きもあります。

あなたならどちらの商品を選びますか?

かたや、購入後サポートに電話したらすぐに出てくれてサービスレベルも高いが値段も高い商品。
かたや、値段の割に製品の品質はよく、ただし聞きたいことがあってもサポートがなかなかつながらない商品。
あなたならどちらを選びますか?

コールセンターのオペレーターは時給の安い非正規の仕事がほとんどです。前者を選ぶ人が増えてくれれば、オペレーターの待遇も上がり、サービスレベル向上のための教育に費やす時間も多く取れます。
オペレーターの満足度は上がり、より良い人材を集めることができるので、サービスレベルも上がるという良い循環が生まれることでしょう。

Ma-hi-roさま、今回の記事はいかがでしたか?
ぜひ、製品の品質のうちにサポートの質も含めて商品を選んでください。
それでは、また。


世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。