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“先手を取る”プレー原則の浸透に見る双方向型のゲームモデル運用。レアル・マドリー好調の要因をポジショナルプレーの観点から紐解く

こんにちは。

国内外の最先端のサッカーを扱う専門誌『footballista』に、レアル・マドリーの今季前半戦の分析記事を寄稿しました。


筆者は現在関東サッカーリーグ1部のエリース東京FCというクラブでテクニカルコーチを務めていますが、今回の記事は特に、レアル・マドリーを分析する上で現場に立つ指導者としての視点を多く取り入れることができたと感じています。

具体的には、サッカーの戦術記事などでよく目にする“タイミング””テンポをコントロールする”などといった表現への解像度の部分。

配置論は確かに重要です。ポジショナルプレーを実践する上で、静的な正しい配置をとり続けることは必要条件です。しかし、可変システムを採用するチーム、正しい配置をとることができるチームはカテゴリーを問わず増加していると感じます。トップレベルではもはや前提と言えるでしょう。マンチェスター・シティが勝ち続けているのは[2-3-5]だからでも[3-2-5]だからでもありません

もっともっと注視しなければならないのは、もっともっとミクロな領域、瞬間的な配置の変化やプレーの選択肢を増やすための個人戦術です。もちろんそれらだけでも成立しませんし、それらと静的な配置との相互作用が重要になってきます。

中でも、ピッチ上のスペースと選択肢の状態が刻一刻と時間変化していく以上、どの“タイミング”でプレーするかの議論を避けて通ることはできないでしょう。出し手・受け手問わずです。しかし、まだまだこの領域に深く言及している記事は少ないように感じますし、筆者自身も学ばなければならないと感じています。

巷でよく言われている認知・判断・実行のフローに当てはめて言えば、“タイミング”とはあるプレーを実行する時刻を指し、“テンポ”とは認知から実行までの時間幅を指すと考えられます。“テンポ”がパススピードなどを表す単語ではない(はず)ということには気をつけたいところです。認知が早ければ、認知から判断までが早ければ、あるいは実行までに判断を複数回行ったり、判断の変更を行ったり、もう一度認知し直したりすることができれば、その分実行する“タイミングの選択肢”を複数持つことが可能になります。“タイミングの選択肢”を複数持つことができれば、その選択によって認知から実行までの時間幅、すなわち“テンポ”を使い分けることができるため、このことを我々は”テンポをコントロールする”などと呼んでいるのではないでしょうか。

具体的なプレーを取り上げて議論し始めれば何文字あっても足りないくらい、日頃現場では上記の観点も踏まえて思考を巡らせているのですが、いつか記事にできれば良いなと思います。今回寄稿したレアル・マドリー分析記事は、そんな現場での視点の一端を言語化した内容になっており、最終的にはレアル・マドリーのゲームモデルの運用法にまで踏み込んで考察しているので、ぜひ一度目を通していただけると嬉しいです。


最後までお読みいただきありがとうございました!

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