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自身自ら受難者に

そう思うと私の臆病さがはかなく感じられもするのである。こんな気のせせこましさが私の過去をあまりに平坦にしてしまったのだと考えた。私自身で人生のかがやかしい受難者になりたく思われたのである。

太宰治、晩年に収められている「思い出」のなかの文章である。

自身の人生は自身の臆病によって平坦でつまらないものになってしまったのだ、と太宰は考える。

そして、自身が自ら選択して人生の受難者になっているのだ、と太宰自身自覚しているようだ。

私自身もこれまでの人生を歩んできたのは、そういう人生を自分の性格からもたらされたのだと、太宰のように自覚できるだろうか。

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