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『グラップラー刃牙』はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ(30分×7話)』を観ました。

明らかに腐女子、明らかにエッセイではないのか?、なのに何故にドラマになったのか? という疑問から見始めてしまいました。
(BL=ボーイズラブまたはBLは、日本における男性同士の同性愛を題材とした小説や漫画などのジャンルのこと。wikiより)

https://twitter.com/bakibl_wowow/status/1443924300545675266?s=20&t=Y7xVd_2e8FzxDcBo-v8wxw

第1話のはじめに出てくるのは主人公の女性の心の声。ここはエッセイで言うと最初の書き出しでもあります。まず、テンポ良くポンポンと湧き出してくるような言葉が実に心地よく。まったくマンガを読まない人にも的確に分かるように説明され。しかも、この人が何者で、どういう考えの持ち主ということまで、心の声の中で見事に表現されていたのでした。

まてまて、『グラップラー刃牙』を知らない人も世の中には多いであろう、そこを先に読んでおかなくてもいいのか?、であるが、読んでいなくてもマンガの絵が入るから、読んでなくても大丈夫です。この作者だって今まで知らなくて見はじめるのであるから、作者といっしょに『グラップラー刃牙』のことを知っていけばいいことです。

これが王道のBLネタにされるような漫画であれば、そんなに私もわざわざ見ようとしなかったし、そんなに引きが強くはならないであろう。『グラップラー刃牙』が男の子の読む漫画の王道であったので、まさかそんなものにBL趣味の方が食いつくとは思っていなかった。ほとんど眼中にないところからの出現だったから、引きが強かった。

BL趣味や腐女子は世の中的には少数派(マイノリティー)だと思う(男子ならオタク、英語圏ならナードとか)。学校社会でも、実際の社会でも何故だか下に見られたりバカにされたりすることが多かったりする。「もしもBL趣味がバレたらどうしょう」「もしかして普通に言ったら理解してくれる人もいるかもしれない」そういう葛藤と隅っこで闘ってきたのが、いきなりテレビドラマ(WOWOWですか)という表舞台に引っ張り出された感じがある。それだけ腐女子が増えてきたということだろうか。それで、世の中の扱いが変わってきたということだろうか(私は場違いな感じがしないでもない)。

雨宮まみさんのエッセイ『女子をこじらせて』でBL=ボーイズラブ(やおい)というものについて知りました。その文章はあまりにも潔く自分をそのまま出しているように感じて、素晴らしかったのでした。

自分が「普通の、キレイな、恋愛とかしてる大人の女」になれない、というのは、何らかの瞬間にはっきりわかったというものではありませんでした。かわいい友達の買い物につきあっても店員さんが自分には声をかけないとか、そういうささいな出来事の積み重ねで挫折感が強くなっていく感じ。そうなると、男女の普通の恋愛が描かれているものを読むのが苦痛になりました。どの恋愛マンガの主人公も、女は最初から普通の(もしくはそれ以上の)容姿に恵まれていたりするから、私はそれらの「女のコ」に自分を重ねることができなかった。そこで「やおい」なわけです。
男女の恋愛には感情移入できなくても、男同士のそれにはなぜかばっちり感情移入できたのです。何より、それを読んでいるときには自分が「女」であることを意識しないで済む。それがどれだけラクなことだったか。

雨宮まみ. 女子をこじらせて (Japanese Edition)

ドラマでは、ずっと『グラップラー刃牙』がいかにBLかを語っているわけにもいかないので、主人公の職場があり、そこでの同僚や元同級生との恋愛話なんかは出てくるが、それがメインストーリーというわけではない。あくまで頭の中で作り出される純粋な妄想が、映像的に描かれるのが中心だ。

よくこの内容を、30分ドラマとはいえ、7話も作ったことに拍手を送りたい。主人公演じるは松本穂香は吹っ切れていて気持ちいいし、この人が魅力的だったので最後まで見てしまったし、楽しんで見れた。

元ネタは金田淳子さんの書籍『グラップラー刃牙』はBLではないかと1日30時間300日考えた乙女の記録ッッ』です。
noteでも読むことができます(一部有料)。乙女の聖典~女子こそ読みたい「刃牙」シリーズ~その1 「刃牙」を9冊読んで頭がおかしくなった女の戦い(https://note.com/higez/n/nf4eaf61f1d61)。
このnoteからテレビドラマになるなんて、実に感慨深い。


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