『仮面ライダーBLACK SUN(Prime Video_全10話)』を観ました。
本作『仮面ライダーBLACK SUN』は特別に作られた作品(仮面ライダー生誕50周年記念企画)である(アマゾンプライムビデオで見れて、世界の約200カ国で配信)。
だから出演者も映画並みに豪華キャスト(西島秀俊、中村倫也、三浦貴大、音尾琢真、濱田岳、プリティ太田、吉田羊、中村梅雀などなど他の怪人役も豪華)であった。
なにしろ監督が今の日本映画界を引っ張ってるとも言える⽩⽯和彌監督(凶悪、日本で一番悪い奴ら、孤狼の血 、ひとよ、死刑にいたる病など)である。
作品を特撮で見る人、役者の演技で見る人とかそれぞれだが、私は内容(お話でなにを伝えようとしているか?)が一番気になる。そこでお話を10話まで観た感想です。
私の感想としては「なんだかスッキリしないで引っかかる」。「はたしてそんなことが伝えたくてこの作品作ったのだろうか?」となんだか疑問でした。
例えばイジメなんかを扱ってる作品があるとしたら、どんな結末になるのかが気になるところ。以下のようなものがあるだろう。
お話は結末まで見てはじめて、作り手がどういう思いで作ったのかがわかる。
それで見た側は「そんなのはあんまりだろ」とか「そうだやり返しちゃえ」とかそれぞれが思ったりする。
さて今作のテーマは『マイノリティ(少数者や少数派)への差別』であろう。
どの社会にも多数派の中で少数派が差別されたりする。それは民族的な少数派とか、男や女という性的な少数派があって、そんな少数派を今作では”怪人(かいじん)”として描いている。
怪人は世の中の多数である人間から追い出される存在であり、そこで「怪物も同じ命だから差別するな」派と「怪物は皆殺しにするべきだ」派がぶつかることになる。
内容からしたら移民問題も含まれるので『今現在において熱い論争のある問題』ではあるから、見ていて人ごとには思えないで引きつけられる。
ではこのお話の落とし所はどうなるのかに興味があったのであるが、結果はかなり残念であった。
このお話のはじまりは「マイノリティ(少数者や少数派)も同じ命だから、人間は怪人を追い出さずに共存していこうではないか」というある少女のスピーチからはじまる。
そして終わり(ストーリー的なネタバレではないですよ)には「世の中の人間が怪人を攻撃するのであれば、私たち怪人は戦うしかない」となる。
私は思わず「なんじゃそりゃあーーーっ」と声が出てしまった(こういう終わり方に納得がいかなかった私)。
もちろん架空のお話ってのはわかってはいるが、明らかに現実の問題を置き換えてお話を作っている作品であるので、その落とし所にはこだわってしまう。
まるでイスラエルに対抗するパレスチナの自爆テロみたいな状態である。今作で戦いの訓練や爆弾の作りを教え込まれる少年少女見せられて、私はかなり気持ち悪くなった(こんなのが勇ましいとかカッコいいとか思う人っているのだろうか?)。
まさか今の時代の新しい作品で「やられたらやり返せ」とか「この国がおかしいから、そんな国のやり方には反抗してやり返してやれ」みたいなお話を見せられると思わなかったし、このようなお話が世界中に発信されて見られることに恥ずかしさも感じた。
これからやってくる脅威に対して戦う準備をするといえば、私なんかはターミネーターのサラコナー母さんを思い出したが、あちらは”機械軍団”との戦いである。今作はこれからやってくる脅威というのが”人間”との対決なのであるからどうも気持ちがスッキリしない。
「やられたらやり返す」では負の連鎖になるというのは、歴史的にも痛い思いして学習したのではないかと思っていた。だからこそ「今までのことを踏まえて今後はどうしていくのか」というのが見たかった。それなのに、あんなに二人の仮面ライダーの葛藤や戦いがあったのに、「やられたらやり返す」ではなんだか回り回って振り出しに戻ってしまったような気持ちになる。
政治家を「自分たち欲求を満たすことだけを考えて行動している」と描くのも薄っぺらい。せめて今の混乱している世の中を少しでも良くしようと「自分たちのことだけを考えることが、すべての国民のためになるはずだ」と勘違いしている人たちのような捉え方であって欲しかった。これでは架空の悪者軍団ショッカーという設定と代わりないではないか。
お話のストーリーとしては二人の仮面ライダーが出てきて、二人を潰そうとする勢力がいて、埋め込まれた力のある石の奪い合いとか、怪人の栄養分になるエキスを出す元祖な怪物がいたりとか面白かった。
私としては、簡単には分かり合えないけどわかりあおうとする人もいるし、そこから何か今までになかった新しい動きが生まれてくるんではないかというのを描いて欲しかった。例えば以下みたいな内容である。
うーん、ちょっと絵空事っぽいですかね?
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