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【ネタバレ無し】知れば知る程面白い『TENET/テネット』感想

本noteは、こちらのTENET解説記事の中から、ネタバレにならない部分を抜き出したものです。映画を既にご覧になった方は、是非こちらを読んでみてください!


映画『TENET テネット』を見てきました。

「よく分からない」という評価が多いTENETですが、知れば知るほど、「そういうことか!?」という発見が沢山あります。自分も例に漏れず、映画が終わった直後は「どういうこと!?意味分からない!」という感想でしたが、映画を観て数時間経た後もこの世界から離れられませんでした。このnoteも2,3時間で書くつもりが、いつの間にか6時間書き続けていました笑。それだけ観た後も夢中にさせてくれる面白い映画だったのだと思います。

監督のクリストファー・ノーランはこれまで、「時間の不思議さ」を上手く利用した傑作をいくつも出してきました。「インセプション」では、 夢の中では時間の長さが20倍になる世界を描き、「インター・ステラー」では相対性理論に基づき時間の歪みを描きました。

そして『TENET テネット』ではついに、時間が逆に進む世界が描かれました。しかしそれは、他の映画でよく見るタイムスリップではありません。過去のある時点に瞬時にワープするタイムスリップとは異なり、時間の逆行ではリアルの世界で逆行していくことになります。

感想-『TENET テネット』の面白さとは!

①時間が逆行するという未知体験が楽しすぎる!

正直TENETは、物語の中盤にかけては退屈でした。名もなき男がなんのために任務に取り組んでいるのかも良く分からないし、ストーリー自体はよく有るスパイもの。”時間が逆に進む(逆行)”とか、"第三次世界大戦”とか、キャッチーな言葉を並べただけで、ストーリー自体はさほど面白くない。途中で眠くなってました笑

それが時間の逆行が始まってからは一変!見たことのない刺激的な世界観と、複雑な描写に圧倒されました。「逆再生の動画と順再生の動画を同時に流す」というクリストファー・ノーランの操る手法が、TENETの映像に未知の迫力と物語の複雑さをもたらし、後半はずっと大興奮でした。

「時間を順行する世界と逆行する世界が同時に存在する」という状況は、誰もが初めての驚き溢れる未知体験だったと思います。

特に初めて主人公が回転ドアで”逆行”を体験するシーンは鮮烈。元に戻っていく水しぶき、後ろに飛んでいく鳥に後ろに進む人間たち。これがリアルにあったらどんなに面白いだろう!?とワクワクさせられました。

②頭が嘘みたいにごちゃごちゃに掻き回される

時間が逆行するという人間にとって未知なる現象が入り乱れることで、TENETの物語には異様な複雑さが生まれます。

伏線が気持ちよく回収され、「そうか!」とパズルがはまる面白さもあれば、いつまで経っても「分からない!意味不明!」と混乱させられ、頭が揉みくちゃにされる面白さもあります。

一度映画を観れば、次の日までこの映画の世界からは抜けられません。


③いや、これどうやって撮ったん!?

逆行する人物と順行する人物が絡み合うアクションシーンやカーチェイス。
見たことのない刺激的で面白い映像に、気づけば心を奪われてしまいます。

そしてその滑らかな映像は、単純な映像合成やCGだけで作られている訳ではありません。『メイキング・オブ・TENET テネット』を読んでみると、ノーランが実写にこだわり、できる限りCGを使わないために大変な労力を使っていることが分かります。

④知れば知る程、面白い!

『TENET テネット』は、一度見るだけでは到底全てを理解することはできません。映画を見た後に振り返ってみると様々な発見と驚きがあります。一度見た瞬間から、2度目、3度目が楽しみになる映画です!


ネタバレ無し解説:時間を逆行するための「回転ドア」

人は空間を行き来できるのに、時間を行き来できないのは何故だろう?
これは今まで幾多もの物理学者が取り組んできた疑問でもあり、数々の映画でテーマとされてきた題材でもあります。

監督のクリストファー・ノーランはこれまで、「時間の不思議さ」を上手く利用した傑作をいくつも出してきました。「インセプション」では、 夢の中では時間の長さが20倍になる世界を描き、「インター・ステラー」では相対性理論に基づき時間の歪みを描きました。

そして『TENET テネット』ではついに、時間が逆に進む世界が描かれました。しかしそれは、他の映画でよく見るタイムスリップではありません。過去のある時点に瞬時にワープするタイムスリップとは異なり、時間の逆行ではリアルの世界で逆行していくことになります。

この時間の逆行を実現したのが、TENETの中で登場する回転マシーンです。この回転マシーンの仕組の複雑さが、見る人を混乱させる一因であったと思います。回転ドアの使い方には2つあるため、順に解説していきます。

回転マシーンは、時間が順行している時に使えば逆行し、逆行している時に使えば順行させることができます。そして回転マシンの現象は、「マシンを使っている本人」と「第三者」とでは全く違って見えます。

無題のプレゼンテーション (1)

まず、時間を順行している人が回転マシンを使うと、「対消滅」の現象が生じます。マシンを使った本人にとっては、順行していた時間が急に逆行することになります。

一方で、第三者から見ると、二人の同一人物が同時にそれぞれのドアから回転マシンに入っていき、なんと二人とも消えたように見えるのです!

無題のプレゼンテーション (2)

一方で、逆行している人が回転マシンを使うとどうでしょうか?
第三者からしてみれば、急に二人の人物が現れてくるように見えます。

ネタバレ無し解説:TENETの意味とは?

TENETという言葉は、Sator Square(セイター四角形)という有名なラテン語の回文に出てくる言葉でもあるようです。

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https://en.wikipedia.org/wiki/Tenet_(film)

この回文に出てくる5つの単語は、全てTENETの映画内で重要な意味を持っています。是非心に留めて見てみてください!

SATOR(セイター)・AREPO(アレポ)・TENET(テネット)・OPERA(オペラ)・ROTAS(ロータス)


※参考

自分は過去に、時間論に関する本を読んだことがありエントロピー増大の法則など、時間の概念に触れたことがあったので、TENETの世界観は比較的すんなり入ってきました。映画を観て、今の物理学が説明する『時間』とは何なのか、興味を持った人は是非読んでみてください。


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