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少年ジャンプ2024年31号感想

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2024年7月1日 発売
表紙 :逃げ上手の若君
巻頭カラー :逃げ上手の若君
センターカラー :悪祓士のキヨシくん
センターカラー :超巡!超条先輩
センターカラー :アンデッドアンラック
読切 :【JSF】ミーミアの杖(大久保凜汰朗)

表紙はアニメ放映開始が迫った逃げ上手の若君。夜桜さんちの大作戦のときもそうでしたが、アニメ化関連のときのカラーはキャラデザが変わってしまったキャラクターが以前の姿で描かれることが多くて趣がありますね。

※ この記事ではAmazonアソシエイトを利用しています。

逃げ上手の若君

カラー

七夕あわせのカラーがいい感じなんですが、ここでキャラクターだけではなく、アニメ制作陣の願い事も短冊に混ぜて掲載!というのがすごく思い切っていてよかったです。タイミングもあるし、思いついても簡単にできる技ではなさそう。

第162話 虚報1338

先週期待していた通りの諜報戦でした。

兵の動かし方とその伝え方(虚報の混ぜ方)については図解を交えてくれていたのでわかりやすかったです。その虚報を伝えたのが新アイテムをGETしていた夏、とちゃんと戦前のエピソードを拾って展開しているのもていねいで好印象。

最近だと呪術廻戦がそうでしたが、「相手がここまで読む」「裏の裏を読む」「裏の裏の裏まで読む……」となっていくと、もはやほとんど運じゃん!?になってしまう。確か、この「どこまで読むか」というのは統計学的にどこまで読むのがいいとかなんとかそういうのがあったような気がしますが、残念ながらぱっと出てこなかったです(だとしても確率である以上運は影響する)。

その確率を上げるために事前に相手を知っておく、という話なんでしょうが、それに関しては寝返った夏がいる分、時行が側がちょっと有利だった感じ。

しかし、こういう頭脳戦を書くって言うのはなかなか難しそうですね。簡単すぎる兵法では読者が「敵はバカなんだなあ」になってしまうし、難しすぎる兵法ではそもそも思いつくのが大変だったり、読者がついて行けなかったりしそう。逃げ若に関しては史実ものなので、実際に使われた戦法を利用しているのかもしれませんが、そこまでは調べられていません。ネタバレにあたりそうで……(史実にネタバレもなにもないのはそう)。

そろそろ大将戦が始まりそうな雰囲気ですが、思っていたよりもあっさりしてますね。

夜桜さんちの大作戦

作戦232.嫌五と虎狼

嫌五の「開花」によって精神空間に移動(?)する嫌五と虎狼。この空間なら旦に監視されずに話ができる……、という話でしたが、読み終わってみるとどっちかというと「嫌五に全て見せたと認識させる」のが目的だったような気もします。

しかし、ここで虎狼のエッッッッッグイ話がねじ込まれるとは思っていなかったので結構動揺してしまいました。とはいえ、そもそも「スパイ」の話なのでこれくらいのエピソードがあることは本来覚悟しておくべきだったのかもしれません。愛していた相手に裏切られただけならともかく、胎児まで奪われ、その子の蘇生を条件に味方になるよう迫られるって……、こんな尊厳破壊あっていいのか!?という感情に。マジでエグい。

ここで「(自分を)裏切った男との子を産みたがるとでも?」との台詞に込められたあらゆる感情と、現在夜桜の敵にいるという事実がマジで悲しい。

しかし、ここでまだ嫌五に隠しているものがあることを考えると、おそらく「自分では死ねない」「死んでこの子と同じところに行きたい」「殺して欲しい」辺りが本音なんじゃないかという気がします。本当にエグい。「師匠は子どもに甘い」からこんなクソ重過去話ぶつけられることある?

からの嫌五の「開花春来」は熱すぎる。嫌五は「唯我独尊」。嫌五のわがままで「まだ俺の師匠でいて」からの師匠救済ルートに向かって欲しい。しかも、これ他の兄弟も「開花春来」あるってことでしょ!?めちゃくちゃうれしいけどめちゃくちゃ最終章って感じ!!!

会長、師匠に引き続き、このレベルの重い話が続くんだろうな……、と思うと読む方の気も結構重いんですが、そこにそれぞれの「開花春来」を噛ませることで少年マンガらしいバトルが続きそうな雰囲気。マジで最終章なんだ……、と毎週思っています。

ONE PIECE

鬼の子ヤマトの金稲荷代参

vol.9「希美-カイドウを恨む子供に石を投げられる」

これはワノ国終盤からずっと心配されていたことで、やっぱり……。という気持ちがあります。というかそれを避けるためにヤマトはルフィの船に乗るんじゃないかと思っていたので、あえてそうしなかったところに尾田先生の描きたいものがあるのかなと……。

ここでヤマトが子供にやり返したり、ましてや子供にやられても黒炭の二の舞だし……、という感じなので、ヤマトが自分でなにか答えを見つけられるといいなと思っています。

第1119話 〝エメト〟

いいところで切れてしまったと思っていた放送は、鉄巨人が海に沈んでしまったため一時的に念波が途切れていただけでした。核心部分を絶妙に隠して公開してくる手口には脱帽。え~~~!!!気になりすぎる!!!

完全に死亡フラグが立っていたと思われたステューシーには生存・合流フラグ。この辺、裏切ったというのも微妙なラインなので難しいですね。まさに夜桜さんちの大作戦の「裏切ったんじゃなくて最初から敵だった」の話なので……。カクはそれでも「友だちだった」というステューシーの気持ちを汲んでくれたんだろうなと思うんですが、実際ここからどうする気なんだろう。ルッチと戦ってでもステューシーを逃がしてくれそうな雰囲気がありますが、そもそもルッチも今回の件で五老星には思うところがありそうなのでちょっと読めない。

鉄巨人復活からの、五老星のうち1名を場外に飛ばしたことで(あれって海に着水した場合どうなるんだろう)、脱出が目前に見えてきました。しかし、この感じだとリリスとアトラスは一緒に行けないような気もするのでなかなか不安ですね。行けるとすればリリス・アトラス共にパンクレコーズとの接続を切り、1人の人間として脱出する方法くらい……?(これは完全リモートではなく、各個体に脳が存在していることが前提ですが……。)

今さらですが、この鉄巨人の名前が「エメト」ってこと?

鵺の陰陽師

第56話 勝負に出ましょう

格上の相手を倒す方法として満点!!!と言いたくなるような納得感のある回でした。輪入道はいわゆる戦闘狂で、それ故の独特な価値観を持っているためその辺りの穴を突くのかな?と思っていたんですが……、撃破自体は真正面から!!!という誠実さに痺れる。

「晴日によって回復力を失っていた」というのはありますが、これに関しては再生力がありすぎる方が「ズル」だろ!!!という気持ちだったので学郎側がずるって感じもなかったし……。また、ここが「晴日によって」というのがこの戦いが3人で掴んだ勝利だった感があってよかったです。失われた人は戻ってこないとは言え、一矢報いることができたようで胸のつかえがちょっと取れた感じ。

バトルの流れも、先輩が爆弾化→10分で倒さなければ!!!となることで間延びせず、勢いに乗っていたので読みやすかった。と言いつつも、今回ので倒し切れたか?という懸念はちょっと残ってるかも(倒せていて欲しい)。

しかし、戦闘中に鼻血出しながら奮闘する学郎はがむしゃらなキャラクター性が出ていてかっこいいんですが(先生もそれを書きたいんだと思う)、やっぱちょっと画的に気になってしまう……。そこがちょっと残念です(作品ではなく自分の感性が)。

僕のヒーローアカデミア

No.425 地獄の轟くん家・FINAL

サブタイトルはそれでいいのか?という気持ちとわかりやすいっちゃわかりやすいか……、という気持ちがある。確かにずっと地獄だったし、これからも地獄の中で生きていくんだろうなと思います。なんとかならなかったのかと思うのと同時に、こうするしかなかったんだろうなとも思える不思議な読後感。

犯した罪を「死んで償うのではなく、生きて償い続ける」という考え方自体はよくあるテーマですが、この作品はずっとそのことと向き合ってきた印象があります(特に轟家、エンデヴァーを通して)。このテーマってメインテーマにしてもなお書き足りるかどうか難しいところだと思うんですが、それをこの長編連載の中で、テーマの1つとして消化しきったというのは本当にものすごいことだな……と思います。

考え方は人それぞれなので私とは違う感想の人もいると思いますが、私は僕のヒーローアカデミアという作品において、これ以上なく納得できる終わり方だったと思います。

荼毘も炎司も、誰もが、誰かに許されたり許されなかったりしながら生きていくのだという姿はその優しさも残酷さも含めて現実的だったと思います。ここで夏雄が「許せる範囲」を描いたのも、「自分が許さないことと他の人(本人を含めて)が許すことは別」という姿勢をみせたのもしっかりしているなと感じました。

その他、レディ・ナガンやホークス、ジェントルやラブラバの後日談もしっかり挟んでいてくれてうれしい。ホークスはもうちょっと掘り下げありそうですね。

しかし、あと4話!?マジで!?

悪祓士のキヨシくん

第2話 友達いっぱいできるかな

カラーのセンスも良く絵も安定しているので、既に中堅っぽいオーラがありますね。最近の本誌だとこういう中世ファンタジーものが少ないので結構目を引く(内容が中世ファンタジーかというと微妙ですが……)。

物語のまとまりとしては1話の方がすっきりしていた印象ですが、個人的には今回の2話の方が作家のカラーが出ていてよかったと思います。

友だちを作りたいのに卒業スタートとはめずらしいですが、ちゃんと同期という概念があるっぽいのでまだまだ諦めなくてもよさそう。今回は悪祓学校のメンバーがサブキャラだったため、世界観の広がりも感じられたのがよかったです。

また、読んでいて思ったんですが、キヨシをはじめとして最近の主人公はかなり「善」に振り切ったキャラクターが多いような気がします。「善でなければならない」という決まりはないと思いますが(個人的には悪人系や清濁合わせ飲む系の主人公も好きなので)、「善人」としてキャラクターを作っておいた方が「読みやすい」のはありそう。最近ちょっとひったくり犯を追うために他人のバイクを借りる主人公の話がバズっていたくらいだし……。

その分主人公が「善」を少しでも外すとバッシングを受けやすいというリスクがありますが、その辺キヨシくんはあんまり心配なさそう。

他の方が感想でエンジェル伝説みがあるって言っていたのを見て、「それだ!!!」となりました。そりゃ好きなわけだ。

アオのハコ

#155 もしかして

遊佐くんとここでこの話をしたってことは……、来年、ある!?正直アオのハコにおけるスポーツ部分のテンションがよくわかっていないので、この予想があっているのかもわからない。

メインはIH終了からの打ち上げでした。正直、私はこの打ち上げのテンションは苦手ですが、流石運動部の面々。みんな楽しそう!!!青春!!!って感じ。部員の彼女が普通に参加してても嫌な顔ひとつしてないあたり人間もできている。それどころか大喜を彼女のことでいじるんだからマジで世界が違うなと感じました。運動部……恐ろしいところだ……。

そこからの、大喜父に付き合っていることがバレる……!?のシーンはあまりにも衝撃的でした。そろそろ来ると思ってたけど、もう来るんだ!?的な……。

千夏(と大喜)はここで嘘をつくような人間であって欲しくないないんですが、ここで正直に「つきあってます」って言ってしまったら物語的にどうなんだろう!?という気持ちもあって、マジで来週どうなっちゃうのか展開が読めない。今、アオのハコで一番ハラハラしてるかもしれない。

私がこんなにハラハラしてるのに、千夏先輩の横で大喜が寝てんのはおもしろすぎる。

あかね噺

第116席 審査結果

結果にしか興味がないから、と眠りこけていた人物から話が始まるのがオシャレでいいですね。急に盛り上がったように見える会場を描くことで、「尋常ではないことが起きた」ということを再認識させてくれます。

また、「足らんな」の一生はあまりにも厳しかったものの(私が寝てた観客だったらビビって泣いてしまうと思う)、そこで「審査結果は集計」と話が進んで首の皮一枚繋がるところは普通にめちゃくちゃハラハラしました。こっちの感情もめちゃくちゃになる。

そして、全生。絶対に認めないもんね~という姿勢だった全生に、いつの間にか感情移入しちゃうこと……、あるんだ!?!?!?あそこまで「認めたくない」気持ちが強いのに審査はちゃんと芸に対して行うという落語への思いのせいで全生を嫌いになりきれず、悔しい。

一生の株も全生の株も、もちろんまいけるの株も落とさずに駆け抜けた昇進試験編、マジですごすぎる。一剣の株は下がるどころか爆上がり(通訳ありがとうの感謝の気持ちで)。私が作者だったら一生のセリフの方で「俺は認めない」の「は」のところ強調してしまう。そこをメタ的な手法ではなく、一剣に語らせたところも物語としてよかったと思います。

なんにせよ、真打昇進がめでたすぎる。志ぐまが泣いてしまっているのを見て、私までぎゅっとなってしまった。本当によかったね……。

超巡!超条先輩

第20話 さよなら巡査長

サブタイトルが「さよなら巡査長」なので超巡が家出(?)でもするのかな……、と思っていたらローボくんの方が家出(?)してしまった。

こういうコメディー系のマンガだと「このとき誰が本来の業務やってるの?」みたいなところは流されがちですが、あえてそこに言及してきた上にちゃんと説得力があったのがよかったです(説得力がない場合「触れないのが正解」ということになりかねないため)。

そこで前々回から追加されたヒュージと出会う流れはおもしろかったし、超巡たちとローボくんがそれぞれヒュージと関わりがあることを知らないので、今後そこにフォーカスしたアンジャッシュ展開が来そうなのも楽しみですね。というか、このネタのためにヒュージ回にローボくんがいなかったんだ……、と納得。当たり前のことですが、マンガって行き当たりばったりじゃないんだな……。すごい……。

今回も「全然探してくれない」→「家出(?)がバレるとローボくんがクビになってしまうかもしれないから」という蛇口からあふれた優しさが見えてよかったです。ほぼ毎回、なんかかんだでほんのりいい話になるのが個人的に好き(ここは好みがありそう)。

また、、キャラクター同士のパワーバランスの調整によって割を食ってる感の強いキャラをなくしているのがいい感じ。

ウィッチウォッチ

162 #シンプルライフ

ウィッチウォッチにおける単発ギャグ回のハズレのなさは異常。先週に引き続きギャグ展開が続いていて個人的にはうれしい限りです。私ってこんなにギャグマンガ好きだったんだな。

ケイゴとネムで「ラブコメ回かな?」というフリを挟みつつ(口実を考えてケイゴに会っているネムはかわいかったですが)、そこからギャグにしかならないの、マジで何!?過ぎる。個人的には『穴の開いた部屋』でアンジャッシュしてケイゴの部屋に大穴が開くところが見たかったんですが、全身脱色がおもしろすぎてそんな気持ちも忘れてしまいました。一緒に住んでるのになんで誰も止めなかったんだ(多分止めていたと思う)。

荷物が捨てられてなくてよかったね、という安心で終われたのもよかったです。なんかホントに捨てちゃってた方がおもしろかった可能性はあるんですが、それだと心配と「もったいない」って気持ちの方が上回ってまったと思うので……。

SAKAMOTO DAYS

DAYS 172 蜃気楼

ここでスラーたちの方に場面転換は予想してなかったので結構ビビりました。それだけでもびっくりしたのに、武器工場襲撃の場に京が普通についてきていたのも笑いました。こいつホントに元ORDERだった設定必要だった!?!?!?(おもしろいからいいけど)

なんで殺し屋展に来なかったんだとか((主演の晶が行かなかったからだと思う)、あそこからどうやって合流したんだよとか思うところはありますが、あんまり細かいことを気にするマンガでもないか……、とその辺を全部流せてしまうのは強い。

気になっている有月の多重人格システムですが、前回で「コピー超能力確定か?」となっていたところでまた、「人格は有月の記憶から作られた」ことが強調され始めたのでまたよくわからないことになってきてしまった。事実を話せるのはおそらく「リオン人格」だけで、そのリオン人格が「有月の記憶から作られた人格だ」と2回も言っているものの、嘘をついていないとは断定できないのが難しいところ。ただ、篁さんの人格に関してはその行動からも「有月の認識でしか再現できない人格」であってそうですね。

こうなると有月のコピー能力って「自分の知識から他人の人格を再現しているだけ、エスパーではない」か、「相手の能力のみをコピーするエスパー(人格は記憶から再現する)」のどっちかなのかなと予想しています。ただ、記憶だけで坂本・南雲が赤尾本人だと誤認するような身のこなしの再現って可能なのか?とも思うので後者なのかな~と思うんですが、今考えてわかることではなさそう。

ちょうどここから過去編が始まることもあり、そこで明かされるのを待ちます。前回の過去編は単行本1冊とちょっとくらいのボリュームがありましたが、今回はどれくらいになるんだろう……。個人的にはいい加減なにも知らされない南雲がかわいそうになってきたので、この回想のラスト付近で「そういうことだったんだ」みたいに物陰で聞いてた体で出てきて欲しい気持ちがあります。そのまま麻樹討伐チーム結成ならんか?ならなそう(熊埜御・京もいるし)。

あと、楽の生死も気になるところ。今回姿を現していないこと、熊埜御の「楽やハルマがいなくても」というセリフから死亡した可能性は高そうなんですが、あくまで「いなくても」という言い方なので死亡確定とは言い切れないので……。

アンデッドアンラック

No.212 LIVE@LIVE

楓と戦いたかったのはくるるの本心、それをソウルに利用され……、というのは大体予想通り。もっと完全にソウルの意のままに操られているのかと思っていたので、かなり自我が残っていたところはちょっと意外でした。

その後のアイドル勝負は、言ってしまえば「票は取れなかったけど雷太に不貞の能力は聞かなかったので、試合には負けたけど勝負には勝った」的な感じ。これは正直、消化不良でした。「アイドルとしての楓の在り方」や「楓は無意識で魂の操作を理解していた」などの伏線はあったものの、今までの理詰め展開(力尽くなときもある)が好きな身からするとちょっと「気合い」で解決してしまった感じで乗り切れなかった感じ。ソウル弾(?)対決も、ソウルを雷太に1点集中させたくるるに、ソウルを全員に拡散させた楓が負けた道理もピンと来なかったのが残念でした(そもそも楓の魂の拡散ってなんだ?ではある)。魂の器の修復についても以下同文。

また、くるるが楓に対して強い対抗意識を持っていたところもやや描写不足だったのか、ちょっと消化不良な感じ……。この辺りに関しては次の週で語られる可能性もあるので一概には言えませんが、アイドル編自体が風子とその母の話を書くための舞台装置だったという印象を拭いきれなかった印象があります。

開示された設定や風子の家族という要素、アイドル対決など、要素要素はおもしろかった分、ハードルが上がりすぎてしまっていたのかも。

次週の展開に期待したいと思います。

カグラバチ

第39話 超えろ!!

楽座市のスタート地点でMr.イナズマの話を「蔵の中の人間とその家族」の代表として挟んだことでチヒロたちの目的がブレず、現在の状況がどの地点なのか、というのがわかるようになっているメタ的な構成が上手いですね。楽座市編の〆もこの姉弟になるんじゃないかな。

チヒロ&ハクリVS京羅戦はますます佳境に。どっちも限界が近そうに見える戦い方をしているおかげで、いい意味でどっちが優勢なのかわかりにくいのが……、いい。気持ちが盛り上がります。ハクリが天才過ぎてパワーバランス大丈夫?というところは「まだ使い慣れていない」という部分でフォロー。

京羅パパが家族を犠牲にするだけのクソパパではなく、あくまで「楽座市」を遂行する「漣家当主である」というところもよかったですね。双城もそういうところがありましたが、悪党は悪党なりの矜持を持っているところ、世界観や法によっては正しかったかもしれない存在として描いているところに魅力があります。

変則的な戦闘もできるだけわかりやすく描いている印象、かつ「もう見くびらん」からの「下見会」のあたりなんかは、台詞と戦闘シーンをうまくあわせたテクニカルな画も使っていて、なかなかハイコンテクストな描き方をするな~と何度か読み返してしまいました。

ここで勝った!!!!!と思わせてからの「真打の力」での引きも上手い。真打の魅力を会場のクズたちを通して描いているのもよかったです。ただ、私は妖刀のルールをすでにちょっと忘れているため、その辺も一緒に説明して欲しいなと思っています。

キルアオ

page 59 ミツオカダンジョン④

こういうことはあまり書きたくないんですが、女性陣に粘着糸攻撃って……、いいですね。なんかここで部長のシルエットがかわいすぎるネタを挟むこといやらしくなりすぎてないのもバランス感覚がすごい。

先週はシンの見せ場、じゃあ今週は天馬の見せ場、と無駄のない展開。ここで十三が解説役に入るややメタな流れ「昔はテレビで連日野球中継やってたんだよ」はちょうど「ホントかな?お父さんに聞いてみよう!」くらいの時代感があってよかった。「昔は野球中継で後ろの番組の放映時間がずれてしまって、見たかったアニメの録画に失敗したんだよ」とかそういう話が聞けると思います。今ってあんまり野球中継してないんですね(テレビがないのでよく知らない)。

しかし、シンの見せ場・天馬の見せ場ときて、十三に見せ場がなかったのは笑ってしまった。この章のどこかで後遺症を克服して活躍するシーンはあると思うんですが、今ではないらしい。

その代わりに現れた女性陣の「助けられるだけが女じゃないぜ!!!」というのは先生が好きそうな展開だな~、と思ってちょっとほっこりしました。しゃもじ発見からの異世界転生風になってるのは純粋に「何!?」ではあるので、次で説明があるんだろうな。

願いのアストロ

第11話 世剣寅三

鷹派の元に行くに当たってアストロ狩りの現場を実際に見せてから激突へ、という流れがスムーズでした。まあ、そのためにヒバルが軽トラの荷台で居眠りした上に振り落とされるというとんでもないムーヴをかましてくるのでちょっと笑ってしまう。自由すぎる。

このまま少人数で突っ込むなんて無謀なんじゃないか……?と思うテラスに対し、「野々が困ってんのに突っ込まねー理由ある?」とどこか既視感のあるセリフで煽るクランと、それに乗るヒバル(と既に腹を括っているキンパ)。言い出しっぺがヒバルじゃなくていいのか?というのはちょっと思いましたが、ここのテンポ感は非常によかったのでこれでいいです。寅三も言っていますが、テラスがまともなところを含めて好き(暗にテラス以外まともじゃないって言われてるけど……)。

ここでさらっと「霞が関付近の大穴」を登場させているのも今後の布石として上手いですね。私は後々攻略することになるダンジョンだと思います。

ただ、アストロなしでも寅三の体はめちゃくちゃ硬ェんだ!!!で次回に続くのは流石におもしろすぎるでしょ。なんかもう無法すぎて好き。

ちなみに壊されてしまった野々ちゃんのアストロですが、ここで壊されただけでは終わらず、なんかいい感じに話に絡めてきて欲しいなと思っています。

僕とロボコ

第191話 将棋とボンド

ロボコの将棋回は元ネタをあまり知らないので、ちょっと距離を感じてしまいがちなんですが……、今回はあんまり関係なかった。元々パロが好きなのでそういう部分を含めて読んでいるんですが、「元ネタを知らない」って結構大きいんだな……。

というか今回はどっちかというと「将棋ウォーズ」のPR回みたいでしたね。

今回、全体的な話やオチは好きだったんですが、「将棋ウォーズ」の案件記事っぽい……、と思ってしまってからそれが頭から離れなかったのがちょっと残念。多分案件じゃないと思うんですが、ここまでがっつり出すのであればいっそ広告マンガとして描いた方がいいんじゃない……?みたいな気持ちになってしまった。

極東ネクロマンス

第10話 どうして

ネクロマンサーの能力がこんなに肉体強化面に振れることってあるんですね。皆が皆そうというわけではないので、薫(というかシシ)の力が特殊なのかもしれませんが、なかなか意外性がありました。ジャンプ主人公っぽいと言えばジャンプ主人公っぽい。

また、敵側の動きもネクロマンサーと言うよりは完全に暗殺者のそれ。主人公の能力との相性が悪そう、かつ翠の能力に対しては強そう、というのがよかったです。また、主人公が戦闘中に色々考え込みながら戦うというシーン自体はよくありますが、それが「薫はシシの能力によって相手の行動がとても遅く見えるため、考えている余裕がある」としっかり説明がつくのがいいですね(なければないで「マンガってそういうもん」として読む)。

どう見ても薫の勝ちなので、ここで初白星か?と思わせてからのガス欠、拉致。修行中だったという弱味を突かれた形での決着となりました。

また、翠の怪我がマジでリアルに致命傷って感じがするので、薫が攫われたことを心配するよりも「翠を病院に!!!」という気持ちになってしまった。このマンガ、怪我人の描写がやたら上手い(褒め言葉として書いています)。

ここからは耀司視点で話が進む、というのはW主人公制を上手く使っていていいですね。

さいくるびより

8話 植物替え

今回はサイクハウスの模倣替え(というか花替え)回。マジで花を替えるだけで1話使っていて豪胆なんですが、その分その中の会話劇で世界観を小出しにしているところがいい感じ。

しかし、この日常系マンガっぽさが好きではあるんですが、掲載誌的にこのまま行くのは大変じゃない!?という気持ちが強い。今回でねむるの家族の話や「最初のサイク」の話も出てきたので、これを軸に進めるんだろうなというのはわかるんですが、掲載順的にもこのまま行けるのか?という不安があります。今回の「花から離れたものは効力が切れるようにサイクをかけられる」とかそういう話が好きなのでまだまだ読みたいんだけどな~~~。

また、今回出てきた「サイクハウスを24時間定点観測して配信しているチャンネル」の存在ですが、他人の家を24時間配信している人間を放置していていいの!?ってところが結構気になりました。サイクの存在ってこんなに堂々としていていいのか?というところもそうですが、そうでなくても他人の家を24時間配信するのは普通にアウトじゃない!?

ただこれ逆に、最終的に「このマンガは作者がこのカメラで見たサイク持ちの日常をそのまま描いたものです」みたいなオチが来たらメタ手法好きとして興奮してしまうかもしれない。

ミーミアの杖【JSF】

大久保凜汰朗

悪い意味ではないんですが、「強面職人×一見ドジな女の子」の組み合わせにはWebマンガっぽいキャッチーさがありました。設定のキャッチーさに対して書き込みの多い絵柄がややミスマッチだったんですが、これはミスマッチなところがむしろよかったと感じました。また、これは私の偏見の強さが露見して恥ずかしいところなんですが、主人公が女の子だと無意識に「ジャンプっぽくない」と思ってしまうのかもしれない。

内容としては「魔法を上手く使えない女の子が凄腕職人に杖を作ってもらう話」で、オチで杖がうまく使えていなかったのは主人公が弱いからではなく、杖が自分の出力規格に合っていなかったからだった、とまとまる。おそらく職人はそれを最初から見抜けていたものの、そこではなく主人公の「魔法を楽しいと感じる気持ち」の方に共感して杖を作ってあげたというのがよかったです。

速報版の感想では「杖を作ってあげる理由みたいなところがもうちょっと欲しかった気がする」って書いてしまったんですが、大きな力を持っているからこそ、その力に対する根本的な姿勢が大切だったと思ったというのは十分すぎる理由でしたね。

せっかく読ませる設定なので15Pではなくもっと読みたかったという気持ちは変わらず。

妖怪バスター村上

第3話 壁

普通にぬりかべ回で「壁」だった。今回はぬりかべ!!!いつも通り行くぜ!!!という感じだと思っていたら退魔師の先輩が出てきたことによってより賑やかに。村上くんはそもそも妖怪を口で攻撃しているという意識はないため、退魔師の先輩にもどんどん突っ込んでしまうと言うむちゃくちゃさがよかったです。ずっとこれでいて欲しい。

しかし、3話目まで来ても紅院くんが男であることを忘れてしまう。かわいいね。

この先も巻末固定となるとページ数が少なくなりそうでちょっと残念だったんですが、そもそも恋するワンピースは2~3Pのおまけマンガでも全然おもしろかったし、あんまり悲観的にならなくてもいい気がしてきました。

伊原先生のギャグが好きなので、村上妖怪で百鬼夜行ができるくらい続いて欲しい。

作者コメント

鈴木先生のコメントで、「元S(スタッフ)の伊藤星一が作画を務めるテニス漫画『ラブフォーティ』」とあったんですが、伊藤先生ってSAKAMOTO DAYSのスタッフだったんですね。なんかたまたま読んでいたマンガがこういう形で繋がっているとうれしい。

あかね噺の馬上先生がキヨシくん作者の臼井先生とアシスタント先が一緒だったという話もされていて、こういう交流(?)が見られるのはいいな~と思いました。

そんな中で篠原先生が素数ゼミに興奮しているのが異質でおもしろい。

少年ジャンプ2024年32号 予告

1週間開きましたが、ここで新連載第3弾が連載開始。予想通りラブコメっぽいですが、「家庭的男子高校生×女子高生社長」という属性はちょっと変わっていて気になりますね。

2024年7月8日 発売
表紙 :ひまてん!
巻頭カラー :ひまてん!
センターカラー :鵺の陰陽師
センターカラー :逃げ上手の若君
センターカラー :キルアオ

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