見出し画像

シャッター店舗&空き家がならぶ商店街を歩き回れる『愉歩道』に

全国共通課題のシャッター街の活性化。

都農町にも、シャッター店舗や空き家が立ち並ぶ商店街がありますが、それぞれの事情で、実は借りようと思っても借りられるところが少ないのが本質的な課題。

町民アンケート「元気のあるまちになるために、期待する政策」では「商店街の活性化」が45.2%で2番目に高い結果

日ごろは人通りも少なく、存在感も薄めの商店街ですが、一之宮神社として格式高い都農神社に通じる道であり、町民が最も熱く盛り上がる夏祭りの神輿を担ぐ道でもあるため、特別な存在です。

画像1

人口減少、高齢化、後継者不足、都市部のショッピングモール、C02削減など考え合わせると、商店街の活性化というよりは、歩道・公園空間として整備という方向性が現実的。

ビジョンとしては、多世代が歩くことを自ら愉しめる『愉歩道(ゆうほどう)』と位置づけ、新しい賑わいを生みだす場にしていきたいなと。

1. タダで集まれる場


現在、これからのまちづくりを見える化する都農町グランドデザインの作成を進めてますが、町民ワークショップで商店街(旧10号)ついても積極的に議論が進んでいます。

スクリーンショット 2021-09-05 19.28.05

都市計画案として、現状6m前後の道路幅員を15mまで拡幅させることも検討しており、町民のみなさんに、さまざまなアングルから意見を集めています。

印象的だった意見は「みんなでタダで集まる、自慢できる町

40%が高齢者、ほぼ年金生活となると、”タダ”は重要なキーワード。

当たり前のことですが、そういう目線でまちを見ると、案外、タダで楽しめる場所が少ないことに気づきます。

スクリーンショット 2021-09-05 18.56.38

共通した意見としては、道路の拡幅は良いけれど、車道の拡幅ではなく、歩道の拡幅

高齢者や子どもが、歩いて集まりやすい場所に

スクリーンショット 2021-09-05 18.37.42

2. 歩行者空間の充実

歩行者空間の充実でまちに賑わいを生んだ例では、僕もお邪魔した愛媛県松山市の取り組みが有名です。

スクリーンショット 2021-09-05 19.31.26

6車線を2車線に減らし、自転車道を設け、5mだった歩道幅を最大10mまで広げています。

都農町の町民から出ていた要望をほぼ体現しているので、とても参考になる事例です。

画像4

画像5


もうひとつ、国内の事例で、都農神社に通じる商店街という特性に近い門前町のまちなみデザインとして、路面を石畳にしたうえで、歩車道を段差なく1本の参道にする伊勢市、出雲市の取り組みも参考に。


画像8

画像9

これも都農町民から、よく出てきた要望で、拡幅よりも道路の舗装整備に力を入れて欲しいという内容。

大別すると2つで、

安全面を重視(平らに、足にやさしいインターロッキングなど)
神社の参道感(都農神社に通じる道を感じさせる石畳など)


最後に、歩行者空間として必要なものはベンチや、屋根付きのバス待合所。

2年前にコペンハーゲンを訪れた際、100枚ほどベンチの写真を撮ってきましたが、ほぼ100mおきにベンチがあって衝撃を覚えました。

スクリーンショット 2021-09-05 19.36.49

人が留まり、休憩したり、会話が生まれるベンチがあちこちに点在するだけで、『愉歩道』としての役割に貢献することは間違いなし。

3. ゼロ・カーボンの推進

歩行者空間の充実は、景観・まちなみの文脈だけでなく、CO2削減(ゼロ・カーボン)の文脈でも重要になります。

いま、都農町で「ゼロ・カーボン宣言」の準備を進めています。

改めて言うまでもなく、CO2の排出量で大きなウェイトをしめるのは運輸(車両)です。

画像6

都農町では、運輸部門の1人あたりCO2排出量は、旅客自動車、貨物自動車ともに、全国平均を大きく上回ってしまっています。

画像7

高齢化による免許返納問題とあわせて、これからよりいっそう、車を使わなくても暮らせる町、歩き回れる町を目指していく必要が高まっていくと思います。

 かつては都農神社の夏祭前に「土曜夜市」も開催されて賑わったという都農町の商店街(旧10号)。

町民の誇りである都農神社を生かしたまちなみを整備し、車を運転できない高齢者や子どもたちが安心して、歩くことを愉しめる『愉歩道』として、都市計画を含めてグランドデザインの中でも位置づけていく必要があります。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?