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TCC

こんにちは、栗東の青木です!
今年の始めにTCCセラピーパークへ取材に行ってきたので、読んでいただけますと幸いです🙇🏻‍♀️

木目を基調とした外観が温もりを感じさせてくれる

TCCセラピーパークは株式会社 TCC Japanが運営する福祉活動施設で、障がいを持った子供たちへホースセラピーを通した児童発達支援活動・大きなけがを負い行き場をなくした引退競走馬用のホースシェルターの設置がされています。

競馬ブックの本社から車で10分ほどの場所にあるのですが、「こんな近所に!」と驚きました😲
日当たりのいい建物のエントランスを抜けると、馬たちが過ごす厩舎と馬場が。
場内にはウッドチップが敷かれた角馬場や屋根付きの丸馬場が設置されていて、馬たちがしっかり運動できる環境が整えられています。取材に伺った時は、ブルトン種のりんごちゃんと2頭のポニーが角馬場で運動に励んでいました💪

運動するりんごちゃんとポニーたち

ホースシェルターでは競走馬を引退したサラブレッド・隣の厩舎ではポニーたちが過ごしています。ポニーの中にはJRAの競馬場からきたという子も。
栗東トレセンに近いということもあり、何かあった時には獣医さんなどに来てもらえるように連携が取れているとのこと。
お世話をする人にとっても馬たちにとっても、安心の環境です。

ホースシェルター(左)とポニーが過ごす厩舎(右)

施設長の山本妃呂己ひろみさんにお話を伺いました。

山本さん(奥)、青木(手前)

ーー始めに、セラピーパークはどのような施設か教えてください。

「人と馬への福祉活動」というところで、人と馬の共生を目指した施設となっています。
人への福祉活動として障がいを持った子供たちに向けたホースセラピーをメインに行っているのと、馬への福祉活動として引退競走馬への支援活動の二つを軸に活動しています。
ここTCCセラピーパークはその2つの拠点になっていて、障がい児童の通所施設として「児童発達支援事業所」「放課後等デイサービス」「日中一時支援」の役割を担っています。
「児童発達支援事業所」「放課後等デイサービス」には学校や幼稚園が終わってから地域の児童が毎日やってきます。土日も開いているのですが、遠方からも来てくださる方もいらっしゃいますね。
年齢は2歳~18歳と、幅広い年齢の子供たちが通ってくれています。

ーーホースセラピーではどのような活動をされているのでしょうか。

厩舎作業、餌の準備、ブラッシングなどの手入れから馬に乗るところまで、馬との活動すべてを療育活動としています。
馬をお世話することで相手を思いやる気持ちを培い、乗馬をすることで馬とのコミュニケーションを取ったり体幹のトレーニングをしたりと、心身に効果が得られると期待し療育として提供しています。
ここでの体験が子供たちの社会生活の中でプラスになるように、というところを意識しています。

ーーホースシェルターについて教えてください。

セラピーパークのホースシェルターは「引退競走馬支援」の入り口として設置してあり、大きなケガを負って行き先がない馬・ここが無かったら処分される可能性が高い馬など、ギリギリの馬たちを受け入れています。
まずはここで治療・リハビリをして、ある程度動けるようになったら次のキャリアに送り出していくという形です。
受け入れ方法としては馬主さんから直接連絡をいただくことや、角居勝彦元調教師のホースコミュニティを経由して連絡が来ることもあります。

こちらに来ることが決まった時点で譲渡してもらうので、所有権はTCC Japanが持つことになります。その後所有権は手放さず、セカンドキャリア・サードキャリアに移っても終生面倒を見ることをモットーにしています。セラピーパークを卒業するときに一口オーナーを募集し、その会費で預託料を支払っていくという仕組みになっています。

ーー滋賀県高島市に新しい施設ができると伺いました。

TCC Japanは現在ここセラピーパーク・東京の表参道にオープンしたカフェを拠点に活動していて、東京の方は馬事公苑でのイベントや「ホースメッセ」に参加するなど、広報活動にも力を入れています。

高島はメタセコイア並木があってとても集客力のある観光地なので、曳き馬や馬車の体験やカフェを併設した観光牧場をオープン予定です。
観光客向けの施設なので、ふれあいなどを通して馬に親しんでもらい、あまり馬に興味がない人に向けた普及活動やTCCホースの養老の場にしていきたいと考えています。
TCC Japanがやるということもあり、ふれあいなど馬と関わるイベントを通して、メンタルケアなどサラブレッドの新しい活用法として癒しのプログラムができればと考えています。

滋賀県高島市マキノ町にあるメタセコイア並木

ーー会員にも何種類かあるとお聞きしました。

基本会費が1000円で、パークに遊びに来ていただけたりTCCホースに会いに行けたりします。それぞれの馬のオーナーになっていただくと、場所によっては割引価格で乗馬体験ができたり各馬の情報を受けられたりと、オーナー特典もあります。
あとはシェルターサポーターといって、ホースシェルターに来た馬を対象にした支援方法もあります。シェルター馬房は4馬房あって(現在は1頭が入厩中)、治療費や薬代を会費で支えてもらうという形です。
マルチオーナーといって、シェルターを卒業した馬全体に支援する方法もあります。
組み合わせて支援してくださっている会員さんもいますね。

引退競走馬に触れるのはタブー視されていた時期もありますが、競馬に関わった馬というのは人のために働いてくれていたということなので、最後まで見届ける必要があると考えています。その情報を管理しようと始まったのが先ほど言ったホースコミュニティです。

担当していた厩務員さんやジョッキーなど、競馬関係者の方も会員になっていただいたり会いに来てくださったりしています。

ーー競馬ファンに伝えたいことはありますか?

競馬で走っていた馬は人の興行のために頑張って働いてくれていたということなので、最後まで人が面倒を見るべきかなと考えています。
競馬ファンはたくさんいらっしゃいますので、その方々に支えていただけると余生を全うできる馬を増やせることに繋がるのではないかなと感じます。
まずは競馬と共に興味関心を持ってもらうことが大切ですね。
関心を持ってもらえても「引退競走馬に対して何ができるのかな」「何から始めたらいいのかな」など、支援の仕方が分からないことも多いと思います。
こちらからも積極的に情報発信に努めて、広くたくさんの方に関わっていただけたらいいなと考えています。

こちらを覗いているのはラッキーハンター👀


いかがでしたでしょうか。
一時期、SNSなどでも「引退競走馬に触れるのはタブー」という空気が漂っていたように感じられましたが、最近では繋養先の牧場を訪れることができたり生牧草バンクから贈り物ができたりと、引退競走馬に関われる機会がかなり多くなったと感じます。(それを望まない繋養先やオーナーもいらっしゃると思うので、開示されている情報以上に踏み込まないことは大事ですね。)

この記事を読んで下さっている中には競馬ファンの方も多いかと思います。現役で走っている馬たちを応援するのはもちろんですが、その先のキャリアを生きている引退競走馬たちにもぜひ注目してみてはいかがでしょうか。
もしかしたら、応援していた馬の生涯を支える機会に巡り合うかもしれません。
1頭でも多くの馬が幸せな余生を過ごせるよう、支援の輪がもっと広がっていけばいいなと思います。

(文・青木慶子 写真・寺田康介)


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