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24年日本ダービーを振り返る~運を引き寄せたリアル・競馬場の達人の神業~

ダービーは一番運がいい馬が勝つ』とはよく言ったものだと思う。

もちろんどのレースも運がない馬は勝てない。先週ステレンボッシュが外からフタをされたりして負けていたが、あれだって枠が違えば分からなかった。

もちろんフタをされないくらいの実力があれば話は変わってくるのだが、そんなレベルの馬は数年に1頭の割合でしか出てこない

斜行されてポジションを悪くするかもしれない。ゲートの中で一瞬頭を下げたところで前扉が開くかもしれない。そもそもパドックでファンが大声を出したりして驚いてテンションが上がっちゃうかもしれない。

ダービーというみんな欲しいタイトルを獲るには、能力だけでなくこれらが全部上手くいかないと勝てないのも納得で、勝つ馬は結局『一番運がいい』ということになる。

ゲートの中に入るまでもが難しいレースだ。ギリギリまで仕上げないといけないし、仕上げ過ぎると状態が落ちてしまう。ホースマンが一番勝ちたいレースだからこそ仕上げが難しくなり、中間トラブルを起こす馬も珍しくはない。

今年も残念ながらゲートに到達できなかった馬が出てしまった。メイショウタバル。水曜に脚をぶつけ、木曜に蹄が腫れ、改善せずに金曜出走取消となってしまった。

陣営の無念を思うと心が痛くなる。蹄が熱を持った時はもう血の気が引いただろうな。それでも出馬投票したのは、奇跡が起きて翌朝痛みが取れていることを願ってのことだろう。

奇跡を願って翌朝馬房に向かって、痛みが取れていなかった姿を見たスタッフさんは、さぞ辛い心境だったはずだ。


誰が逃げるか分からない第91回日本ダービー

このメイショウタバルはペースの鍵を握っている一頭だったんだよね。今年のダービー登録馬18頭中、11頭が前走皐月賞。大多数を占めた皐月賞で逃げてペースを作っているわけだから、当然ペースの鍵となる

24年皐月賞
12.2-10.5-11.5-11.7-11.6-11.8-12.0-12.1-11.7-12.0
1:57.1 1位
前半600m 34.2 1位タイ
前半1000m 57.5 1位
後半600m 35.8 7位タイ

皐月賞で使ったこのタイム表を時間短縮のため流用させてもらうが、14年~23年の皐月賞と比較すると、今年の皐月賞は前半3Fは1位タイ、前半5Fは1位とんでもないハイペースだった

こんな流れを作ったメイショウタバルがいなくなった。他に前走逃げた馬はゼロ。近2走まで範囲を広げても逃げていた馬はシュガークンの大寒桜賞くらいで、その大寒桜賞も道悪2200と今回とはまるで違う条件。

一体誰が逃げて、どんなペースになるのか、頭を悩ませた人間は多いと思う。俺もそのうちの一人だ。たぶんスロー寄りになるのだろうという見立てではあったが、実際スローペースになった

24年日本ダービー
12.5-11.4-12.4-13.1-12.8-12.6-12.7-11.7-11.3-11.1-11.2-11.5
600m通過 36.3
1000m通過 62.2

ダービー 86年以降のスローペース
63.2
17年レイデオロ

62.8
95年タヤスツヨシ

62.5
86年ダイナガリバー
06年メイショウサムソン(稍重)

62.4
11年オルフェーヴル(不良)

62.2
89年ウィナーズサークル
24年ダノンデサイル

86年以降のダービーにおいて、前半1000m62.26番目タイに遅いスローペースだ。まー、戦前からこのペースは予想されていたから、このペースに対しては別に驚きはない。

過去のスローペースダービーをこうして並べてみると、懐かしいレースが並ぶな。オルフェーヴルの年はかなりの道悪だったから仕方ないとして、他のスローは86年だの89年だの、だいぶ昔の話。62.2は近年としてはだいぶ遅い部類に入る

17年日本ダービー
13.0-11.2-12.9-12.8-13.3-12.5-12.1-12.6-12.7-11.5-10.9-11.4
1000m通過 63.2
レース上がり1000m 59.1

今年のダービー
12.5-11.4-12.4-13.1-12.8-12.6-12.7-11.7-11.3-11.1-11.2-11.5
1000m通過 62.2
レース上がり1000m 56.8

86年以降のダービーでダントツにペースが遅かったのがこの2017年、レイデオロの勝ったダービーだ。

記憶のある人間も多いと思うが、レイデオロが途中からまくって勝ったレースさ。そういやこの年逃げたのは横山典弘さんが乗っていたマイスタイルだったね。

同じく今年もスローだった。ただラップを見て分かるように、大きく違う点がある。レース上がり1000mだ。残り1000mが17年ダービーは59.1だったのに対し、今年はなんと56.8。2.3秒も違う

17年ダービーは前日芝が稍重スタートだったように、少し雨の影響を受けていたのはある。今年のほうが馬場は少し速い。それにしても2.3秒は違い過ぎる

東京芝2400m レースラスト1000mタイム上位(86年以降)
56.8
24年ダービー 1着ダノンデサイル

57.0
21年ダービー 1着シャフリヤール

57.2
18年ジャパンC 1着アーモンドアイ

57.3
23年町田特別 1着キングズレイン

東京芝2400mに限れば、残り1000mから56.8は86年以降最速。86年以前にこれより速いタイムが出るとは到底思わず、実質過去最速だろう。

シャフリヤールの年は前半1000m通過が60.3。今年は62.2。ペースが2秒も違う。レースレベルとしては21年に劣ると思うが、今年のダービーは簡単に言えば『残り1000mをいかに速く走るか』というレースだった。これを頭に入れて、この先の回顧を読んでほしい。

ベテランたちが作ったスローペース

武豊さんが以前、自身と善臣さん、ノリさん、熊沢さん、小牧さんの5人のことを『5爺』と称したことがある。あのレジェンドのセンスはあまりに良過ぎて、もはや嫉妬することもない。天才的な表現だと笑ってしまった。

熊沢さんが引退して、今JRAの50代のジョッキーは8人いるんだけれど、今年のダービーにはその中から武さん(55歳)、ノリさん(56歳)、岩田康誠さん(50歳)の3人が騎乗していた

24年シルバーダービー
逃げ 桃 岩田康誠さん 50歳
外2番手 緑 武豊さん 55歳
内3番手 赤 横山典弘さん 56歳

シルバーダービーと呼んでも差し支えないかもしれないね。今年のダービーは50代の3人が揃って前に行って主導権を取りに行ったんだよ

まー、年齢というのはあくまで数字であって、この人たちは今が全盛期みたいなところがある。たぶんスローであることはファンも大方分かっていたと思うが、スローペースと読んで自分からボジションを取りに行く50代トリオはさすがというほかない

そもそもこの3人はいずれもダービージョッキーだもんな。勝ち方を知っているマスタークラスのジョッキーたちの先手争いは、ペースが遅い割に見応えがあった。

ベテランたちは当然過去何万レースと乗っているし、ペースを間違えない。ここまでベテランが固まってしまうと競り合うことはないし、若手がレースを潰すように早めに仕掛けて上がっていくことはない。つまりスローペースが確定する

なら若手が何もしていなかったかというと、これはそうではない。これまで後方から進めていてテンに行けないアーバンシックあたりに先行しろというのは難しい話だ。

ポジション争いの一つのカギになっていたのは緑シックスペンスの川田だと思う。今回が一気の距離延長で休み明け。以前乗っていた誰かさんが「マイラーじゃないか」と言っていたように、距離延長に少なからず不安があった

そんな馬が桃エコロヴァルツが外から先行してきた時に、エコロを内から止めてポジションを取りに行けるかというと、これはなかなか難しい。押して出していけば当然掛かりやすくなるわけだからね。

桃エコロヴァルツが外の2、3番手で止まるならまた話は変わってくるが、エコロヴァルツのヤスナリは一気にハナを狙いにいった。

ダノンデサイルもシュガークンも積極的にハナを狙いに行ったわけではないのを見てのヤスナリの判断で、これにより黄シュガークンの武さんが1列ポジションを下げる。

すると当然、緑シックスペンスと黄ダノンエアズロックのポジションも1列ずつ下がる

と、ここでポジションを下げれば、後から隊列が悪くなることは川田もよく分かっているから、おとなしくシュガークンの後ろに入るのではなく、1頭分外、橙ジャスティンミラノのほうに切り返した

ここで切り返されるとその後ろにいる紫シンエンペラーが困る。前に入られて、自分の行き場がなくなるからだ

実際このように紫シンエンペラーは行きたがってしまって、瑠星が必死に抑え込んでいるのが分かる。スタートで少し変な体勢で出てしまって、3、4番手を取るほどの加速がつかなかったのが痛かったね。

黄ダノンエアズロックの行き場もない。これは画像だと分からないからパトロールビデオを見てもらうしかないが、1コーナー手前で外のシックスペンスと接触してヒートアップ、行きたがっている

これが外枠、橙ジャスティンミラノのポジションだと違った。外から削られることはないし、行き場もある。真ん中の枠だからどうしても外の先行馬に押し込められてしまうんだよね

ダービー過去10年 6番~9番
6番(0.0.1.9)
7番(0.1.1.7)
8番(0.1.0.9)
9番(0.0.0.10)

ご覧のようにダービーの真ん中枠は散々な成績なんだけれど、上記の画像、パトロールビデオの1コーナーまでを見てもらえれば、このような成績になる理由がよく分かってもらえるのではないかな。

よく真ん中枠を引いた陣営が「内も外も見れるいい枠」とコメントすることがあるが、逆に「内からも外からも馬が来て挟まれるリスクが高い枠」であることは頭に入れておきたい。

ダービーだけでなく、オークスやジャパンCでも似たような傾向が見られる。東京芝2400mのビッグレースは1コーナーの入り方がポイントになってくるから、内も外もポジションを取りにくる。

すると真ん中の馬たちがこうして行き場がなくなるという寸法だ。画像だと説明しきれないから、こればかりはパトロールビデオを見てもらうしかない。

シュガークンがもう少し行っていれば話は違ったんだけどね。ただし前述した通り、『誰が逃げるか分からない』レース。それくらい逃げないといけない馬がおらず、シュガークン自体そんなにテンに速い馬ではないからこれはもう仕方ない。

最も運のある馬がダービーを勝つ』とは冒頭に書いたが、真ん中枠に入った時点でその馬たちは運がなかった。

橙ジャスティンミラノの前半部分も少し見ておこうと思う。いつも勝ち馬の話は最後に少しだけ触れてはい終わりという回顧ばかりだからな。たまには勝ち馬に触れておきたい。

この画像はスタート直前。なんで分かるかって、赤矢印が入っているところ、赤いランプが灯っているだろう。これが付くのはゲートの前扉が開く直前だ。

そんな前扉が開く直前、黒ゴンバデカーブースの体勢が何やら怪しい。松山の体勢が明らかにおかしく、ゴンバデがゲートの中でゴソゴソ、何かやっている。

その場に埋蔵金が埋まっているお知らせかもしれないからJRAは後でこの箇所の地中深くを調べてもらいたいが、ジャスティンミラノの隣のゴンバデがこうしてゴソゴソやっていたことで、マスクは思わず身構えた。

大体こうやってゲートの中でゴソゴソしている馬がいると、その馬だけでなく隣の枠に入った馬がびっくりして出遅れることがあるんだよね。一瞬ジャスティンミラノ出遅れが頭をよぎるシーンさ。

そこは百戦錬磨の戸崎、橙ジャスティンミラノをなんとかゲートから出していった。体勢はあまり良くない。正面から見てもジャスティンミラノのお尻が後ろのほうに下がっていて、重心がまだ後ろに残っている。

ゲートの中で興奮して少し出負けしました」と戸崎本人が語っているのがここ。お世辞にもいいスタートとは言えない状況だったんだよ。

ただ今回運が良かったのは、外枠の15番だったことだ。例えばこれを内枠の2番とかでやってみてくれ。周りを囲まれていたらもっとポジションが悪くなったシーンさ

外枠15番だったからこそ、橙ジャスティンミラノはその後行き脚がついて、周りを囲まれなかったことで外から好位に取りつくことができた。

ただ序盤少し出負けしてしまったことで、緑シュガークンの武さんを締めるまでには至っていない。あの行き脚でシュガークンを締めるのは難しかったし、これは戸崎が下手とかそういうレベルの話ではない。締めきれないのは仕方ないという話をしている。

締め切れず緑シュガークンの武さんが外の2番手を取り切ったことで、橙ジャスティンミラノは外の3番手になってしまった。

序盤少し引っかかることは戸崎も頭に入れていたろうし、掛かり具合に関しては想定内だったろうが、少し外目を回る、ロスのある形になってしまっている

中途半端なデムーロスペシャル

いつもなら1コーナー、2コーナー、向正面と1つ1つパトロールビデオを切り取りながら、小粋なジョークの一つでも挟みながら話を進めていくところだが、今回はダービー。

帰宅が遅くなってしまって、今ここまで6000字、もう夜21時半を回ってしまっている。本当ならダービーは魔性のレース、まるで高岡早紀とかどうのこうのと書いていたいものだが、時間がないから省略する。

今回のダービーはベテランたちが早めに前を取り切ってしまったから、1、2コーナーのパトロールがそこまで変わり映えしないというのも理由の一つだ。

向正面に話を移す。今年のダービーがスローペースだったことはもう書いているが、スローペースなのは乗っているジョッキーも分かる。

シンエンペラーの瑠星がレース後「スローペースになると思っていた」と言っていたように、ある種、ジョッキーの中では共通認識だったと思うね。

当たり前だが、スローペースは基本的に前有利。当然後ろにいる馬たちはチャンスが少なくなるから、自分からポジションを上げる、いわゆるマクりに出る馬もいる。

内枠で周りを囲まれていては上がっていけないから、マクれるとしたら外目を追走している馬。今回のケースなら白サンライズアース、赤コスモキュランダ、あとはあって青アーバンシック、桃ショウナンラプンタ、このあたりだろう。

ただ桃ショウナンラプンタが怪しかった、この画像を見ても分かるように、頭を上げてしまっている。

レース後騎乗した克駿が「スローペースでしたね。折り合いが難しいタイプ。向正面で動いてきた馬にこすられて、余計に反応してハミをかんでしまいました」と言っている通り、ハミを噛んでしまって掛かっていた。

こんなに掛かってはマクれない。向正面でこの状況だったショウナンラプンタはまず勝負圏外となる。

今回は15着だったが、能力自体はある馬。ホープフルSで曲がれなかったように現状は左回りのほうが断然いい馬で、今年の神戸新聞杯は中京開催なのがプラス。極端に内伸びでなければ巻き返しはあっていいんじゃないかな。

ショウナンラプンタほど掛かっていたわけではないが、青アーバンシックもこの画像からなんとなく分かるように、折り合いはギリギリのところ。この状況で自分から動いていくのは難しい。

なんでかって、まくるということは一旦アクセルを踏むことになる。マクりきったところがゴールなら話は変わってくるが、一旦止めて、また直線まで脚を溜めないといけない

折り合いがギリギリの馬だとこれができないんだよな。一度行かせたのにもう一度止まれと馬に命じるわけで、馬側からすると「何をしたいんだバカ野郎」という感覚。ワンペースな馬だとここからギアが変わらなくなる。先ほど掛かっていたショウナンも上記の理由でまくれない。

レース後武史が「アーバンシックには有利とはいえない馬場状態は承知の上でしたが、ゲートが速くない馬ですし、この馬の爆発力を信じてこの形を取りました」と言っているように、武史はスローでも自分で動かない選択肢をとった。

まー、この選択肢を取らないといけない時点で、この馬は本質的に2400mが長いんだろうな。「百日草特別のような弾け方ではなく、最後は脚色が同じになってしまいました」と言っている点が裏付けにもなる。

右回りのほうが乗りやすいようだし、短縮になるセントライト記念は悪くないんじゃないかな。より末脚が使えるアサマノイタズラというイメージ

今回は11着だったが、能力だけなら着順ほど悪い馬ではない。秋に期待したいね。トライアルで狙いたい馬。

話を戻すと、以上の理由から、まくる可能性があるのは赤コスモキュランダ、白サンライズアースのどちらかになる。

この2頭は過去にすでにマクって勝ったことがある。コスモキュランダは2走前の弥生賞で、9-7-2-2というポジション推移でマクり、勝ち切った。

サンライズアースも2走前のすみれSで、9-9-1-1というポジション推移を見せてマクっていた。どちらも鞍上はデムーロ。春先に何度も見た、いわゆるデムーロスペシャルというやつだ。

外にコスモキュランダとサンライズアースがいた時点で、どっちかがマクるんじゃないかと思いながら見ていたのだが、先に動いたのは『本家』が乗るコスモキュランダのほうだった。

このように少しずつポジションを上げていっ…たんだが、これが思ったよりマクりの勢いが弱い

まー、ゲートでこんなにしっかり出遅れてしまってはな。出遅れた分、馬群に取りつくのに脚を使う。そんな状況だったのに向正面で豪快にぶっ放してはどうしても止まってしまう

ある意味この出遅れもデムーロスペシャルと呼びたくなるがね。デムーロの出遅れ率の高さは今に始まったことではない。

展開が遅かったので少しずつポジションを上げていきました」とレース後デムーロは話しているが、五分のゲートであればもっと一気にポジションを上げていったかもしれないな。

デムーロのおかげで成立した池添スペシャル

結果、ジャスティンミラノをマクり切らず、ただ外目でポジションが上がっただけという、大きな意味を持たないマクりになってしまったんだ。

そんなデムーロの動きをずっと、真後ろから見ていたのが白サンライズアースの池添。

サンライズアースという馬は非常に気難しい。クロフネやブロードアピールを手掛けた敏腕のスタッフさんが担当されている馬だが、その腕利きに「これまでやってきた中で一番凶暴」と言わせるくらいの気性の難しさがある。

これまで新馬が逃げ切り、すみれSが大まくりと2勝がどちらも極端な競馬だったのも、気性に起因するものだろう。馬群の中で落ち着いて、冷静に脚を溜めるという選択肢がこの馬にはまだない。

実際池添もレース後「内枠だけに先行するつもりだったんですけど、二歩目のスピードの乗りがもう一つだったので、切り替えて後ろから行きました」と話している。最初から馬群の真ん中で脚を溜めるという発想がなかった。

これはスタートして割とすぐの頃。切り換えたことで一番後ろからになった白サンライズアースの池添の目の前には、赤コスモキュランダのデムーロ。

池添も当然弥生賞のレースは見ていただろう。デムーロがよくマクることはファンでも知っているわけで、スローペースになってデムーロが動いたところでその後ろからついていくというプランは割と序盤からあったはずだ

前が中途半端に動いてくれた後のマクりはやりやすい。赤コスモキュランダが内を絞るように上がっていってくれたおかげで、その後ろでじっとしていた白サンライズアースがグーンとマクっていった。

それこそコスモキュランダのような中途半端な動きではなく、橙ジャスティンミラノを飛び越えて、先頭を走る桃エコロヴァルツに並びかけるレベルまで上がっていったんだよ。

画像を見て分かるように、このサンライズアースがマクったポイントは3コーナーだ。3コーナーは東京競馬場の芝コースだと残り1000m地点にあたる

当然内はマクり切られるとポジションが悪くなるから、逃げたエコロヴァルツや3番手にいたジャスティンミラノはペースアップする必要がある。マクり切られないようにね。

24年日本ダービー
12.5-11.4-12.4-13.1-12.8-12.6-12.7-11.7-11.3-11.1-11.2-11.5

このマクる動き、マクりを止める動きが残り1000m地点近くから発生した影響でペースが上がり、残り1000mは全部1F11秒台、レース上がり1000m56.8という、過去最速の激流になってしまった

残り1000mから全て1F11.9以内だったのは3年前、シャフリヤールが勝った年のダービー以来。

21年日本ダービー
1着シャフリヤール 7-7-11-9
2着エフフォーリア 3-4-9-9
3着ステラヴェローチェ 13-14-13-12

ただこの時は前半1000mが60.3。今回より1.9秒速い。序盤も最低限流れて、後半も流れたことで先行馬はみんな崩れた。今回に関しては前半1000m62.2とスロー。先行馬たちも脚が溜まっている。

24年日本ダービー
1着ダノンデサイル 4-3-6-4
2着ジャスティンミラノ 2-3-2-4
3着シンエンペラー 8-7-9-9

その分、同じ残り1000mから11秒台連発の、いわゆる5ハロン持続戦になっても、21年ダービーより今年のほうが前に行った馬が粘れている。

加えて今年は予想などにも書いたように、南風がそれなりに強く吹いていた。東京競馬場で南風が吹くと、青矢印のような方向に吹く。つまり3~4コーナーが追い風になる

その分、3~4コーナーにあたる残り1000m→600mが11.7-11.3と、より速くなったと考えられる。

もちろんこのラップを自力で作ったサンライズアースは能力はあるのだが、風や、序盤ガッツリ溜められたこと、コスモキュランダの動きのアシストなども加わったことで、若干の展開利はあった

あの気性だから今後も当分は大雑把な競馬になるはず。池添が「秋以降、成長した姿が楽しみです」と言っているように、『成長すれば』楽しみが出てくる馬。マクりやすい札幌や小倉なんかはありなのかもしれないね。成長して小倉記念に出てきてくれ。

余談だが、スローペースのダービーのマクりといえば17年レイデオロの年が思い浮かぶが、この時のレイデオロ・ルメールのマクりは向正面で完結してしまっている

17年日本ダービー
13.0-11.2-12.9-12.8-13.3-12.5-12.1-12.6-12.7-11.5-10.9-11.4
1000m通過 63.2
レース上がり1000m 59.1

そのため残り1000m→600mが12.6-12.7とペースアップせず、直線だけ11秒台が続くヨーイドン勝負になった。

マクるタイミングが今年と違う分、状況が異なるし、同じスロー、マクる馬がいる共通点はあっても、レースの中身は異なる

府中に生まれたジャスティンミラノ包囲網

残り1000mが56.8となると、3コーナーで後ろにいる馬はだいぶ苦しい。このラップを差し切るには残り1000mを55秒台で走破する必要が出てくる

東京の2400mで、残り1000mを55秒台で走るのはだいぶ難しい。この時点で白レガレイラは勝負圏外に近い。

レガレイラに騎乗したルメールはレース後、「いつも通りスタートが遅かったので後ろからになりました。こういうペースで後ろからでは厳しいです」と話している。そうだな。それしか言いようがない。

だったら道中動けばいいじゃないかと思う方もいるかもしれないが、向正面で白レガレイラはこのポジション。こんなところからマクれない。

せめて外目の枠ならコスモキュランダについていくとか、他にも方法はあったと思う。1枠2番を引いた時点で行動が制限されてしまうんだよな。

マスクは予想に『これまでのレースでも基本外を使う馬。内枠でスローになって、外からブロックされる可能性がある』と書いた。まさにこの展開。

ダービーは一時期エイシンフラッシュなど1枠1番が何度も勝ったように、コース変更週で1枠有利のイメージが強いレースだ。

その分2番を引いたレガレイラが好枠と見られる向きもあったが、完全に枠が裏目に出てしまっている。個体で見ることが重要なのが改めて分かるシーンだね。

白サンライズアースのマクりに困ったのは橙ジャスティンミラノだ。いや、これは違うな、たぶん戸崎はマクり自体は想定していたはず

誰が見ても今年はスローペース。誰かがマクってくること自体はマスクですら考える。白サンライズアースがマクるように上がってくれば、外に切り返すのがセオリーだ

しかし赤コスモキュランダのデムーロとしては、ここで簡単にジャスティンを外に出すわけにはいかない。出したら自分の着順が下がるのだから当たり前だ。

まー、ごっつり締めたね。白サンライズアースの後ろに赤コスモキュランダがついていって、外からめちゃくちゃ締めている

こうなると橙ジャスティンミラノとしては白サンライズと緑シュガークンの間のスペースに行くしかないのだが、サンライズに締め切られる前に動こうにもここはまだ4コーナー前、残り800地点。動くには少し早過ぎるポイントで、動けない。

橙ジャスティンミラノが動けないとなると、こうなる。赤コスモキュランダが外から締め、右前にはまくってきて内を閉じている白サンライズアース。前には緑シュガークン。

まさに包囲網だ。どのレースだって1番人気は簡単に外に出してもらえない。よく、1日にいくつも勝っている騎手に『人気馬に乗っているから当然』なんていうことを言っちゃう人間がいるが、1番人気に乗るとこうして囲まれる。

囲まれながらも勝つというのは実に大変な話で、それでも1番人気をポンポン勝たせられるジョッキーは馬の力だけで勝っていないことが、このシーンから垣間見えるな。

ただ、橙ジャスティンミラノは一つツイていたことがある。前にいたのが緑シュガークン、そう、武豊の後ろだったんだよ。

もう口からタコが出るレベルで書いてきたが、『強い馬の後ろ』『武豊の後ろ』はベストポジション。やや押し込められた先が武豊の後ろだったのは戸崎にとって幸運だった。

なんていったって、後ろをついていけばいいわけだから。緑シュガークンの武さんがブレずに走ってくれるおかげで、その後ろを走っていた橙ジャスティンミラノの進路が楽にできる。

4コーナーで包囲網ができた割に直線ある程度早く進路が生まれたのは、武さんの後ろだった影響はたぶんにあった

戸崎がレース後、「マクられても冷静に走ってくれました」と話しているが、これは前が武豊さんだったという安心感も大きかったと思う。

実際ジョッキーカメラを見ても大きな不利を受けていない。正直、あとは伸びるだけだったし、「直線も反応して伸びているんですが…内に1頭いましたね」というコメントからも、手応えからして戸崎の意識は自分より後ろの馬にあったのは間違いない。内にもう1頭いたのは戸崎からすると誤算なんだよな。

マスター・横山典弘の神業

そりゃ戸崎もびっくりする。内にそんなスペースはないと思っていただろうし、ダノンデサイルがあんな狭いところから抜けてくるなんていう発想自体なかったと思う

直線入口。赤ダノンデサイルの前には、逃げていた桃エコロヴァルツがいる。スペース的には内、赤丸をつけた部分に入る可能性がある局面だが、このスペースはちょっと狭すぎる

1頭分もないスペースを突いてはいけないことは暗黙の了解。せめて1頭半はないといけないし、仮にこのサイズのスペースに入ったとして、ダノンデサイルが抜け切っても、『狭いところを割った』としてノリさんが制裁を食らう。

内ラチ沿いに行けないとなると、赤ダノンデサイルが狙うなら桃エコロヴァルツと緑シュガークンの間のスペースということになる。

普通はこっちに行く。しかしノリさんの読みは俺のような、普通の発想なんかではない。マスタークラスの達人はもう一手先を読む

よく見ると、桃エコロヴァルツに乗っているヤスナリの右腕が若干上に上がっているのがお分かりだろうか。そして本当に目をこらして見ると、ムチは左手に持っている

つまりヤスナリは右手綱を少し引いて、左からムチを叩こうとしている。エコロヴァルツがほんの少しだけ内側にササっているのだ。

別にこの程度は大したササりではない。よくある話で、実際ヤスナリの矯正だってそこまでフォームが崩れてのものではない。

しかしこの微妙な腕の上げ方やムチの持ち手を、ノリさんが真後ろでじっくり見てるんだよ。安易にシュガークンとの間のスペースに入らず、エコロヴァルツが手綱、ムチの動きで少し外に動くのを、その後ろで脚を溜めながら待っているのだ。

凄いよなあ。桃エコロヴァルツのヤスナリの左ムチが入ったところで、流れるようにその内に入っていくんだもの。

確かにこの形なら内は開く。理屈では分かっているが、ダービーの直線で前の進路が怪しい時に、こんなに冷静に捌けるのは信じがたい

自分がジョッキーになった気で考えてみてくれ。進路が開きそうで開かないんだぞ。当然焦るよね。焦りはあるのか知らんが、この狭いスペースの前で冷静に前の挙動を見ているのは、もはや恐怖

しかもよく見ると、内ラチ沿いのこのスペースに入った時に赤丸で囲んだような小さなスペースが開いている。

つまり、『1頭半分以上のスペースが空いている』ことになる。これだと狭いところを割ったという制裁を受けない。神業。

もう10年前になるか、ノリさんが騎乗したジャスタウェイがトウケイヘイロー武さんの内の、スペースがあるのかないのか分からないところから抜けてきたことがあるが、技術がないとこれはできない

そしてこれが成立するには、斜め前にいるジョッキーに技術がないといけない。だって技術がないジョッキーが内に寄ってきてしまったら、自分が挟まれて落馬するんだもん。

中山記念の時のトウケイヘイローは武さん。今回はエコロヴァルツのヤスナリ。前にいるジョッキーの技術力が高いからこそ、ノリさんは相手を信頼してこの手を使っている。痺れるねえ…。

こんな狭いスペースを突かれて抜けられたら、ジャスティンミラノ戸崎からしたらもうお手上げ。

もちろん内を捌いたダノンデサイルも偉いが、それを可能にした横山典弘、56歳円熟の技術の前にジャスティンミラノは2着に終わったと言ってもこれは過言ではないと思うよ。

ジャスティンミラノは強い

たぶんジャスティンミラノが今回負けて、意外と大したことがないのでは…と思った人間もいると思う。マスクはどちらかというとその逆だ。

皐月賞 勝ち時計ベスト5
1:57.1 ジャスティンミラノ
1:57.8 アルアイン
1:57.9 ディーマジェスティ
1:58.0 ロゴタイプ
1:58.1 サートゥルナーリア

その後の日本ダービーの成績
1:57.8 アルアイン→5着
1:57.9 ディーマジェスティ→3着
1:58.0 ロゴタイプ→5着
1:58.1 サートゥルナーリア→4着

確かこれは皐月賞の回顧にも、今回のダービー予想にも書いたと思うのだが、タイムが速い皐月賞の勝ち馬は基本ダービーで着順を下げる

高速馬場の皐月賞はスピード勝負になるから、その分マイラーのほうが走りやすい。 ロゴタイプなんかは朝日杯FSの勝ち馬で、古馬になってからも安田記念を勝っている。アルアインは古馬になってからマイルCS3着がある馬で、2着ペルシアンナイトはマイルCS勝ち馬。

実際今年も3着ジャンタルマンタルがNHKマイルCを勝っているように、皐月賞はよりスピードに寄ったレースになった。そんなレースを1:57.1のレコードで勝ちながら、残り1000mから全部11秒台、序盤がスローでもタフだったダービーで僅差の2着になるんだから、ただただ凄いの一言だ

勝ち馬がエピファネイア産駒で、3着馬が母父ガリレオ。普通残り5Fからの持続戦になるとこのようなスタミナレースになる。そんな流れをこなしてしまうあたり、本当に総合力が高い馬だよ。内に入れるシーンもほとんどなかったわけだしね。

この馬は根はマイラーなんだと思う。マイラーのようなスピードを持ちながら、そのスピードを2000m持続できてしまう。そう考えれば2400mは気持ち長い、と言ってもいいのかもしれないね。

少なくとも現状3000でどうこう考える馬ではないと思うが、2000以下なら今後も楽しみ。天皇賞秋で見たい一頭だし、母が欧州の短距離GI馬ということを考えれば来年、2000以下の欧州GIなんかに出てみてほしい。全然評価は下がっていないし、負けるならこういう形と分かったのが収穫

秋以降見直したい馬

タイトルをもっとひねりたいところだが、今23時35分。これを今日中に上げるにはいちいちタイトルに凝っている暇がないのだ。

前述した母父ガリレオのシンエンペラーは、残り1000mから全部11秒台のタフな流れが向いてくれて、最後に届いて3着。瑠星が言うように、最後まで止まっていない。この馬のいいところが出た。

たぶんこれがレイデオロの年のような、残り3Fだけの瞬発力勝負になるとキレ負けていたと思う。他馬が最後苦しくなるようなレースが現状合う。血統通りではないかな。

秋は欧州遠征が予定されている。ソットサスの弟という時点でいずれ…というプランだったようだが、この血統でどこまでやれるのか楽しみだね。

血統が欧州向きでも、日本で使っているうちに走り方が日本向きになるというのはよくある話。そういう意味でも経験がまだ浅い今行くことに意味がありそうな気がする。

愛チャンピオンSから凱旋門賞というのもまた画期的。従来は同舞台のニエル賞からというのが3歳の遠征の定番だったが、わざわざ他国の2000mを使うのは、ニエル賞がスローの2400mになるからだろう。

本番は多頭数。テンのスピードをつけるならスロー2400mのニエル賞より、2000mのほうがいい。こういう柔軟な発想がまた矢作師らしい。

サンライズアースはもう触れたから省略。5着レガレイラは先ほど少し触れたように、ポジションの問題。そもそもあのポジションしか取れない時点で、今年のダービーとは縁がなかった。

能力はあると思うが、ここ2走自分の形になっていないように、現状は競馬の形に制約がある。もう少し競馬が上手くなってほしいね。

エリザベス女王杯は悪くないと思うのだが、内が残る年が多々あるレース。今のように内を捌けない状況だとまだ早い気もするね。紫苑Sは条件が悪くないものの、トライアルを使うとテンションが怖い。だから皐月賞も直行だった。

バッチリ噛み合うレースとなると今後なかなか見当たらない。全然いい馬なんだけどね。もう少し様子を見たい。

6着コスモキュランダは東京2400mの力勝負は向いていなさそう。予想もそんな感じだったが、結果もそんな感じ。

菊花賞に行きそうな雰囲気があるが、マスクが使ってほしいのは福島記念。小回りの1800~2000で立ち回りの上手さを生かしてほしいんだけどな。

力のない馬は弥生賞でマクって2分を切れないし、皐月賞を1:57.1で乗り切れない。距離適性が少し長めのアルアインというイメージじゃないかな。

まだまだこれからなのは7着シュガークン。見た目に緩いし、武さんも「よく頑張ってくれましたが、現状ではまだといった感じですね。でも秋が楽しみです」と話している通り。今のシュガークンではこれが精いっぱい。

兄と比べるのはかわいそうではあるのだが、少なくとも距離は持ちそうだし、秋にはさすがに少しは緩さも取れてきているはず。何よりこの馬は道悪がめちゃくちゃ上手い。道悪の長丁場なんかで楽しめそうだね。成長待ち。

9着シックスペンスは今回消していた。スプリングSは風の影響もある数字だった分もある。先週木曜に時計を出した後、週末の追い切りが飛んだ馬。まだ脚もしっかりしていないし、現時点ではこのくらいだと思う。

今後はまず成長次第。もう少し体質強化してこないと、この先難しいかなという思いは強いかな。逆に言えばそんな状況で重賞を勝てるわけで、能力自体は高いと思うけど。いずれマイラーになると思っている。ダービー卿CTとかかな。

14着ダノンエアズロックも成長待ち。今日は中2週でテンションが最後まで落ち着かなかった。以前も返し馬前に暴れていたように、幼いところがある。

馬体だけ見たらGI馬じゃないかと思うくらいの馬。7割ちょっとのデキでプリンシパルSを勝ってしまうように、能力は間違いない。まだまだこれから。始まったばかり。いずれは1600~2000。父の適性に似てくると思う。


ダノンデサイルは正直、ペースに恵まれた面は否めない。前半スローの流れをインの3番手でじっくり溜めて、後半11秒台が並ぶ中、最内で距離ロスなく乗ってきた

確かに除外明けでここまでやれている以上、一定の評価は必要だと思う。能力は高い。ただ数字面を考えるとジャスティンミラノのほうが上ではないかな。正直なところね。

もちろんまだ完成していないし、秋の成長が見込めそうな馬ではある。これだけ上手く立ち回れることが今回分かったわけで、秋の京都の長丁場も内枠を引ければというところ。今日の感じだと、3000mでもある程度持ちそう。

なんといっても今回はジョッキーのファインプレー。道中、直線の動きについてはもう触れたから省略するとして、新馬から京成杯まで4戦全てでノリさんが手綱を取り、競馬を教え込んだ甲斐があったというもの。

ノリさんはレースを点で捉えていない。それは他のジョッキーも同じなんだけれど、ノリさんは徹底しているから、地道に馬を作ってくる。ちょっとでもおかしいと思ったら止める。

それが前走の皐月賞だった。右前脚のハ行で、レース直前に競走除外になってしまった。当然馬券は返還されるし、オーナーサイドには賞金も入らない。しかも舞台はクラシック。普通は多少変でも走らせる局面だ

ノリさんはここで無理しない。27年前にドバイでホクトベガを失う大きな悲劇に遭い、完全に馬ファースト。

以前、とあるレースでノリさんがスタートしてからまったく何もせず、レースにも参加しないで最後方を追走し、そのまま最下位でゴールしたことがある。

当然一部の層から叩かれそうな案件だが、その馬は靱帯をやってしまっていたことが後に判明して、結果そのレースが最後のレースになってしまった。ただ命は助かっている。ノリさんが感じ取っていなかったら、もっと大きなケガになっていたかもしれない。

ファンの馬券により支えられている世界だが、走るのは馬。馬の命と安全を前提に考え尽くすスタイルは56歳になってもまったく変わっていない。

今回、レース後のインタビューで「皐月賞の自分の決断は間違っていなかった。馬は大事にすれば応えてくれる。凄く馬に感謝です」と話していた。ノリさんらしいよね。

あの皐月賞は走れていたかもしれない。しかし出走していたら、ダービー馬ダノンデサイルは誕生していなかった可能性が高い。やめるにも勇気がいる。それでも馬ファーストで考えられるノリさんの姿勢を、マスクは長らくリスペクトしている。

正直今回、7枠や8枠を引いていたらたぶん勝っていない。競馬に神様がいるかは定かではないが、3枠5番という枠順は競馬の神様からのプレゼントだったんじゃないかとつい、思ってしまうんだよね。

ダービーは一番運のある馬が勝つ』という格言はその通りだと思うのだが、『ダービーは一番運を引き寄せられる馬が勝つ』という格言が正しいのかもしれないな。

なんて、ノリさんにこんなことを言うと、「お前もまだまだ勉強が足りねえな」って言われて笑われるんだろうな。


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