機嫌とりの話
ミニマリストや断捨離ブームの昨今、所有欲が強い私はその言葉からは縁遠い。
書籍であふれた本棚、ときめきがギュッと凝縮された多彩なクローゼット、かたち違いの香水瓶、無駄に多いクッション・・・
アンティークを集めていた頃は全てが一点物の世界なので物欲も止まらず大変だった。
好きなものに囲まれていたいというよりは、自分の機嫌をとっていたい。
私はとても単純なので、気に入りのものを身に着けているだけでいつもより周囲に優しくなれる気さえする。
少なくとも、ぶすっとした態度でコンビニ店員にタメ語で文句を言ったりする気にはなれない。(さすがにそれは、どんな時でもしないけど…)
ちゃんと自分の機嫌をとると、心に余裕が生まれてくる。
心の余裕は大切だ。
心に余裕がないのがダダ洩れの人は、いくらお金を持っていてもあんまり幸せそうには見えない。
一人暮らしを始めてからは居住空間が狭くなり、限られた量しか持ち込めなくなったので自然とすっきりめの暮らしになった。
空間と調和の取れないデコラティブなものよりシンプルで使い勝手の良いものを選ぶ。
利便性重視の暮らしの良さにも気が付いた。
あれもこれもとはいかないからこそ再確認できたり、深まることや発見があったりもする。
そんな暮らしの中で何を大切にし、どこにこだわりを持ち、手放すか。
こうでなきゃいけないなんてないし、気が変わることだって何も悪くない。
前言撤回は恥じゃないし、周りと合わせられないのを気に病む必要もない。
照準を自分にあわせて、内なる声を無視しない。
その結果、私はミニマリストからは縁遠いということを再確認し、一年ちょっとしか住んでいないのにもう広い物件に引っ越したくなっている。
うまくいくときばかりじゃないけど、自分の機嫌をとることは決して忘れないようにしたい。
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