美容を通してお客さまの日常を豊かにしたい!スタイリスト 林真秀(まほ)さん
東京・原宿の美容室 Hair Salon H(エイチ)の新規指名率No.1 人気スタイリストとして活躍されている林真秀(まほ)さんにお話を伺いました。
プロフィール
出身地 新潟県柏崎市
活動地域 東京都渋谷区
経歴 大学で福祉を学び、卒業後、すぐに美容学校へ入学。その後、東京・原宿の美容室 Hair Salon H(エイチ) のスタイリストとして活躍し、現在に至る。ヘアはもちろん、メイクやファッションについてもトータルでトレンド感のある提案をしつつも、お客さまの日常生活に密着した喜びに繋がるサービスを常に心がけている。
座右の銘 一期一会
記者 よろしくお願いします。
林真秀さん(以下、林) はい。よろしくお願いします。
「福祉系の大学から美容学校へ」
記者 美容師になりたいと思われたのはいつ頃なんですか?
林 中学生の頃ですね。もともと美容やファッションが好きで、よく学校で休み時間のたびに友達の髪をアレンジしてあげていたんですが、そのときの先生に「器用だね」「美容師とかいいんじゃない」って言われたのがきっかけで、そこから考えはじめました。
記者 その後はどうされたんですか?
林 高校を卒業したら美容師の専門学校に行きたいと思っていたのですが、うちは親がすごく厳しくて反対されたんです。今の時代は女の子でも4年制の大学に行かなきゃ駄目だと言われて、進学校だったということもあり、そのまま流れに乗って美容とはぜんぜん関係のない大学に行き、そこでは福祉を学びました。なので、一応、介護福祉士の資格も持っているんです。
記者 そこからどうやって美容の世界に入ったんですか?
林 大学を卒業後、どうしても就職をする気にはなれず、みんなが就活をしている中、私はひとり美容師の専門学校を探していました。介護はすごくいい仕事だと思うんですが、本当にやりたいことではなく、自分にはもっとやりたいことがある。やっぱり美容師になりたいと思いました。
当然、親には反対されましたけど、でもこのまま就職をしたとしても、はたしてそこに充実感はあるのかって思ったんです。それまでの私は、親や周りの環境に合わせて敷かれたレールに乗っかってずっと生きてきました。高校を選ぶときも、大学に進学するときも、ぜんぶ親の望み通りにやってきました。でもいい加減、自分の人生なんだから自分で決めたいって思ったんです。それに美容と介護どちらの仕事を選んだとしても、どちらも厳しいのはわかっていたので、だからこそ自分で決めなければ、辛いときに親のせいにしたり、きっと言い訳をしてしまうと思ったんです。
自分で決めることで、逃げ道を残さず、言い訳ができない道を選びたかったので、そのときに生まれてはじめて自分の気持ちを親に伝えて、なんとか説得することができました。
「気づくことが一番大事」
記者 専門学校を経て、美容師になってからはいかがでした?
林 はじめはアシスタントとして4年間、下積みの生活を過ごしましたが、そのときが一番大変でしたね。アシスタントは学ばせてもらっている立場なので当たり前なのですが、お店にいる時間が長く、自分の時間をなかなか持つことができず、営業時間外でも街中に出て声をかけたり、お給料の面でもはじめは安定しないので大変でした。
記者 華やかなイメージがありますが、厳しい世界なんですね?
林 一般的に美容師の離職率は高いです。多くの人は高校を卒業して専門学校を経て入ってくる人が多いんですが、高校から専門学校に行くときって、やはり「憧れ」が大きいと思うんです。だから理想と現実のギャップが生まれやすいんです。本当に好きじゃないとできない仕事だと思うし、続けるためには覚悟が必要だと思います。
記者 アシスタント時代に一番大事なことは何ですか?
林 やっぱり接客面ですね。技術面よりも接客が大事です。お客さまにとって居心地のよい空間をつくることが一番なので、とにかく表情とか、色々なことに気づくのが大事だと思います。たまにお客さまに気を遣うのではなくて、先輩が怖くて、先輩に気を遣ってる子がいるんですけど、それって違いますよね。もっとお客さまのことで気づかなければならないことを増やすべきだと思うんです。
記者 林さんがいらっしゃるお店の方針や理念は?
林 うちのお店はアットホームなサロンを目指しています。アシスタント時代は本当に大変だったけど、でも辞めたいと思ったことは一回もないんです。うちのお店の社長や周りの先輩方は本当に尊敬できる人ばかりだったので、お店の環境には恵まれましたね。お客さまにとっても「一生付き合えるサロン」を理念としていて、担当のスタイリストだけではなく、お店全体のお客さまだという意識でいつも接しています。
「スタイリストとしての一番の喜び」
記者 下積みを乗り越えた先にはどのような喜びがあるんですか?
林 まずお客さまが自分を指名して下さるというだけですごく嬉しいですね。世の中にはたくさん美容室があり、すごくたくさんの美容師がいる中で、自分を選んでくれるというのが一番の喜びです。
あと自分がスタイリングをして、お客さまに喜んでもらえたときはもちろん、さらにそのお客さまのご家族とか、周りの人に褒めてもらえたなどというお話を聞くとものすごく嬉しいですね。そんな風にお客さまに喜んでもらえたときは、本当にやっててよかったと思います。
記者 スタイリストとして気にかけている点はありますか?
林 お客さまのより日常に近い、生活に密着した喜びに繋がっているかどうかはいつも気にしています。例えば、美容室にきたときはよくても、家に帰ってから自分でアレンジができないとか、よくあると思うんです。だからいかによい状態をキープしておけるのか、どうしたら家で再現性を出せるのかなど、そういったことをいつも考えています。お客さまは毎日その髪型で街を歩き、色んな人に会うわけですから、それはすごく大事なことだと思っています。
「美容と福祉をつなげたい」
記者 これからの夢やビジョンを聴かせてください。
林 よく自分のお店を出したいとか、自分で経営したいという人は多いんですけど、私はあんまりその気持ちはないんです。今のように会社に属する形でもいいんですけど、ただ、ずっと美容には関わっていたいですし、ずっと現場でやっていたい。だからゆくゆくは美容と福祉を繋げて何かやってみたいなとは思っています。大学のときの友達は介護職をしている子が多くて、今はもう施設長とかになっている人もいるので、例えば、出張美容みたいにお年寄りの髪を切りに行ったりとか、一緒に何かできればいいなとは思っています。理想論かもしれないけど、介護も一人ひとり、その人にあった援助をすることで、もっと日常の生活が豊かになっていくと思うんです。
そのエピソードとして、大学のときにケアプランを作成する実習があって、認知症のお婆ちゃんに接したことがあるんです。そのお婆ちゃんは元教員でハキハキとした性格だったので暴言もあったし、お花を渡したら食べようとするくらいの認知度でした。でもそんなお婆ちゃんにある日、口紅を渡したらその口紅を塗ったんですよね。それがすごい印象的だったんです。他にも「孫にマニキュアを塗ってもらったの」と言って、ずっとその爪を見ているお婆ちゃんがいたり、そのように一人ひとりにあったプランを立てて日常を過ごさせてあげたら、すごく生活が豊かになるんじゃないかと思ったんです。そういう風に美容を通してお手伝いできたらと思います。
記者 美容を通して、お年寄りの生活を豊かにするという夢が実現されたとして、その先の社会には何が広がっていると思いますか?
林 もっと世の中が充実して、お年寄りにもっと欲が出るんじゃないですかね。ああしたい、こうしたいとか、世の中が元気になるような気がします。私はそこに繋がるような仕事をこれからもしていきたいです。
記者 美容を通して、世の中を元気にさせていく。その夢が実現できるといいですね。本日はありがとうございました。
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◇Hair Salon H(エイチ)
◇Twitter
【編集後記】
今回、インタビューの記者を担当した、見並、坂中、竹内、西尾(カメラ) とご友人の山岸さんです。
インタビュー中、ずっと笑顔でお話をされていて、美容師という職業に対する愛情がすごく伝わってきました。お客さまが今何を欲しているのか、そのニーズを感じとるズバ抜けたセンスは、まさに美しい時代を創っていく人ならではの繊細な和心そのものだと思いました。林さん、貴重なお話をありがとうございました。
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