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愛するということ - 感想・引用

著者プロフィール: エーリッヒ・フロム
1900年、ドイツ・フランクフルトに生まれる。ハイデルベルク、フランクフルト、ミュンヘンなどの大学で学んだのち、ベルリンで精神分析学を学ぶ。フランクフルト社会研究所を経て、1933年アメリカに渡り、のちに帰化。イェール、ミシガン州立、ニューヨークなどの大学で教鞭をとり、さらにメキシコに移住。1980年没。フロイト理論にマルクスやヴェーバーを接合して精神分析に社会的視点をもたらし、いわゆる「新フロイト派」の代表的存在とされた。また、真に人間的な生活とは何か、それを可能にする社会的条件とは何かを終生にわたって追求したヒューマニストとしても有名である。しだいに、禅や東洋宗教へも関心を深めた。著書多数

愛するということ Kindle版

今回の記事は、「愛」というテーマに正面から挑んだフロムによる古典です。

この記事では、本の要約をするのではなく、輪読会を行うにあたり、私が読んだ感想や本からの学び、一部引用を紹介するものです。輪読会用のメモなので、一般的な記事のようにきちんと整理されているわけではないのでご了承ください。

感想

  • 愛は信念と勇気を必要とする技術である。

  • 結局は自分次第。

  • 愛とは実存に対する人間の答え。

    • この考え方が一番しっくりきたまとめだった。

    • 自分の人生をどうしていくかというのは自分次第。生き方の本なのだなと。

  • キリスト教、聖書に基づいた考え方が強い。

    • ひいては西洋社会的考え方。

  • 神への愛のところの東洋思想と西洋思想の違いが面白かった。

    • 東洋思想は一体化すること。行為をすること。

      • 行為が大事。

  • 異性との恋愛における失恋についても書いて欲しかった

  • Kazukiさんと話していた、人間の根源的な欲求にも通じる面白い話だった。

  • 愛とは人類愛、全体に対する愛であるが、異性との恋愛は1対1の愛である。

    • この本によると、誰を愛するかは問題ではない。

      • 私たち全員が絶対者の一部であるから。

    • 一方で、個人的な要素が重要になってくる。

      • ここの部分が難しいと思う。

根源的欲求

  • “自分以外の人間と融合したいというこの欲望こそが、人間のもっとも強い欲望である”

    • これは孤立から来る不安の対照である。

    • これを満たすために、様々な事がある。

      • 刺激

      • 習慣

      • 同一化

      • 創造

      • 与えること

    • これらのパターンは全てあるが、全て本質的な孤立解決方法ではない。

    • 孤立から解消されるためには成熟した愛を持つ必要があり、それは成熟した技術である。

    • そのためにはナルシズムではなく、自分の生き方を愛し、人類を愛さなければならない。

引用

誰でも自己愛は持っている。しかし、心の底から自分のことを愛するにはどうしたらいいか。それは、自分の生き方そのものを好きにならなくてはいけない。自分自身ですら理想の生き方ができていない人に、他人を愛し、他人の生き方と融合しようとする資格などない。

恋愛の商品化

現代社会は、この没個性的な平等こそ理念であると説くが、それは粒のそろった原子のような人間が必要だからである。そのほうが、数多く集めても摩擦なしに円滑に働かせることができるからだ。

全員が同じ命令に従っているのもかかわらず、誰もが、自分は自分の欲求に従っているのだと思いこんでいる。現代の大量生産が商品の標準化を必要としているように、現代社会の仕組みは人間の標準化を必要としている。そしてその標準化が「平等」と呼ばれているのだ。

異性に対する恋愛

二人の人間が自分たちの存在の中心と中心で意志を通じあうとき、すなわちそれぞれが自分の存在の中心において自分自身を経験するとき、はじめて愛が生まれる。この「中心における経験」のなかにしか、人間の現実はない。人間の生はそこにしかなく、したがって愛の基盤もそこにしかない。そうした経験にもとづく愛は、たえまない挑戦である。それは安らぎの場ではなく、活動であり、成長であり、共同作業である。調和があるのか対立があるのか、喜びがあるか悲しみがあるかなどといったことは、根本的な事実に比べたら取るに足らない問題だ。根本的な事実とはすなわち、二人の人間がそれぞれのそん時あの本質において自分自身を経験し、自分自身から逃避するのではなく、自分自身と一体化することによって、相手と一体化するということである。愛があることを証明するものはただ一つ、すなわち二人の結びつきの深さ、それぞれの生命力と強さである。これが実ったところにのみ、愛が生まれる。

人間に対する愛

聖書に表現されている「汝のごとく汝の隣人を愛せ」という考え方の裏にあるのは、自分自身の個性を尊重し、自分自身を愛し、理解することは、他人を尊重し、愛し、理解することとは切り離せないという考えである。

自分自身を愛することと他人を愛することとは、不可分の関係にあるのだ。

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