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介護のお金の話 -施設(老人ホーム)の費用のお話-

お久しぶりです。
先に特養のお話を書こうと思ったのですが、ニュース記事で老人ホーム費用が払えず大変なことに、という記事を見かけたので今回はお金の話を書いてみようかと。
以前、有料老人ホームに関する話で少し触れたのですが、本当に触りだけでしたのでもう少し詳しくという感じです。

ご本人の年金や貯金では払えなくなって、家族が月に数十万を負担することになってしまい、支払えず在宅介護へ移るしかなかったという記事を見ました。

老人ホームは紹介所などを利用する場合、月にこのくらいなら払えますと伝えることでその費用内でほぼ支払えそうな施設をご紹介いただけるはずなのですが、どうしてそうなってしまったんでしょうか。

素直に金額を伝えなかったのか、自力で施設を探したからなのか、急ぎで探した施設にとりあえず入居し、そのままにしてしまったためお金がかかりすぎてしまったのか……その他の理由なのかはわかりません。

ですが、それは大いにあり得る話でもあるのです。

お金を支払えなくなると当たり前のことではありますが、老人ホームからは退去となりますので、お金のことはとても大事なのです。

老人ホーム入居とその後の生活でかかる費用

老人ホームにお支払いする費用は複数に分かれます。
ある程度分けると

  • 入居時の費用(一時金)

  • 月額費用

  • 介護保険サービス料

  • 医療費

  • その他生活に必要な消耗品費など

おおよそこのような感じ。

入居時の費用(一時金)

■かかる費用
0~数千万円

一般的な不動産賃貸で言えば敷金や礼金のようなものです。
途中で退去することになった場合は戻ってくることもありますが、全額が戻ってくることはほぼないのではないかと。

返金がある場合は日割り計算と退去時のハウスクリーニングなどでかかったお金が引かれた額が戻ってくることが多いと思います。

この辺りは施設によって違いもあるかと思いますので要確認事項です。
この費用をたくさんお支払いすることで月額費用を抑えられる施設も多いのですが、
数十万~数千万のまとまったお金が必要になり、お金に余裕が無いとなかなか厳しい金額のところも多いです。

月額費用

■かかる費用
数万円~

いわゆる家賃です。
通常の不動産契約とは違い、基本的な光熱費や食事代も含まれます。
場所や利便性、サービス内容などにより、施設によって金額がかなり違ってきます。
数万円のところもあれば、数十万、100万円を超える施設も。

老人ホームの検索サイトでは先述の入居費とこの月額費がメインで掲載されているようですが、実はこれだけでは老人ホームに払う費用は収まりません。
プラスで費用が必要になります。

介護保険サービス料

■かかる費用
数万円前後

介護認定の種類によって支払う料金です。
要支援1~要介護5までどこに該当するかで値段が変わります。

介護を多く必要とする要介護5が一番多くの料金が発生します。
これは自治体などで料金の計算方法が決まっているため、どの施設でもそれほどたくさん上下することはない金額になります。

高齢者でも不動産などの収入があり、税金を納めていると負担額が変わるため、多く支払うことになります。
少なくとも今は数十万や数百万などはかからないはずです。

医療費

■かかる費用
人それぞれ

歳をとって全く病院にかからない人は稀有なのではないでしょうか。
通常の病院へ行くのと同じく費用がかかります。
月額費用には含まれず、介護保険サービスとも別物ですので持病のある方などはそれなりの金額がかかってしまうかもしれません。
入院をすることになった際の入院費などもここに含まれ、通常通りの金額が発生します。

その他

■かかる費用
数千円~数万円(人それぞれ)

消耗品や衣類、髪のカットの費用など生活に必要な事柄にかかるお金です。
施設で出されるもの以外のおやつなどを食べたいという場合の費用もここに含まれます。
基本的にはあらかじめお小遣いをお預けし、それで賄っていただくことになるかと思います。
医療費よりもこちらのほうがお金がかかるという場合もあるかもしれません。
特養ではない有料老人ホームでは、おむつ代なども加算されます。

全体的に必要な月額費用は?

有料老人ホームの場合

月額15万円~青天井…と書きますと、とんでもない金額のところが多いイメージになってしまうかもしれませんが、有料老人ホームの金額は所謂ピンキリです。

実際に月額が100万を超える高級な老人ホームも存在します。
都市に行くほど高くなるのは実際の家賃と同じですね。

ただ、老人ホームは若い健康な方が暮らす場所ではないため、
あまりに病院が少ない場所や辺鄙なところを選んでしまうと
通院などの際に交通費や職員さんの付き添いで発生する金額が
とんでもなく高くなってしまうことも。
そのためその辺りも考えてちょうど良い箇所を選ぶ必要があります。

特養の場合

月額は基本的には数万~約15万前後のようです。
多床室は安く、個室は高くなります。

多少の地域差はありますが、一番お金の負担が少ないのはやはり特養。
入居待ちの方がたくさんいらっしゃる理由もわかります。

ただし、入る条件は原則要介護度3以上の方(特例が認められると要介護1や2の方も一部ご対応いただけることがあります)で申し込み順などではなく、介護の優先度が高い方からの入居となります。

退院してすぐなどの好きなタイミングで入ることは難しい場合が多いのが現状です。

もちろん病院代や生活費などは別途かかるのですが、介護度が重くなった方は実際にかかる金額はかなり安くなる部分があります。

それはおむつ代がかからないこと。

元々おむつ代はかなりの負担となっていた方が多いと思います。
昨今の物価上昇もあり、さらにおむつ代に頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。
自治体で補助などを受けることもできますが、条件などもそれなりにありますし、月にかかるおむつ代の全額には満たなかったという場合もあるようです。
この辺りはお住まいの自治体により対応が違いますので、お住いの市区町村にお尋ねください。

在宅介護のおむつ代について、みんなの介護様でアンケートの集計結果のおページに以下のような記載がありました。

おむつは基本的に排尿2回で1回の取り替えが必要で、1日で行うおむつ交換は4~5回程度必要になってくるとわかりますね。また、複数のおむつメーカーを調べてみると、おむつ1枚当たりの値段は平均50~60円程のようです。すると一日あたり200~300円、1ヵ月だと6,000~9,000円程のおむつ代が必要になると考えられます。
https://www.minnanokaigo.com/enquete/no39/

【アンケート】介護のおむつ代は一ヶ月にいくら?おむつ代補助制度も併せて解説
https://www.minnanokaigo.com/enquete/no39/

この金額と交換なども行っていただける費用が込みとなっている特養の金額は、実際にかかる金額よりも安く感じられることも多いです。
特養に入っていても途中入院などをしてしまうと、入院中の病院ではおむつ代は発生しますのでご注意ください。

特養でも難しい場合

一番お金がかからないといわれる特養ですが、それでも月に約15万程度の支払いは必要と考えないといけません。
年金で賄えるのがベストですが、それも厳しいという方も多いと思います。
実際月15万以上の年金をもらうことができる人は働いているときにそれなりに給料が多く、厚生年金を多く支払っていた人になるかと思います。

その場合は子供が、家族が負担……となってしまうのですが、できるだけそこは負担をしない、または少額にする選択をしないと、家計が破綻する可能性も十分にあるのです。

そして特養に入居ができる条件の方が在宅介護になってしまうと、仕事をフルタイムで行うことは基本的には無理な場合が多いかと思います。
きつい話になってしまいますが、現実は家族がみんなが手助けをしてくれる、そんな温かいご家庭ばかりではないのです。

介護をする人が働きながら介護をして、無理がたたり身体を壊し心を壊し、最悪なパターンになってしまうこともあるのです。

どうにもならなくなった場合、まずはお住いの市区町村に相談を行いましょう。

高齢者センター(包括支援センター)が望ましいですが、お役所に行って窓口の人に相談したい内容を伝えれば対応の窓口を教えてくれるはずです。

お役所に行く時間がない人はお昼休憩などどこかのタイミングで電話を。
人の確保が難しいでしょうからチャットとまでは言いませんが、せめてもっとメールでの対応が浸透してもらえるといいなと思いつつ、今はまだまだお役所は基本的には電話か対面が主な相談方法になります。

生活保護という選択肢

本当にどうにもならない場合。
生活保護という選択肢もあります。
同居をしており生活費が一緒で家族が働いている場合は、なかなか条件の厳しい制度ではあるようですが、世帯分離など何かしらの方法で受けられることがあるようです。
この辺りのことに関しては私は経験者ではないため迂闊な発言をしてはいけないと思いますので
お役所、または相応の機関にご相談ください。

最後は家族に返ってくるお金の問題

世の中不景気で税金も払わねばならず、高齢者にかける費用を減らそう、もしくは高齢者の負担を増やそうという流れもあります。

ですが、そう簡単な問題ではないとも思うのです。
高齢者の負担が増えるということは、家族の負担も増える可能性が高いということ。

シルバーセンターなどで働くことのできる元気な方もいらっしゃいますが、介護を必要としている高齢者はもう年金以外の収入が見込めません。

そこで足りなくなった部分をどこが負担するのか。
それは家族であり、生活保護であり、結局は若い人、働いている人が負担をすることになるのです。

そのため、無理をして高い料金の施設に入所をしてしまうと
後々家族にとんでもない負担がかかる恐れがあります。

介護は先が見えません。
ここまででもう手が離れるという目安はありません。
人の生きる時間は誰も知ることはできません。

そのためお金の問題は最重要課題となります。
家族が無理をしないで済む方法を見つけるためにも
悩んでいる方は一度、高齢者センターやお役所にご相談を。

100%解決するとは断言できませんが、少なくとも一人で悩むよりはずっと解決策が見えてくるはずです。

お役所も担当者の方によって対応が違うこともあるので
いろんな機関へ相談をしてみてくださいね。

今回の仕様イラスト・ツール
ソコスト様
canva様


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