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ロマンチックラブイデオロギーは悪くない

ロマンチックラブイデオロギーは、少女漫画の世界に色濃くあった(今も少なからず残る)、素敵な男性と恋愛し結婚に至るという美化された世界を指す。昭和の10代女性の男性観恋愛観結婚観を、現実とかけ離れて夢見がちなものにした…と、ワルモノにされがち。
が、最近とみに思うのです。ロマンチックラブイデオロギーは、決してワルモノではない!
どっぷりこの世界に浸っていた私自身、強く思う。女性がいくらかは楽に生きられるようになった今の時代。その過渡期として、必要不可欠だったと。少女漫画があって良かった。当時の少女漫画家たちすべてに感謝しきりです。
萩尾望都氏が、少女漫画の功績を尋ねられた時によく、「少女の発見」と答えておられます。
2,3回、その記述を読んだことがある。そのときは、ピンときませんでした。少女?それは、少女が大人になることを妨害した、悪名高きロマンチックラブイデオロギーがそれを助長したってことなんでは?と、思っていたのです。
でも、違う。
それまでの女性は、子供から思春期を迎えると、とたんに妻となり子を産む「女性」予備軍になるしかなかった。知恵がついてきても考える暇を与えられず…。でもだんだんと(建前とはいえ)男女平等教育の中で、子供でなくそして(内助の功が強く求められる)大人の女性でもなく、その間の存在としての自分を強く意識した…そうした意識の形成に「少女漫画」が大きな力を果たしていた。私たちは誰もが理想を持ち夢を持っていい存在だと!
「ベルサイユのばら」が漫画や宝塚公演で流行したのは、私が小学生の頃。リアルタイムでその洗礼をもろに受けたのは、少し上の世代と思う。今60代半ばのお姉さま方。ベルばらについては、多くの人が考察し、それに関連した本も多数あり。
男装の麗人オスカルには、男性にこうあってほしいという美点が多々反映されています。その一番は、「強い者は弱い者に対し優しい気持ちを持つ」ということ。
少女漫画の、ロマンチックラブイデオロギー世界に通底する男性像は、女性を軽く扱わない、ということかと。人として、大事にされたい思い。
少女漫画の優しく勇敢な男性は、女性全体の夢だった。希望だった。
そして…
松田奈緒子「少女漫画」を読むと改めて思います。少女漫画は、大人になってからも力強く元・少女を支え続けたのだ。たとえば第一話。主人公は、ベルばらファンの派遣社員。自分もオスカルの心を持っていることに気づき、彼女なりの革命を起こしていく。
少女漫画が私たちに教えてくれた最も大きなことは、自尊心を持って生きることなのです。

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