見出し画像

和顔施のイメージで暮らしたい

和顔施(わがんせ)とは笑顔のこと。相手に笑顔を施すことが徳になる、という仏教用語だそうです。
4年前に出版された、瀬戸内寂聴さんとドナルドキーンさんの、90代お二人の対談本の中にあった瀬戸内さんの言葉。なるほどねえ。瀬戸内さんの著作はほとんど読んだことがないのですが、瀬戸内寂聴さんといえば、にこやかな顔が浮かぶ。そういえば、僧侶の方で、むすっとしている人はいないね。この和顔施が、生活に根付いているんだろうね。神父さんや牧師さんでも…全世界的にそうか。
笑顔が嫌いな人っていない。
いばりんぼや皮肉屋や男尊女卑はげしかったり調子いいことばっかり言ったり噂好きだったり…そんな、つまり少々(あくまで少々)ひっかかりがあって、つきあうのに“難あり(あくまで自分のことは棚に上げて)と感じる人であっても、いつもにこにこしていれば許せる。こちらの気持ちが無駄に波だたないから。穏やかな気持ちを維持できるから。笑顔の力ってすごいね。
著名人でも周りの友人でも、多くの人が“機嫌よく生きるべき”と言う。それが、最低限のマナーと私も常々強く思っている。いつも不機嫌な顔の人って、ほんとあなた何様?
昔々読んだ少女マンガで、思い出すシーンがある。吉田まゆみさんが描いた人気連載作品で女子高生が主役。その友人が言った言葉は… “思い出したとき、笑顔で思い出せる人っていいね”  主人公は普段から元気な笑顔の女の子で、友だちの言葉には、あなたはその笑顔だけで充分すてきだよ、という意味が込められていたように記憶しています。
そう、だらしなかったり根性なかったり短気だったり…もろもろ欠点が少々(あくまで少し…)あっても、基本、対人のときに笑顔なら(政治家スマイルは別にして…)人としてOKって感じる。笑顔でなくても、柔和で穏やかな顔ならいいのです。人に緊張感を与えなければ。
笑顔が笑顔を生む。和顔施の心持ちは、人に伝播する。
自分に向けられた優しいまなざしは、深く心に残ります。心の滋養になる。それは、ほんの一瞬すれ違う人たちであってもそう。自分も、そういう人でいよう。
笑顔には、社会を穏やかにする大きな効用がある。悲しく辛いときも、笑顔で過ごせるよう工夫する。それは、自分だけでなく社会のためにもなっているのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?