見出し画像

【誌上講演】令和2年度加配保育士研修会

こんにちは。
この記事は,
佐渡市子ども若者相談センターが主催する
「加配保育士研修会」の内容を
誌上講演という形で学ぶことができるように
構成されています。

スライド1

今回は,グループでの話し合いがメインでしたので,
講演部分は10分程度の内容になっています。

では,さっそく始めましょう。

スライド2

今回は「子どもの特性に合わせた保育」というタイトルですが,
一人ひとりの特性に合わせた保育は,
決して通常の保育とは違う「特別な保育」ではありません。

まずは基本的な子ども達の生活リズムや体調,
コンディションを整える
ということが大前提になります。

そもそもそれができていないのに,
特別な〇〇法とか〇〇テクニックなどを
その子に充ててもうまくはいかないでしょう。

スライド3

子どもたちが集団生活をトラブルなく過ごしたり,
先生の話を集中して聞いたり,
てきぱきと自分の身の回りのことをこなしたりする力のことを
ここでは「良い子パワー」と呼んでみます。

その「良い子パワー」がこの3つの不足によって
限りなくゼロへと減ってしまうのです。

園で先生方がどんなに適切な支援をしていても,
そもそも睡眠・運動・栄養が不足している状態では
落ち着いて集中し,園の生活に適応することはできません。

スライド4

お腹がすいた。
眠い。
もっと動きたい。
不快だ。
そういう自分の状態を,
赤ちゃんであれば泣いて知らせます。

発達障害や知的障害のある子どもたちの中でも
言葉でそれをうまく表現できない子は,
困った行動で表すことがあるでしょう。

スライド5

まず私たちが目指すところは
「快食・快眠・快便」です。

これには家庭との連携が欠かせません。
逆に,まず連携すべきところはここなのです。

ここがうまくいけば,
発達障害や知的障害のある子どもたちも
今よりグッとできることが増え,
トラブルが減り,
成長することができます。

スライド6

子どもたちの中には,
水分の出入りがうまくいっていない子もいます。

あれ?ずっとお水を飲んでいない?
トイレにも行っていない?

いつまでも古い水分が体の中にとどまり続けている。
そういう状態だと,
感覚過敏やイライラした感情が高まりやすくなります。

スライド7

発達障害や知的障害の子どもたちの中には,
言語理解力が弱い子がいます。

その子たちは言葉で何かを知るよりも,
それ以外のもので
先生が何を考えているのか?
どんな感情なのか?
お友達はどう思っているのか?
そういうことを何とかして知ろうとします。
だからこそ,私たちの表情や所作などに
気をつけなければいけないわけです。

忙しいとついつい早足になったり,
声のトーンがきつくなったり,
イラっとした表情をしてしまうこともありますよね。
人間ですから,誰しもそうなりがちです。
そこを子どもたちがじっと見ているわけです。

先生の態度や表情,動きによって,
子どもたちの感情が揺さぶられる。
それほど先生の見た目というのは
子どもたちにとって影響大なのです。

スライド8

加配保育士として対象のお子さんを担当している以上,
この1年間で,できることを増やし,成長を促し,
みんなと一緒に活動できるようにさせたい。
そんな気持ちになりますよね。

もちろんその気持ちそのものは大切なことですし,必要なことです。
ただし,それがその子へ見えないプレッシャーとなることがあります。

ある先生はそのプレッシャーのことを「毒」と表現しました。

よかれと思ってやっていることが子どもにとって悪影響を及ぼす。
そういうことがあるという自覚を
私たちは常にもっている必要があります。

スライド9

今,目の前の子どもたちを成長させたい。
できないことをできるようにさせたい。
問題行動をなくしたい。

つまり今,目の前の子に変化をもたらしたい。
そう思うのならば,まず先に私たちが変わる必要があります。

変えるべきは保育者自身の子どもに対する接し方であり,
また子どもがいる部屋や,全体の環境そのものです。

それを変えることで,ようやく子どもが少しずつ変わっていきます。
子どもに寄り添った環境を作ることを「環境調整」といいます。


皆さんには大変失礼な話なのですが,
私の学校(佐渡保育専門学校)の学生がこんな質問をしました。

スライド11

私はこのように答えました。
佐渡市の加配保育士の皆さんの中には,
資格のない方がたくさんいらっしゃることは事実です。

ただし資格の有無という,その一点だけをもって,
その子の保育者としてふさわしいのかどうかについては決められない。

その子のために日々工夫したり,勉強したりしている先生を
資格の有無だけで評価することはできないのではないでしょうか。

スライド12

当センター(佐渡市子ども若者相談センター)にて行っている
療育教室「じゃんぷ」には,
たくさんの子どもたちが通ってきています。
担当しているお子さんがいる先生方,
ぜひ見学にいらしてください。
日々の保育に生かせるヒントが得られることと思います。

講演部分は,以上になります。

スライド13

この後は,グループでの話し合いの時間です。
短い時間で大変申し訳ありません。
日頃の保育について,
困っていること,悩んでいることなど
ぜひ出し合って共有しましょう。

三密を避けるために,
例年より広い会場を使用するとともに,
参加人数を制限して研修会を行いました。
佐渡市の子ども達のために欠かせない
加配保育士の先生方が,
悩みながらも,配慮・工夫した保育を
日々実践してくださっていることに感謝申し上げます。


あなたにサポートしていただいた資金は,インクルーシブ教育を進めるため大事に使わせていただきます。