見出し画像

キャリア教育よのなか科レポート⑨「コミュニケーション」

「コミュニケーション」について考える 2022/08/28

今回の参加者は9名でした。
(小学生高学年:2名、中学生:2名、高校生:2名、大学生以上:3名)

ワーク①「コミュニケーションが得意な人ってどんな特徴?」

「コミュ力が高い人」なんて言われますが、そういう人にはどんな特徴があるか?考えるワークです。
まず、1分間の個人ワークで自分の考えを書き出し、その後グループに分かれて2分間の意見共有を行いました。

「話す」ことに関する意見が多かったように思います。
思いつく限り複数の意見をしてくれた人や、じっくり自分の頭で考えまとめた意見を共有する人、俳優や声優といった職業で表現してくれる人など、みなさんそれぞれの納得解を共有してくれました。


ワーク②「言葉の表現を考えよう」

先ほどのワークで「言葉の引出しが多い人」という意見がありましたが、いろんな表現を知っているからこそ、状況にあわせて言葉を引き出して使うことができます。
そこでワーク2では、参加者に「言葉で表現する」ことを実践してもらいました。

自然の音や声、物事の状態や動きなどを表した言葉を表す、「オノマトペ」を使った表現を考えていきました。
Aグループは「笑う」Bは「歩くか走る」Cは「雨が降るか、風が吹くか、雪が降る」
それぞれに関連するオノマトペを、書き入れていきました。
個人ワーク2分、グループワーク4分でした。

こちらが思っていた以上の表現をされていたので驚きました(笑)
共有したグループの代表にワークの感想を聞いていきましたが、そのなかで「ひとつの行動に複数の表現があるんだなぁと思いました」という意見がありました。
大笑いしている様子「ガハハ」「アハハ」「ワハハハ」にはどんな違いがあるのか、など細かい表現について考えるのも面白そうだなぁと思いました。


ワーク③「言葉以外のコミュニケーション」

ワーク2を通して、ひとつの気持ちや動作でもいろんな表現の仕方があることを改めて知りました。
そのうえでワーク3では、「言葉以外の表現方法」について考えていきました。
言葉を使わずに何かを伝える、コミュニケーションをとる方法について、個人ワーク2分、グループワーク4分で考えました。

ジェスチャー・身振り手振りの意見が多く挙がりました。
ワークの説明をして個人ワークに入る前に、「人間のコミュニケーションですか?人間以外の生き物で考えてもいいですか?」とつぶやいた参加者がいて、予想外の質問に驚きました(笑)
「もちろんOKです。」と答えると、他の参加者も楽しそうにしながら範囲を広げて考え始めました。
そうして共有されたのが「超音波」「鳴き声」「エコロケーション」などの意見です。
エコロケーションは、 動物が音や超音波を発し、その反響によって物体の距離・方向・大きさなどを知ることです。コウモリ・イルカなどが使うようです。

また、今回もワークシートに「なるほど!の気づき」というスペースを設けました。
他の参加者の意見やワークのまとめを聞いて「なるほど!」と思った気づきをメモするスペースです。
そこで参加者(Aさん)が書いていた、真ん中下の参加者(Bさん)の意見からの気づきが印象的でした。
Aさんは音楽ライブが好きな方で、そのライブの情景から「拍手」や「とびはねる」などの意見を出していることから、「自分が嬉しい・楽しいと感じることはすべてコミュニケーションなのだと思った」と書かれていました。
他者の意見から自分の納得解を作り上げていく姿勢に好感を持ちました。


ワーク①②③のまとめです。
授業内で話したことを再現します。

ワーク3で、「表情」や「ジェスチャー」といった意見が出ましたが、
あらためてコミュニケーションの意味について国語辞典で調べてみると、「感情や思考を伝えること」と書かれています。
つまり、言葉で表現することだけがコミュニケーションではなく、表情・仕草・ジェスチャーなども「感情や思考を伝える」コミュニケーションといえます。
そのような言葉以外のモノは、「ノンバーバルコミュニケーション」といわれています。

このようなデータがあります。
コミュニケーションにおいて、話し手が聞き手に与える影響が高いものから、「視覚情報」「聴覚情報」「話の内容」の順番になるというデータです。
これは、カリフォルニア大学の心理学教授A・メラビアン氏が提唱した「メラビアンの法則」といいます。
視覚情報は見た目のことで、話し手がどんな服装でどんな表情で話しているかなどのこと。聴覚情報は主に声で、大きい声・柔らかい声など耳で聞こえる情報のことです。
ここでは話の内容は「7%」しか影響しないといわれています。
つまり、言葉よりノンバーバルの方が相手に強い印象を与えるということ。
ですので、何を話すかだけでなく、どのように話すかってことも大切だということを覚えといてほしいと思います。

ここで前半のワークは終了。
5分間の休憩をはさみました。


ワーク④「コミュニケーションをとるうえで大切なコト」

前半のワークでは、オノマトペを使った言葉の表現を考えたり、逆に言葉を使わない表現について考えたり、主に「表現すること」を中心に考えていきましたが、
その表現することだけがコミュニケーションなのでしょうか?
ワーク⑤では「コミュニケーションをとるうえで大切なコト」について、改めて考えていきました。
個人ワーク2分、グループワーク4分でした。

参加者それぞれ独自の意見を発表していましたが、「相手」を意識することの大切さ、は共通解として持っているように思いました。
1人1人時間いっぱいまで考え、複数の納得解を紡いでいる様子が印象的でした。


ワーク④のまとめです。
授業内で話したことを再現します。

相手がどんな性格で、何に興味もっているかを知る。
初対面の人でも、身に付けている服装や立ち姿でどんな人か観察する。
それによってコミュニケーションが取りやすくなると思います。
つまり、相手に合わせた伝え方をすることが大切です。

また、「会話はキャッチボールが大事」とよく言われると思います。
それは「一方的に話すのではなく相手の話も聞きましょう」という意味で使われますが、「相手に伝わるような言葉遣いをしましょう」という意味もあります。

たとえば、いくら速くて素晴らしい球を投げることができても、相手が野球初心者だったら捕れませんし、ケガをしてしまうこともあります。
同じように、タメになっておもしろい話だったとしても、言葉が難しくて相手がわからない状況だと伝わりません。
自分の伝えたいコトは「どうすれば相手に伝わるのか」、それを考えることが大切だし、自信の学びになると思っております。


ワーク⑤「知らない人に伝えてみよう」

それをふまえて「知らない人に伝える」というワークを最後に行いました。
自分の気になること・好きなこと・最近経験したことなど、内容はフリー。
「知らない人に良さを伝える」ことを目的として、1分前後でまとめて発表し合いました。
個人で考える時間は3分、内容がまとまった人から順に全体共有しました。


最近学んでいる倫理学について、好きなゲーム「スプラトゥーン」について、最近行った展示会について、など個性あふれる発表をしてくれました。
本当に全員が1分前後のシンプルな内容にまとめており、相手への配慮がうかがえる伝わりやすい言葉を用いた発表をしていて、感心しました。
聞く姿勢も整っていたので、話し手も聞き手も最高のコンディションでコミュニケーションしているなぁと思いました。
このような空間をつくることができ、自分をはじめスタッフ一同も有意義な時間でした。
引き続き来月も、テーマに対する納得解を各々紡いでいけるような時間にしていきたいと思います。


次回以降のテーマは下記の通りです。
日時:テーマ
9/25(日) 10:30~12:00:「おかね」(経済編)
10/29(土) 10:30~12:00:「ゲーム」※オフラインを予定しております。

キャリア教育「よのなか科」は、正解ではなく「納得解」をつくっていく授業です。

現代の成熟社会では、ひとつの正解を求める仕事や生活はなくなってきているといわれています。
これからの社会を生きるこどもたちには、
何かの問題に対して”自分の仮説を立てること”。
知識や経験を編集して”自分と周りが納得する答えをつくること”
これが大切だと思っています。

これまでキープオンでは、6回開催してきました。
8月「いきる」 10月「ものづくり」 12月「ことば」 1月「インターネット」 2月「いなか」 3月「アイデア」 4月「べんきょう」 5月「おかね」 6月「しごと」 7月「いきる(ライフイベント編)」

受講生は、"自分の考えを言葉にする"ことに少しずつ慣れてきたように感じています。こどもたちからの「やりたい!」という声に応えるかたちで、2022年からは新カリキュラムとして、毎月開催していきます。

次回のテーマは「おかね(経済編)」です。参加募集中です!
日時:9/25(日) 10:30~12:00:「おかね(経済編)」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?